第二層の門番
第二層の門番は、意外なことに子供だった。
「自らに打ち勝てない者にこの先に進む資格なし」
そう言うと、子供は自らの姿を変えた。
彼は、気がつくと俺の姿になっていた。
爆発的な魔力を感じる。
神格に匹敵するような魔力。
これが他者から見た俺。
悪魔が垂涎の目で見る俺か。
「アリスとアリエルは下がってろ。相手はタイマンをご所望だ」
そう言って、俺は一歩前に出た。
アリスがなにか不満を言おうとしたが、その瞬間には俺と相手の距離は無に帰していた。
縮地。
一瞬で相手の間合いに入り込むスキル。
両者が使ったことによってぶつかりそうな速度で二人は接近した。
退魔の短刀がぶつかり合う。
そこから単調な急所への攻撃合戦が続く、かと思われた。
俺は相手の攻撃を読んで躱すと、頭突きを喰らわせ、怯んだ相手の鳩尾を殴りつけていた。
こんなに読みやすいか、俺の攻撃。
「見事だ。自分をよく知っていると見える……」
相手はそう呟くと、後方に倒れた。
「なんかわかっちゃった気がしたな。こうあらためて見せられると」
「成長の兆しかにゃ?」
「そうであることを祈る。三層に行って小部屋を見つけたら休憩を取ろう。今日はアリスも良く頑張った」
不満げだったアリスは、その一言でくすぐったげに微笑んだ。
まったく、単純な奴。
まだ子供だから仕方ないか。
俺達は門を開けると、門番にヒールをして、第三層へと降りていった。
つづく




