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竜を求めて

「竜を求めて、かぁ」


 俺はぼやきながらリュックに食材を詰めていく。


「勇戦僧魔がベターだな」


 俺の何気ない呟きにアリエルが反応する。


「いつの話してるにゃ」


 アリエルはアリエルで荷造りの最中だ。


「勇者は外して盗賊と賢者がメインの構成にゃよ」


「なんで盗賊なんぞが入るんだよ」


「ヒュプノスハントで五桁ダメが出るにゃ」


「なにそれ怖い」


 あのゲームって四桁ダメが上限じゃなかったの?

 てかアリエルの癖に新しいゲームに精通しているなんて生意気な。

 Vtuber活動もすっかり板についてきたようである。


「しかし封印されてたような連中がはいはいって協力してくれるのかね」


「その前に試練があるにゃ」


「今更精霊クラスじゃ試練にもならんぞ」


「天使クラスにゃね。封印を守る門番にゃ」


「そこらはエドゥルフだっけ? あの男が話をつけてくれないのか?」


 呆れ混じりに言う。


「あいつはあいつで我が子を千尋の谷に突き落としてるつもりなのがタチが悪いにゃ」


「それは実際タチ悪いなあ……」


 遠い目をして言う。

 変な気に入られ方をしてしまったようだ。


「門番は五人。彼らを倒すことによって竜族は開放される」


「暴れたりはしないだろうな……?」


「竜は賢い生き物にゃよ。エドゥルフ達を敵に回そうとは思わないにゃ」


「ならなんで封印なんてされてるんだよ」


「あえて言えば……今日のような日のために、かにゃ」


「ふうん?」


「あっちは寿命も長くないからにゃー」


 なんかそこらはスケールの違う話になりそうなのでツッコまないことにした。


「準備できたぞ。一週間分の食材は詰め込んだ」


 ぎゅっぎゅに詰まった登山用リュックを背負う。


「こっちはお菓子まであるにゃ」


 わかりやすく雛子に堕落させられてるなあ、なんてことを思う。


「それじゃあ行くか」


「そうだにゃあ」


「うん、行こう!」


 あれ、なんか一人混ざらなかったっけ。

 アリスが、その場に混ざっていた。



つづく

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