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ごめんね

 俺はとっさに決闘のクーポンを起動していた。

 周囲が白一色の世界に塗りつぶされる。


 俺とエイミーはアリスとその世界で向かい合って立っていた。

 俺はエイミーにヒールを唱える。

 エイミーの顔色が若干良くなった。


 エイミーがアリスに語りかける。

 英語なので俺には聞き取れない。


 アリスも答えるが、これも英語なので俺には聞き取れない。

 不思議なのは、アリスの影に悪霊がいないことだ。

 悪霊つきではない。

 ならば、何故アリスは異能を?

 違和感は高まるばかりだ。


 エイミーとアリスはしばらく英語で言い争っていた。

 エイミーは冷静に、諭すように。

 アリスは感情的に、泣き叫ぶように。

 エイミーはそのうち、溜息を吐いた。


「岳志、アリスを失神させて」


「いいのか?」


「多分、私達だけで下手な判断をしない方が良いと思う。アリエルやヒョウンさんの判断がいる」


 天使組の判断がいるというわけか。

 それには俺も同意だった。

 下手に退魔の短剣を使っても、アリスそのものを殺してしまっては元も子もない。


「わかった」


 俺は縮地を使うと、アリスの鳩尾に軽いパンチを一撃はなった。

 その一撃で、アリスは白目をむいて失神して俺に倒れかかった。

 俺はそれを抱きとめる。


 エイミーは近づいてくると、一言、涙目で言った。


「ごめんね、アリス」


 悔いを詰め込んだような言葉だった。

 今回、エイミーは感情的に動いてしまった。

 その結果、腹違いの妹を追い詰めてしまった。

 悔いるなという方が無理な話だろう。


 それでも、俺はエイミーの事情を知っているから言ってしまうのだ。


「仕方がないことだ。お前は悪くない。悪いとしたらお前のオヤジだ」


「……私だってもう大人だよ」


「いーやガキだね。俺達はまだまだガキだ。成長途中なんだよ。これから、あらためて行けば良い」


「うん」


「アリスと、向き合おう」


 エイミーは覚悟を籠めた瞳で、一つ頷いた。

 異能に目覚めた腹違いの妹。エイミーは彼女とどう向き合うのだろう。

 全ては明日にならないとわからなかった。



つづく

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