北海道へ
月曜の朝。
六華と雛子は高校へ、遥は大学へ、エイミーは仕事へ出かけてしまった。
紗理奈とバスケットコートで汗を流す。
身長差があるので俺のダブルスコアかと思いきや、紗理奈のスリーポイントの精度はかなり高い。
思いの外接戦となった。
「なんか賭ける?」
紗理奈が思いついたように言う。
「俺お金ないぞー」
「デート一日」
「俺彼女いるんだけど……」
「いいじゃんデート一日ぐらい」
悪びれずに言う。
「今ただでさえこじれてるから勘弁してくれ」
「お、こじれてるんだ?」
まずい、余計なことを言ってしまった。
紗理奈は興味津々といった様子で食いついてくる。
そこに、アリエルがやってきた。
「次の目的地が決まったにゃ」
アリエルは神妙な表情で言う。
場の空気が一気に引き締まる。
「北海道」
「遠いな」
少し不安だった。
首都内ならば仲間の危機にもすぐに駆けつけられるが、北海道となればそうともいかない。
「エイミーとアリエルはこの場に残ってくれ。俺一人で行く」
「一人はちょっと心細いんじゃない?」
紗理奈が言う。
「紗理奈は転移術を使うのにこの場に必要だろ」
「あかねが北海道好きなのよ。丁度いいわ」
そう言って電話をかける。
北海道と一口に言っても広い。
関東と同等の広さを誇る敷地だ。
その中のどこかに、神秘の道具が隠されている。
堕天使達はそれを察知しているのだろうか。
できる限り穏便に済むことを祈る俺だった。
続く




