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裏切りの男

 その日の朝、遥は多少の気だるさと共に目を覚ました。

 まだ時刻は五時。六時からアルバイトだから身だしなみを整えねばなるまい。

 ゆっくりとベッドから降りる。


 その日、遥の日常はいつもと同じように過ぎようとしていた。

 この瞬間までは。

 部屋の扉が、爆煙とともに吹き飛んだ。


(爆発!?)


 驚愕しつつ、部屋の隅に置いた木刀に手を伸ばして掴む。

 高校時代まで習った剣道。

 それでどこまでイレギュラーに対応できるかはわからぬところだ。

 相手が銃でも持っていたら……いや、岳志が対応しているような世界の住人なら既に詰みだろう。


 そして、部屋の扉を爆破したらしき男はゆっくりと歩いてきた。

 老いた男だ。

 細身で、高級そうなスーツに身を包んでいる。


「貴方は……誰?」


 遥は、淡々とした口調で問う。

 細身な男は、遥に目を留めると、優しげに微笑んだ。


「陰陽連が裏切り者。なに、君に危害は加えない。ただ、人質になってくれれば良い」


 遥はそうと聞いた瞬間相手に飛びかかっていた。

 陰陽連。つい最近まで岳志が行動を共にしていた京に本部を置く組織だ。そして京で、安倍晴明を復活させようとした裏切り者の暗躍に岳志とアリエルは手を焼いたという。

 自分が岳志の足を引っ張る。それだけはあってはならなかった。


「はんてん」


 相手が呟く。

 その瞬間、重力がひっくり返った。

 遥は天井に頭を打って、遠くなる意識の中で、床に落ちていった。



続く

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