立山の古神像
洞窟の中を進んでいく。
前と同じように、緑色のフィールドが俺達を阻んだ。
エイミーが、無言でそのフィールドに触れる。
エイミーの神性がフィールドを無効化した。
そのさらに奥へと進む。
古神像が立っていた。
前より随分と小さい。
三メートル程度だ。
古神像は俺達を確認すると、錆びた体を馴染ませるようにゆっくりと動かし、襲いかかってきた。
速い。
スピードタイプか。
エイミーを抱き上げ、相手の直線上から離脱する。
「私は防御結界でどうにかできるから、攻撃を!」
エイミーが進言する。
俺はそれに従って、エイミーを降ろし、暫し逡巡した。
退魔の双剣か、神殺しの長剣か。
退魔の双剣では刃渡りが短くて効果が薄いのは前の戦いで実証済みだ。
俺は一か八かで神殺しの長剣を抜いた。
神性特攻の効果を持つこの長剣。古神像にどこまで効果があるのか。
古神像と言っても仮称で、神性を持っているかどうかは定かではない。
ただ、動きが複雑な人間や天使と違い、俺の技術でも一刀で対処できるのは確かだった。
俺は縮地で移動すると、即座に相手の首を断った。
相手の胴と首は泣き別れになり、頭が転々と転がる。
「呆気ないな」
そう言って、俺は神殺しの長剣を肩に担ぐ。
切れ味は抜群だ。
しかし、そこからが本番だった。
山から、霊気が集まってくる。
それは古神像に集まったかと思うと、離れたはずの頭と身体が一つに戻った。
「なっ……」
絶句していると、相手は俺の縮地をコピーしたかのように一瞬で距離を詰めてきた。
慌てて、攻撃を長剣で防ぐ。
単純な動作だ。防ぐことに問題はない。
しかし、決め手はなんだ?
相手が無限に再生するならこれは果てがないぞ。
その時、光が降り注いだ。
エイミーの理の上書きだ。
それは、相手の体を削った。
が、削ったに過ぎなかった。
古神像は、初めてエイミーに気がついたとばかりに、振り向いた。
(理の……上書き……?)
そうだ!
俺は後ろを向けた相手を五等分に斬っていた。
次の瞬間叫ぶ。
「エイミー、追撃を!」
エイミーは一瞬戸惑ったような表情をしたが、頷いた。
光が相手に降り注ぐ。
集まってきた霊気は光に弾かれ四散し、そして消えた。
後には、バラバラになった古神像が残った。
「無限回復という理を上書き。なんでもありだな、その力」
俺は半ば呆れたように言う。
「はー、そういう理屈か」
エイミーは納得したように言う。
わかってなくて使っているんだから末恐ろしい。
「さ、今回の秘宝を確認しに行くにゃよ」
傍観していたアリエルがそう言って歩き始める。
人界の争いに介入しない。天界人のスタンスだ。
俺達は洞窟の奥へと歩き始めた。
光が漏れ出ているのがわかる。
神殺しの長剣の時と同じだった。
そこだけ、草木が異常発達している。
その中央に、盾が一枚、鎮座していた。
中央に宝玉が嵌め込まれている。
それは神殺しの長剣のそれと同じように、自らの生を主張しているかのように光を放っていた。
「剣の次は、盾か」
俺は感心しつつ、それを装備する。
羽毛のように軽かった。
これは使い心地が良さそうだ。
「帰ろうか。やる事が山積みだ」
エイミーは、苦笑交じりにそう言った。
確かに、そうだ。
Xの件がまだ片付いていないのだ。
続く




