シェリアル
「敵にはもう察知されていると思っていいにゃ」
山道を先導しながらアリエルは言う。
「それほど近いってことか」
緊張感が俺を支配する。
「ってことだにゃ。今更緊張してきたかにゃ?」
「まあ、命がけだからなあ」
「もっとヤバい橋は何度も渡ってきたと思うけどにゃ」
アリエルは滑稽そうに言う。
「本当にこれで終わるんだろうか」
「わかんないとこだにゃ。一応私の行動は相手にとってイレギュラーだったと思いたい」
アリエルは若干自信なさげだ。
それもそうだろう。
今回の敵の準備は用意周到だった。
アリエル対策に同化型の悪霊つきを複数用意し、陰陽連内部に内通者を用意し、迎撃の用意を準備していた。
この先、罠がないとは限らない。
「ここだにゃ」
そう言って、アリエルは大樹の前で足を止めた。
「この大樹が結界か」
「いかにも。準備はいいかにゃ? 入るなり戦闘になるにゃよ」
俺は振り返る。この地での数週間を。
それも、今日で終わりだ。
「わかった。開けてくれ」
アリエルは頷くと、大樹に手を当てた。
次の瞬間、大樹に光が浮かび上がった。
それは粉々に砕け散って、どこまでも広がる白い空間が周囲に広がった。
精霊が二体。天使が二体。
天使の一体が格違いだ。
俺は感覚でそう察した。
「あら、これはアリエル。一足遅かったわね」
そう言って、天使の一人が邪悪に微笑む。
「今日ここでお前らは終わりにゃ。天界の汚点、天界が片付ける」
「そう。井上岳志もいることだしね」
そう言って、敵のボス格は腕を組む。
「ところで知っているのかしら?」
その言葉に、アリエルが疑問符を浮かべる。
「なんのことだにゃ?」
「私とエリセルを心変わりさせた神がいることを」
アリエルの表情が強張った。
「黒幕は生きている」
続く




