再会
六階道邸の日常にも結構慣れた。
あれ以来襲撃もぱったりと止んでいる。
刹那と雑談と訓練をして日々を過ごしている。
流石身体能力特化というだけあって、刹那の技術からは学ぶことも多い。
戦いのプロフェッショナルといった感じだ。
六月に差し掛かろうとしたある日のことだった。
「探したにゃ」
六階道邸の庭に寝転がっていると、影がさした。
その声で、俺は頬を緩めた。
「なーにが探したにゃだよ。探したのはこっちだ。心配したぞ」
「けど、生きてるって痕跡は残したにゃ。最低限だけどにゃ」
アリエルが、そこに立っていた。
「本拠地を移しているとは思わなかったし、陰陽連に連絡せずに六階道邸を探し当てるのにも苦労した。岳志がいなけりゃ同化型の悪霊つきを使われてまた八方塞がりになるところだにゃ」
「なんだよ、そうやって前回はやられたのか。お粗末だな」
「けど、今回は氷の精霊を追って相手の本拠地を察知した」
アリエルの言葉で、俺の表情は一気に引き締まった。
「終わらせるにゃ。私と、岳志で」
「そうだな。これ以上犠牲者が出る前に、終わらせよう」
「私も行く」
刹那がいつの間にか、その場に現れていた。
「駄目にゃ」
アリエルが言う。
「陰陽連は基本敵にゃ。前回のお膳立てで痛いほどそれを思い知った。今回は天界サイドでことを進めさせてもらうにゃ」
「私は陰陽連でも爪弾き者よ。碌な情報も持ってない」
「刹那」
俺は、刹那の肩を叩く。
「いつ襲撃があるかわからない。お前は、急事に備えて控えていてくれ」
「けど……」
「無駄な犠牲を減らすためだ」
刹那はしばらく考え込んでいたが、溜息を吐いて頷いた。
「わかったわ」
「それじゃあ、行こう。岳志」
「わかった、アリエル。コンビ復活、だな」
なんだろう、この安心感は。
アリエルがいるだけでどんな敵でも倒せそうな、そんな安心感がある。
「天使クラスが複数いると思ったほうがいい。正直分は悪いにゃよ」
「それでこの戦いに終止符を打てるなら安いもんだ」
刹那が、俺の手を握る。
「……平和な日常が待ってる。だから、死なないで」
いつぞやの台詞の、お返し。
俺は、微笑んで頷いた。
「待っててくれ。お前を、普通の女子中学生にしてみせる」
刹那は苦笑した。
「待ってる」
「さあ、行くにゃよ。目指すは山奥の結界。敵は強敵揃い。全力を尽くして殲滅に当たるにゃ」
「おう。俺の身体能力とお前の術で殲滅だ」
コンビは再結成された。
この戦いにも、終止符を打つ時が来た。
続く




