与一と紗理奈
俺達は二人に連れられて飲食店に入った。
個室に通され、各々注文を頼む。
少女の注文に、店員が何色を示した。
「お客様、当店は未成年へのアルコールは……」
少女はドヤ顔で免許証を出す。
「二階堂紗理奈。れっきとした二十一歳ですがなにか」
「し、失礼しました。ただいま準備いたします」
そう言って、店員は逃げるように去っていった。
「反応を楽しんでるんだもんな。性格が悪い」
長髪の男が揶揄するように言う。
「いいでしょー。陰陽連でもこの外見のせいで軽んじられてるんだから。メリットもないとねー」
そう言って上品に笑う。
「六名家代表って言ったっけ、あんたら」
「ああ」
長髪の男が答える。
「俺は四階堂与一。こっちは二階堂紗理奈。それぞれ陰陽連を代表する名家の当主だ」
「若いな」
見たところ、どちらもまだ若者だ。
「新陳代謝が激しくてな。肉体のピークをすぎる前に世代交代する。そして、これからはあんたも含めたスリーマンセルでの行動が俺達の基本行動ってわけだ」
「この三人で行動するってことか? 目標は?」
「悪霊つきの殲滅」
淡々とした口調で与一は言う。
「今、この街には嫌になるほど悪霊つきが溢れている。石を投げれば悪霊つきに当たるってぐらいな。陰陽連も疲弊状態だ。新規戦力はありがたいところだ」
「……ぱっと目標だけ解決して帰るつもりだったんだけどなあ」
「天界大戦の煽りなんだろう?」
与一の言葉に、場が引き締まる。
「なら、追々黒幕ともぶつかることになるだろう」
俺は息を呑んだ。戦いは既に始まっているのだ。
「飲み物お待ちしましたー」
ドリンク類が並べられる。
それを受け取ると、紗理奈は一気飲みしていった。
「おかわり」
語尾にハートマークでもついていそうな口調だった。
「は、はい、ただいま」
「外見と酒量が一致してねーのよお前さんは」
呆れたように言う与一だった。
俺とアリエルはあんぐりしているしかない。
続く




