決戦のはずが……?
「陰陽師、なんだってな」
俺の言葉に、涼子は不敵に微笑んだ。
「あんたの黒幕に聞いたの?」
「黒幕……?」
「あんたにつけてた式神があんたが家にたどり着いた途端に燃やされた」
アリエルのことか。
「あんたはより上位者に操られる駒ってことだ」
あの駄猫を上位者扱いされることには若干抵抗がある。
確かに天使だから人間より高位な存在なのかもしれないが。
「なにを企む、陰陽師」
「情報の共有と」
涼子の顔から、表情が消えた。
「共闘」
「共闘?」
思わぬ方向に話が進んだ。
「鬼瓦みたいな奴が他にもいるってことさ」
捨て鉢な涼子の台詞に、俺は背筋が寒くなった。
あの脅威が、まだ存在するというのだろうか。
サンダーアローを失った俺は、それに対抗できるのだろうか。
唖然としている俺を見て、涼子はにいと微笑む。
「ね、この前のは私が悪かったからさ」
そう言って、涼子は距離を詰めてくる。
「仲直りしない? 約束は今日の仕事終わり。近くの公園で」
どうしたものかと思う。
そう言って、前回は罠にあった。
しかし、相手の目的は共闘にあるという。
それに、鬼瓦のような存在という奴も気にならないわけではない。
「わかった。あんたの話を聞いてみるよ」
相手がどんな手段を使ってくるかはわからない。
しかし、先輩のハグが勇気を与えてくれる。アリエルのバックアップがあるという事実が自信をくれる。
俺は一人ではなかった。
続く