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第24話 帝城アルダシア

 帝都アルダシア。

 レムナール帝国のほぼ中央に位置する巨大都市であり、帝国の頂点である皇帝バロム・アンシャ・レムナール19世の住まう帝国の首都である。1個の巨大都市を10の小さな都市がそれぞれ隣接する形で構成されており、その全てを見て回るのに相応の時間が掛かってしまう程だ。

 その帝都アルダシアの中央に聳え立つ巨大な城。皇帝とその一族が住むと同時に、帝国の司法立法軍事経済政治─国家を維持する為に必要な行政機関も備わる巨大建造物だ。名を、帝城アルダシアと言う。

 そんな帝城アルダシアだが、内部は大きくざわついていた。大勢の人々が廊下を行き交い、怒声を挙げていた。そんな中、漆黒の軍服を纏う一団が大股で歩いていた。黒の布地を基調とし、金による装飾が施された統一された軍服を各々改造し着こなしており、文字通り統一感の欠片も存在しないが、彼等の放つ強者特有の気配は見る者全てを圧倒していた。人々はその一団に対しある者はお辞儀をし、またある者は敬礼する。そして小さな声で互いの幸運を讃えるのだった。

「凄え…俺初めて総督達に会ったよ…!」

「私もだよっ…カッコいいなぁ、いつか私も総督に…!」

 幼い頃からの憧れに会えたような兵士達の態度も仕方ないだろう。彼等こそ、帝国が誇る最高戦力。帝都アルダシア防衛をはじめ、対連合戦線の主力を担う者達。帝国中央軍総督の面々だ。その威名と威光は、正しく帝国全土に轟いていた。

 

「あああ、もう!!何でまた会議なのよっ、折角手紙が届いて見れると思ったのにィィィ!!!」

「まあ落ち着けよカレン、別に手紙なんて会議が終わったらゆっくり見りゃ良いだろ」

「そーゆーのじゃないと思うなぁ」

 そんな一団の先頭を歩くのは黒に赤のグラデーションが施された髪の毛をセミロングに纏めた女性だった。普段なら端麗な顔付きな筈が、今は機嫌が悪いのか眉間に皺がより、湧き上がる怒りに飲まれていた。だが、纏う黒の服は大きな改造が施されておらず、元の几帳面な性格が表れていた。

 そんな女性の背後を歩くのは彼女より頭3つは大きい巨漢の男だ。短く切り揃えられた黒髪に、袖を引きちぎられた軍服を纏う彼は怒りに震える女性を嗜めようとしていたものの、更に怒りを増すことしかできなかった。

 それに対して呆れるのはまるでアイドルが着るような衣装に改造した軍服を纏う、長く揃えた金髪の小柄な少女─否、少年だった。その姿は知る者でなければ世間を賑わす容姿であり、先ず軍人であるとは思わないだろう。そんな彼はすれ違う人々に笑顔を振り撒きながら手を振り、着実に自身の(ファン)にしていく。

 そんな彼等は只管に廊下を歩み、目的地である帝室会議場に向かっていた。そこで行われる緊急会議──帝国国土内で発生した緊急事案の解決の為の会議に招集されたのだ。つい先日定例会議が終わったというのに、また面倒なことが起きたと女性─カレンは苛立ちを隠せない。

「せっっっかくアリシアから手紙が届いたのよ!?この会議開いた元凶、絶対とっちめてやる…!!!協力しなさい、カルグ!ラタ!」

「アリシアってあれだろ、昔お前が助けたっていう」

「あー、確かこの前の会議に名前挙がってたよね。結局試験ってあの後どうなったんだろ」

 巨漢の男─カルグとアイドル衣装の少年─ラタはカレンの無茶苦茶な要請を無視し、先日の会議の話に移る。その内容の内、要塞都市グヘカにて行われた士官候補生による試験の、再受験があった。曰く、試験そのものは間に合わなかったものの、臣民救援の功を無碍にする事は誇り高き帝国兵の信念に反する、とのことだ。例年なら認められることは無かったが、彼女が倒したという賊がどうもきな臭いと第六軍団──主に諜報を担う部隊からの報告を受け、賛成多数により再試験が認められたという経緯がある。

「なんっっであの子は軍人になりたがるのよぉ……花屋とか良いじゃん、あの子とっても似合うわよ…」

 そして、数少ない反対─というかたった1人の反対票を投じたのは、何を隠そうカレンだった。幼い頃から見守ってきたアリシアを危険な目に合わせたくないという純粋な願いは、見るも無惨に砕かれていた。

「………なあ、ラタ。そのアリシアって奴…再試験に合格した話はした方がいいと思うか?」

「したらこの辺り一帯燃えるからやめた方が良いと思うよ、カルグ」

 そして、要塞都市グヘカ近辺を担当する第五軍団の総督を務めるカルグはアリシアが再試験─ハーピーこと源 義経の捕縛に成功して合格したことを知っている。その事を伝えるべきか相談するが、会議どころでは無くなってしまうとのラタの懸念により伝える事をやめるのだった。

 

 そんな3人は目的地だった帝室会議場に入場すると、内部の騒々しさに舌を巻く。

「…今日の会議、何かおかしくないかしら」

「だな、武官はともかく文官まで勢揃い。何かあったな、こりゃ」

 3人は慌ただしく駆け回る文官武官達が、必死に書類をかき集める姿を見て只事ではないと判断する。そんな中、ラタはこの会議場に起きた更なる異常事態に気付く。が、それを敢えて2人には伝えなかった。何故なら、そちらの方が面白そうだからだ。

 

「ふふ、今回の会議。面白くなりそうだなぁ」

 

 そうして、それから少しして帝室会議場にて臨時の帝国会議が開かれるのだった。

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