表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/63

006 ロスト・エンジェルス連邦共和国

 たいていの者は喉から手が出るほどほしい力であろう。だが、キズナはそう吐き捨てるだけだった。これから先、どんな美少女に惚れられようと、それは自分の魅力でなく、サキュバスの血が相手を洗脳しているだけだと思ってしまうに違いない。


「まあ、こうやってネガティブだからあんな惨い死に方したのかもね」


 そんな暗い感情に心が覆われつつあったキズナのもとへ、パーラとメントが歩み寄ってくる。


「どうだった~? キズナちゃん!」

「ああ、うん。やっぱりぼくはサキュバスと人間の混血児だったらしいよ」

「だよね! キズナちゃん、せっかく目きれいなのに直視できないもん! 私、恋人いるしね!」

「でもさぁ、“チャーム”かけられた子ってどうなるんだろーな。あたしが知ってる限り、サキュバスは男女問わず魅了しちゃうらしいけど、そうなったときの反応は知らないんだよな~」

「じゃあ、ぼくの目見てみる? メントさん」

「不貞行為は駄目だろ! あたしだって彼氏くらいいるんだぞ?」

「またまた~、メントちゃん。男の子に泣きついて付き合ってくれないと爆殺するぞ、って脅したくせに~」

「……パーラ、それは黒歴史ってヤツだ」


 どうやら黒い歴史の末に恋人をつくったらしい。そこまでして恋人がほしいものなのだろうか。


「ごほん。さて、キズナ。もう疲れたろ? とりあえずあたしとパーラの家に泊まって良いから、ちょっと頭ン中整理しな」

「う、うん。ありがとう」

「あしたになったら役所に届け出だね! んじゃ、一旦帰りましょー!」


 *


 考えてみれば、女子の家に泊まる経験なんてなかった。というか、友だちの家に泊まることが初めてだったりする。


「この部屋空いてるから使って良いよ~。ベッドと暖房もあるし、必要だったらノートパソコンも使って良いよ~」

「ああ、うん。パソコン、借りるかも。ごめんね」

「さっすが! 21世紀から来ただけあるね!」

「ねえ、パーラさん」

「なーに?」

「この国って何世紀なの?」

「んーとね、19世紀になったばっか! 1802年だよ~!」


 19世紀なのに21世紀並みの技術力を持つ……そういえば国名すらも訊いていなかった。知らないことは恥でないと、キズナはレンガ造りの廊下でパーラへ色々訊いてみることにした。


「ほかの国も同じくらい発展してるの?」

「んー、他国がロスト・エンジェルスの技術力にたどり着くには、最短で50年って訊いたけど」

「ロスト・エンジェルス?」

「この国の名前! 略称はLAS(ロズ)だよ~!」

「直訳で天使を失った、的な? 国名にしちゃ不穏だよね」

「実は私も良く分かんない! これでも一応大学生なんだけどね……」

「得意不得意はあるでしょ、人間なんだから」

「おーっ! かっこいいこと言うじゃん! キズナちゃんは私より8つ下、いや9つ? くらい年下に見るけど、絶対私より頭良いでしょ~」


 肘をグリグリ胸のあたりに当ててくる。ただのスキンシップなのだろうが、たぶん大半の男子は変な勘違いしそうだ。


「って、あれ? もしかして女の子のこと苦手?」


閲覧ありがとうございます。

ブックマーク、感想、良いね、ぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ