僕の彼女を殺した女を僕は本気で好きになる!
ある日、僕の彼女が何者かに殺される。
彼女は誰かに恨みを買うような女性ではない!
それなのに何故? 彼女は殺されたのか?
・・・そして、のちに彼女を殺した犯人が見つかる!
彼女を殺した犯人は? “寺島さとみ 24歳 看護師の仕事をしていた。”
だが僕の彼女とは接点のない女。
何故? 彼女を殺す必要があったのか?
警察の取り調べでは、彼女はこの女の彼氏にちょっかいを出していたらしい。
僕と言う彼氏がいながら、そんな事をするとは僕には思えなかった。
僕はこの女に会うために刑務所まで足を運んだ。
『おい、寺島? 面会だ!』
『えぇ!? 面会?』
『お前に会いたいという男性が来ている。』
『分かりました。』
・・・そして、女は僕と会う事にしたらしい。
【ギィーーーイイイ】
『入れ!』
『はい、』
『僕は貴女が殺した伊藤すみれの彼氏です。』
『・・・・・・』
『僕の彼女が貴女の彼氏にちょっかいをかけていたというのは
本当ですか?』
『はい!』
『貴方の彼氏の名前は、、、?』
『冨川登満都です。』
『僕の彼女とは何処で会ったんですか?』
『そんなの知りません! 彼の携帯には彼と彼女が写った
写真がありました。』
『じゃあ、この写真を見てください! “本当にこの女性でしたか?”』
『・・・うん? はっきりそうだとは今は言えません!』
『どういう事ですか? はっきり分からない僕の彼女を貴女は殺したん
ですか?』
『落ち着いて!』
『落ち着けるはずがないだろう! 僕の彼女がアンタに殺されたんだぞ!』
『そうですね、“ある意味、私も被害者です。”』
『アンタ? 正気か? ひとの彼女、殺しておいて被害者ずらするのか?』
『私も彼に騙されたのかもしれない。』
『はぁ!? 意味がわかんないよ! 僕の彼女を生きて返せよ!』
『残念ながら、死んだ人間を生き返らせる事は私にはできません。』
『他人事みたいに話すな! 彼女は僕にとって大事な女性だった
んだぞ! 分かってるのか!』
『私だって、彼が大事な人だったわ!』
『・・・その彼は今は何処に?』
『さあ、私がこんな事件を起こす少し前からもう会ってないの。』
『既に気持ちがアンタになかったんじゃないのか?』
【クスン、クスン、】
『・・・ご、ごめん、僕が少し言い過ぎた、』
『分かってます、それでも私は彼を愛してたんです。』
『“人を愛する気持ちがあるなら? どうして僕の気持ちが分からないんだ!
大切な人を奪われた僕の気持ちを、”』
『そうですね、良く分かります、それでもあの時の私は彼女を許せなかった
どうしても殺したいほど憎んでいたの。』
『・・・でも? 彼に本当にちょっかいを出していた女性か分からない人を
恨めるモノなのか?』
『・・・貴方に恨みはないわ! 貴方の大切な人を私が奪ってしまった事は
申し訳ない事だと思っています。ごめんなさい、』
『時間だ!』
『はい!』
『・・・ま、まだ貴女に聞きたい事が山ほどある! また来ていいか?』
『貴方がそう望むなら、そうしてください。』
『そうさせてもらいます。』
・・・僕はこの日を境に、彼女に何度も会いに行く。
そして彼女に会うたびに、僕はいつの間にか彼女に恋していた事に気づく。
“僕の愛する彼女を殺したこの女に僕が恋をする?”
僕はそんなはずがないと、自分の心を誤魔化しながら彼女に会いに行く事を
やめなかった。
そして僕は、遂に彼女に自分の気持ちを伝えてしまう。
【コンコン】
『入ってください。』
『・・・また来てくれたの?』
『君は何故? 僕の目を真っ直ぐに見れるんだ?』
『えぇ!?』
『・・・ぼ、僕はいつの間にか? 君を好きになってしまったというのに。』
『灰原さん、』
『“好きになってはいけない女性を僕は好きになってしまった。”』
『・・・・・・』
『僕の彼女を殺した女性を好きなるなんて。』
『・・・“私は人殺しですよ、殺人犯なんです! もうココから出る事は
ないでしょう! だから、』
『・・・諦めてほしい?』
『そ、そうです、』
『“それが君の本音?”』
『・・・・・・』
『そうじゃないでしょ! 君だって僕と同じ気持ちのはずだ!』
『・・・そ、そうかもしれません、でも、』
『分かっています、それでも僕は君に自分の気持ちを伝えないと後悔すると
思ったから君に伝えました。』
『・・・・・・』
『“もう終わりにします、もう今日で会うのは終わりにしましょう。”』
『そ、そうですか、貴方が決めた事なら私は従います。』
『ありがとう、さようなら。』
『サヨウナラ、』
*
・・・あれが最後だった、あれから彼女とは一度も会っていない!
不思議なモノだなと感じる、彼女を殺した女性を本気で好きになっていた。
彼女よりも彼女を僕は心から愛している!
出会い方が悪かったのか? 出会いが遅かったのか?
彼女と、“もし普通に出会っていたら?” そんな事をふと考える。
でも何もかも終わった事だ!
僕の彼女を殺した事は変えられないし、僕が彼女を殺した女性を好きに
なった事も変えられない!
今は彼女を忘れる努力をしている。
もう僕は他の女性を本気で好きにならないだろう。
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