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日章旗の轍

さて、35トン級戦車の可能性を考えていくと、いくつかの条件をクリアすれば42年後半ないし43年頃には一応の水準のモノを投入可能であることが解った。


ただ、そこにはいくつの条件があってそれらを技本や工廠、そして各メーカーの努力と献身が必須条件となる。


少なくとも、1個戦車連隊を毎月編制可能な水準の生産力はあることが明白であり、発動機の問題は液冷/空冷ガソリン発動機の並行生産もしくは転換生産で乗り切ることが出来れば一応はなんとかなるのだが、問題は燃料になるだろう。


燃料問題は現時点での執筆段階では調査中なので、もう暫く時間を頂いて出来る限り明快に示したいと思っている。


同様に機甲車両が増えれば付随してくる補給問題であるが、これはトラックの増産しか方法がない。歩兵連隊であれば輓馬でのそれでまだなんとかしのげるが、快速戦車部隊に関してはそうはいかない。


39年当時の陸軍制式のトラックは後述するのモノがあるが、これらとは別にフォード製、GM製などの外車(国内生産含む)が大勢を占めているのだが、その辺りを語る必要がある。


ここには商工省の自動車政策も関与しているため、陸軍単独でどうこうというわけにもいかない。


ことは36年の自動車製造事業法に遡る。


自動車製造事業法じどうしゃせいぞうじぎょうほうは、国防整備と産業発展を目的に自動車製造業の営業許可制などを定めていた日本の法律である。1930年代後半から行われた一連の統制経済立法のひとつ。軍用として重要な自動車の国産化推進のため、外国資本を排除することが主たる狙いだった。 昭和20年12月21日に石油業法外十三法律廃止法律(昭和20年法律第49号)により廃止された。


上記はWikipediaからの転載だが、概要説明としてはこれを代用するのが適当だったためそのまま利用している。


当時、岸信介以下の革新官僚たちはソ連型計画経済を日本にも導入することで国力を高めるために用いていたのだが、その最たる例が統制経済政策である。その一環がこの自動車製造事業法である。


まぁ、概要を読んで貰えば解る通りだが、自動車産業育成という大義名分の元に20年代から進出してきた外資自動車産業を追い出して国産化を進めることを目的としていた。


帝国陸軍も外国に頼ることなく自前で自動車、特にトラックを調達出来ることを望んでいたことから、商工省と協調姿勢を取り本法案の可決に協力している。


実際にシボレーやフォードのトラックは満州事変で大いに活躍したことでその需要は帝国陸軍にとってもうなぎ登りであった。欧州大戦中の18年に軍用車の国産化を補助金付で奨励していたこともあって、その延長線で31年に商工省が中級トラック・バスを対象に「標準車」試作を民間委託した結果、九四式六輪自動貨車のようなそれなりの質の製品は生まれた経緯がある。


しかし、商工省標準車とは、フォードなどの外車との競合を避ける形であり生産台数は遙かに及ぶモノではなかった。


日産自動車と日本GMの合併計画が浮上した33年、当初は合併推進であった商工省であるが、前述の岸らの台頭によって陸軍省との協調姿勢へ転じ、32年にDKW、アウディ、ホルヒ、ヴァンダラーの4社が合同し、新たにアウトウニオン(Auto Union, 自動車連合)を結成したドイツの事例を参考にした形で産業の再構築を進めたのである。


35年に至ると岡田内閣においてフォードの拡張を否定し、日産自動車と日本GMの合併計画は闇に葬られた。


邪魔者を国内法的に、中央官庁の庇護を無くすことで、満を持して自動車製造事業法は36年に帝国議会へと回され、即日可決交付されたのである。しかし、この方策は企図した者たちの思惑とは違い、国産化と量産を進めるにはほど遠く、結局は自動車産業全体の生産数拡大には寄与しなかったと言える。


さて、では、陸軍制式の自動貨車の紹介となるのだが・・・・・・あわせて同種の生産台数も併記しておこうと思う。


GMC CCkW-352/353 2.5トン積載 50万台以上

オペル ブリッツ 3トン積載 10万台以上

ベドフォードOY/OX 3トン積載 9万台以上

九四式六輪自動貨車 2.7トン積載 数千台

一式六輪車甲型 3トン積載 数千台

トヨタKB 1.5トン積載 2万台以上

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