諸兵科連合部隊の夢幻<4>
さて、ここまではナトをベースとした歩兵戦闘車の可能性を論じてみた。
流石にこれを量産すると言っても、陸軍予算と配備数が結構シビアになると思う。となると、やはりこれらを優先配備するのは結局は諸兵科連合部隊への集中配備か、各歩兵大隊へ大隊本部用に15~20両程度配備になるか。
仮に大隊本部に20両配備だと、3単位師団だと3個連隊9個大隊だから36年時点の師団数が概ね20個師団程度だから単純計算で3600両・・・・・・。
ホハとホキの年産500両を考えるとその7倍だから、まぁ、実現不可能であるとは思わないが、とてもじゃないが戦時予算でもない限り整備不可能だな。
戦車師団付属の機動歩兵連隊が歩兵3個大隊(大隊は3個中隊、機関銃1個中隊)に連隊砲1個中隊、整備1個中隊で、人員約3000名、戦車22両と自動車280両であるというから、ざっくり計算で自動車1両あたり10名計算。
ということはナトのシャーシ流用の歩兵戦闘車(IFV)を250~300両程度必要とするわけだ。流石にそれは多過ぎるから、大隊本部に20両ずつで60両と連隊本部の分で30両程度とざっくり80~100両と換算すると現実性が出てくるか。
後の分はホハやホキで賄えば構わないだろう。定数を満たせない分は従来通りのトラックを充当する形で構わない。実際問題としてトラックや兵員輸送車をゼロにするわけにもいかないし、そもそも生産能力が追いつかない。
さて、そうすると、機動歩兵1個連隊に対して100両の配備と仮定して話を続けようか。
次は師団捜索隊の分を計算する。師団捜索隊の基本編制は以下の通り。
本部
乗馬中隊 - 通常の乗馬騎兵
装甲車中隊
装甲車小隊 - 軽装甲車 5両
乗車小隊 - 自動車化騎兵(乗用車 1両、自動貨車 4両)
これは乙編制警備師団のそれだが、これ以上の規模になると普通の捜索連隊規模になるから上記を基準に換算する。
本部 - 歩兵戦闘車 2両
装甲車中隊×2
装甲車小隊 - 軽戦車/歩兵戦闘車 5両
乗車小隊 - 自動車化騎兵(歩兵戦闘車 1両、装甲兵車 4両)
合計:軽戦車0-10両、歩兵戦闘車4-14両、装甲兵車8両
次に戦車師団の師団捜索隊について。
本部
軽戦車中隊(2-3コ) - 軽戦車(九五式軽戦車など)10両
乗車中隊
砲戦車中隊 - 砲戦車(実際には九七式中戦車や軽戦車で代用)10両、軽戦車2両
整備中隊
これを規準にすると以下のような数字だろう。
本部
軽戦車中隊×2-3 - 軽戦車 20-30両
乗車中隊 - 自動車化騎兵(歩兵戦闘車 4両、装甲兵車 16両)
砲戦車中隊 - 砲戦車 12両
整備中隊 - 自動貨車 8-12両程度?
明確な計算はややこしいからしないが、戦車1個師団辺りの定数は概ね以下のような数字になりそうだと考える。※機甲軍創設時の戦車第1師団を基礎に算定。
戦車連隊×4
1個連隊定数:中戦車40両
機動歩兵連隊
歩兵戦闘車100両、軽戦車20両、装甲兵車0-150両、自動貨車0-150両
機動砲兵連隊
機動九〇式野砲12門、機動九一式十糎榴弾砲24門、自動貨車12両
戦車師団速射砲隊
一式機動四十七粍砲12門
戦車師団捜索隊
軽戦車20-30両、歩兵戦闘車4両、装甲兵車16両、砲戦車12両、自動貨車12両
戦車師団防空隊
対空戦車15両
戦車師団工兵隊
自動貨車30両
戦車師団整備隊
自動貨車30両
戦車師団輜重隊
自動貨車200両
総数としては以下の通り。
中戦車160両
軽戦車40-50両
砲戦車12両
対空戦車15両
歩兵戦闘車104両
装甲兵車16-166両
自動貨車284-434両
機動野砲12門
機動榴弾砲24門
機動速射砲12門
車両:781両、砲48門
改めて思うが、えげつない規模だな。
続く
 




