諸兵科連合部隊の夢幻<3>
さて、ここまでは諸兵科連合部隊の現実性と実現可能性を記してみたのだが、では、そこから派生する可能性のある歩兵戦闘車という存在について検討してみようと思う。
歩兵戦闘車(ほへいせんとうしゃ、IFV:Infantry Fighting Vehicle または ICV:Infantry Combat Vehicle)は、車内に歩兵を乗せることができる装甲戦闘車両(AFV)。装甲兵員輸送車(APC)のように歩兵を運ぶばかりではなく、積極的な戦闘参加を前提とし、強力な火砲を搭載している。さらに乗車歩兵の乗車戦闘ができるようになっている物が多い。
上記のようにWikipediaでは解説されている。
ホキやホハはAPCに分類されるもので、前述の通り、基本的には弱装甲であるが輸送がメインで戦闘参加を前提としていない。
だが、独立混成第1旅団をチャハル作戦の様な運用をしなかった場合、何れどこかの時点でIFVへ達すると推測することはそれほど無茶な妄想では無いと考える。
傘下の独立歩兵第1連隊(人員:2590、車両:297)のフォードやシボレー、そして九四式六輪自動貨車などのトラックをホキやホハに置き換えた場合でも、結局は戦車などの戦略/戦術機動に随伴出来るというだけで、敵歩兵及び敵対戦車砲への対処という点では降車して対応するしかなく、いずれかの時点でこれを改善もしくは改良しないと戦車を守れないというそれに至るのは明白である。
特にチャハル作戦などで部隊を分割して運用した結果、前述の通り戦車第4大隊が対戦車砲によって壊滅的打撃を受けたことを考えると似たような事例を経験することは十分にあり得るだろう。特に対ソ戦などでは間違いなくそういった事例が生じるだろう。タンクデサントなどがその例であろう。
そうなるとそれらに有効に対処するための方策としてIFVを開発するという可能性は高い。そして、少なくともその条件は既に満たしていることを考えると何かのヒントや戦訓でIFVに行き着くことはそれほど難しい話ではない。
帝国陸軍では動軸機銃というそれを採用している例は少ないが、砲塔側面や後面に車載重機関銃を装備し、敵歩兵の駆逐を可能としている。それは歩兵直協という戦車開発方針による産物であるが、機関銃装備の目的とIFVの狙いは実質的に同義であり、ホキやホハの派生車に機関銃座を設置すること自体は容易に行き着くのではないかと考えられる。
実際にブレンガンキャリアというそれが40年に登場していることから、着想自体はそれほど難しいモノではない。
初期のモノはオープントップでも構わないと思うが、最終的には89式装甲戦闘車のような形態が望ましいと思うが、そこまでは要求はしない。だが、五式中戦車チリ相当のシャーシ流用をするのであればモドキ的なモノは作れるかも知れない。
(※)尤もチリの場合は後部に発動機が収まっているのでそのままでは使えないのだが。
しかし、丁度良い代物がある。
試製七糎半対戦車自走砲ナトである。これは89式装甲戦闘車より全長が1m程度短いだけで概ね似た様なサイズである。
となると、”理想的なIFV”を考えるとナトのシャーシを流用することで機銃座(機関砲塔)や発動機位置、兵員搭乗スペースも解決出来ると言うことになる。
しかもナトの後部スペースは比較的背が高いこともあり天井を追加しても問題が無い。重い75mm対戦車砲を積まないから発動機出力も余裕が出来る分増加装甲をつけることも出来る。その上、元から最高速度40kmを計画しているから十分な随伴能力を確保している。
やったね!89式装甲戦闘車をゲットだぜ。
続く




