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鉄牛と鉄獅子の遺伝子  作者: 有坂総一郎


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ゴムと転輪とサスペンション機構

日本の戦車はその数が少なかったことと、南方作戦によってゴムの確保がある程度上手くいったこともあって航空機用も含めてドイツほどはゴム確保に苦労したという事実はない。


とは言っても、南方輸送が阻害されればゴムだけでなく各種資源が干上がるわけで、それを前提とするならば、やはりゴムの節約はしておくべきだろうと考える。


合成ゴムという考えも出来るけれど、あれは米帝様やドイツみたいな科学(化学)帝国だから出来るチートであって、貧乏国である大日本帝国でやろうと思って出来るのはHoI世界くらいなものである。石炭液化だけでも手一杯なのに合成ゴムなんてそんな余裕はない。


実際に史実では37年から合成ゴムの研究事業が始まって42年に実用化されたが、終戦までに生産された合成ゴムは8トンだったと言われる。


人造石油以上に戦局に寄与していないそれを当てにするなんて出来ないのである。


仮に「このはと」世界でアップデートされていると仮定しても、8トンの実績が80トンになれば良いところだろうと思う。仮に10倍に増えたところで殆ど意味が無いと思う。南方制圧後の42年の生ゴム取得目標20万トン、開発目標50万トンに比べて話にならないレベルだ。


http://www.armortek.co.uk/Forum3b/viewtopic.php?f=6&t=1247&start=105


そこで、スチールホイルである。ティーガー、パンターでお馴染みの中期以後に装備された転輪がこれである。


標準転輪1本分のゴム使用量でスチール転輪が8本程度製造出来るという優れもの。


https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/79/Type_97_Chi-Ha_in_museums.jpg/375px-Type_97_Chi-Ha_in_museums.jpg


靖国神社遊就館に展示されるチハの写真を見れば分かるが、転輪の外周にそれなりの量のゴムタイヤが配されている。


https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/85/Pz-IVG-latrun-2.jpg/375px-Pz-IVG-latrun-2.jpg


Ⅳ号戦車を見ても同様に割と厚めのゴムタイヤが配されている。


https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/df/Panther_hinten.JPG/375px-Panther_hinten.JPG


パンターも同様だ。


となると、大型転輪を使うか小型転輪を使うかに関わらず相当にゴムの使用量が増えることが解る。


特にドイツみたいに泥沼の東部戦線を戦うそれにしてみれば、航空機用のタイヤ以上の需要があるわけで、絶望的なゴム不足が目に見えるわけだ。


それをなんとかしたのが合成ゴムではあるが、前述の通り、実績値8トンのそれではどうにかなると思えないので、大日本帝国の場合、南方還送と割り切るべきだろう。そんな無駄な事業をする労力があるなら人造石油事業に注力した方が余程戦局に寄与する。実際に目処は付いていたわけであるからね。


さて、そういうわけで、スチールホイルである。


前述の通り、パンター/ティーガー用で1:8程度の高効率性を示すそれを導入しない理由はない。


実際にスチールホイルのメリットはゴムの節約だけでなく重量を支えるというところにも大きな効果を発揮している。それだけでなく、ゴムが外部露呈していないことで破損や裂傷などへの耐久性も高く、劣化を防ぎ長持ちするというメリットもある。


では、それを採用するとすればどういう状況下と考察するならば、その答えは九八式軽戦車の試作車ケニBにあると思われる。


ケニBは周知の通り、大型転輪を採用した三菱提案のそれであるが、その際にクリスティー式であったりトーションバー式を採用することでシーソー懸架装置を廃することでサスペンション機構を保護するというそれにも繋がるわけだ。


プレス加工嵌め込み式の転輪をでっちあげ、ゴムリングを内部に装着するという方式をとるという方向性を示すことが出来るのではないだろうか?


目処としては、チヘ/チヌ相当から適用という形を取れば重量増への手当としても適切ではないだろうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] まずは下駄を履かせてプレス加工の技術を上げないと 北アフリカでのドイツ戦車兵が転輪の上で寝ている写真が記憶に残っている>ゴム転輪 クリスティー式ならシーソー式よりもバネの全長が伸びて耐久性が…
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