ユニフロー掃気式
2ストロークディーゼル発動機と言えば、現代では普遍的な仕組みとして普及しているのがユニフロー掃気式。
前述のJumo205系なども対向ピストン型ディーゼルもユニフローディーゼルに含まれるゼネラルモータス発祥の頭上弁方式を指すことが一般的である。
では、そのGMのそれはいつからあるのかという話になるのだが、系列傘下のデトロイトディーゼル(以下DD)とエレクトロ・モーティブ・ディーゼル(以下EMD)がその源流だと言われる。
DDはGMのディーゼル発動機事業部が38年に設立され、建設機械、軍用、産業用発電向け2サイクルディーゼルエンジンの製造を開始している。
エレクトロ・モーティブ・ディーゼルは現代の社名であるが源流は30年にGMに買収され、41年にエレクトロ・モーティブ・ディヴィジョンと社名変更されたGMのディーゼル機関車部門である。
DDはGM6046というデトロイトディーゼル・シリーズ71に属する発動機を製造し、これはM3/M4中戦車において一部の形式で搭載されていた。
GM6046/6-71発動機諸元
液冷直列6気筒2ストローク
長さ×幅×高さ:1.37m×0.74m×0.99m
重量:996kg
馬力:185馬力
ボア×ストローク:108mm×127mm
排気量:7L
M3/M4中戦車には2基装備なので、排気量14L、12気筒、370馬力ということになる。
しかし、このシリーズ71だが、38年から生産販売されたものであり、馬力は兎も角、ライセンスを含む供給体制が整うのは早くても40年頃ということになるだろう。
少なくともチヘ/チヌ相当に搭載するという前提ならば間に合うかも知れないが、チハ相当に搭載するためには間に合わない。
仮に導入するとして、36年施行の自動車製造事業法が難物になるだろうな。これのおかげでGMだけでなくフォードも日本から追い出されたことになるから、史実ベースであれば、導入するのも結構なハードルになりそうだ。
次にEMDだが、EMD567系発動機を同じく38年に製造販売し始めている。
ディーゼル機関車及びディーゼル気動車用の発動機であるため、DDのシリーズ71と違って遙かにボア・ストロークが大きい。ボア×ストローク:216mm×254mmで単気筒あたりの排気量が9.3Lもある。
まぁ、ここまで大きいと戦車搭載とかいうレベルではないから、鉄道車両や魚雷艇などに搭載すべきモノだろう。実際に米帝の戦車揚陸艦LSTに12気筒1000馬力仕様が採用されている。
 




