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十三話 新ダンジョンルート発見!? 借金を返済したトシツネ

 ダンジョンへ向かい色々世界を知るノブナガはジパングワールドのエドランドについて日々学んで行く。

 居候先であるトシツネの自宅と無人店舗でもある非難轟々の居間で茶をすするノブナガは先日あった出来事を思い出している。


「……」


 ダンジョンでこの世に厄災をもたらす『魔女』探しをしていたギルド専属魔法使いのツボミを助け、ツボミにベビーサタンとすでに交戦した事と交戦後のダンジョン崩壊の件を話さざるを得ない状況になっていた。そこでツボミはギルドに上手く話しておくと言って、問題無く別れた。


 最大の隠し事である異世界から転生したように現れたノブナガを発掘した事については黙っていたのである。あくまでダンジョンで知り合った友達であり、仲間としていた。


 台所で貰い物のコーラをコップに注ぎ、泡が消える前に一口飲んでノブナガのような口ヒゲを泡で作るトシツネはこの数日間の出来事を考えていた。


(……ノブナガは異世界から転生した人間というのは今はツボミには教えない。あくまでも、ノブナガはエドランドに出稼ぎに来た田舎者という設定にしておく。住民登録して、特に前科も無いから何も引っかかるわけも無いし問題は無い。余計な力が目覚めた事がバレるとギルドは絶対にオレを調べに来る。それは避けねぇと親父の二の舞だ。でも、アカネには話しちまってんだよなぁ……)


 と、非難轟々の管理人でもある、金剛ファミリーの金剛アカネには話してしまっている事を思い出す。

 トシツネは異世界から転生した織田信長という天下布武を成す前に潰えた人間を掘り当てた。これは偶然では無く、源土の発掘スキルによる感が働いた出来事による必然だ。


 これについてバレてしまえば、ギルドは目の色を変えて源土トシツネという発掘師のスキルを調査しに来るであろう。


(ツボミ達を信用して無いわけじゃねぇけど、どこから漏れるかはわからねぇ。だから、異世界から転生して来たノブナガを発掘した事は黙って無いとな。アカネはちゃんと言っておけば話す奴じゃねぇ。なら、これはノブナガとオレの秘密だ……)


 そして居間にいるノブナガの前に座るトシツネは、どうやら同じ事を考えていたノブナガに聞かれた。


「俺が異世界人というのはまだギルドにはバレて無さそうだな。今後も話さないという方針は変わらぬな?」


「当然だ。知られたら間違い無くギルドが調査に来る。オレ達に自由が無くなるぜ?」


「それは困るな。ギルドの連中からの呼び出しも無いようだが、本当に大丈夫なのか?」


「前にも話したがエドランドに住民登録をすれば問題無く暮らせる。この都市は基本的に来るものは拒まない。それでも目に見えた事件が多く無いのは、ギルドに登録してもしなくても住民票データ照合で近隣の都市で事件を起こしてれば弾かれるシステムだからだ。各地のギルドの情報はコンピューターで管理してる」


「一度住めば、情報が残り更新もされるのか。おかげで、この俺が異世界から転生して発掘された事は内密に出来そうだな」


「そうだな。この件についてはもう問題無いさ」


 ギルドの長官は忙しいので、ベビーサタンを撃退し、ダンジョンの崩壊の事実を黙っていた程度の事では呼び出しがかからないのをツボミは知っていたから問題無く日が過ぎた。

 そうして、トシツネがノブナガを発掘してから一月が過ぎる。


 エドランドにおける生活や文化。人間の敵であるモンスターやダンジョンなど基本的な事を殆ど勘でノブナガは学んだ。この男は新しいモノ好きであるようで、異常な好奇心の強さがジパングワールドを知る知識欲として動いているのであった。


 その最中、トシツネはダンジョンにおいて新しいルートを発掘してしまったのである。


 それは強力なモンスターが現れる特殊なルートであった。このルートはかつて魔族が利用していたらしい古びたワープ装置から魔界付近へのダンジョンへとワープ出来るショートカットルートである。それを使い、トシツネは自分の借金問題を解決しようとしていた。

 それをダンジョン内でノブナガに話すトシツネはガッツポーズをしながら語る。


「この魔界に近いダンジョンエリアは未開のルート。ドラゴンなどが出てくるルートならば魔王軍の本拠地へも近道になる。これは売れるな」


 そう、トシツネはこの人間達が未開のルートであるダンジョンを「売ろう」としていた。ギルドが魔界へ続く地下ダンジョンの中層階付近までを管理している以上、新規のルートが現れた場合その管理権限を欲しがるのは必須だ。ましてや、ダンジョンの下層界へ行けるルートならば、危険なエリアというリスクがあっても手にしなければならない。


「このルートはあのベビーサタンが人間界付近まで来たルートの可能性がある。ドラゴンもいる以上、調査しないと結構ヤバいルートだぜ。ここはギルドに売って、その辺の調査もさせればいいさ。オレって頭良くね?」


「ギルドはやめておけ」


 自信満々で気分良く話しているトシツネに冷徹な目を向けるノブナガは淡々と言う。


「話を聞く限りギルドは自分達の都合の良い社会を形成している。源土一族がかつて栄光を生み出したダンジョン発掘という仕事はこのエドランド付近ではもう無いのだろう? だからこそ、あのベビーサタンは極秘ルートを使い地上付近へ侵攻し、ダンジョン内に潜んでワープゲートなるものを一年以上かけて作っていた」


「確かにダンジョン発掘はもうこのエドランド周辺には無いさ。けど、この新ルートはダンジョン発掘と言えるだけの価値があり、金にもなるはず」


「そこが問題なのだ」


「? どゆこと?」


「貴様がギルドに交渉しても、おそらく借金は全て返済した事になる可能性はある。しかし、この新ルートのダンジョンに関しては絶対に貴様が調査する事になるぞ。それでもいいのか?」


「オレ……が?」


 ふと、ギルドというジパングワールドほぼ全土に点在するダンジョンを管理する組織を考えた。そのギルドとは街の治安やダンジョン内からモンスターが出現しないよう、人々の安心を管理している絶対的な組織だ。だが、その裏では自己の利益を貪るような腐敗した所もあるのが事実。


 それは英雄になり損ねた自分の親父への扱いや、源土一族から法を武器にして奪った土地を考えれば一目瞭然であった。ゴクリとツバを喉に押し込むトシツネは答える。


「……マジか。有り得るな。ギルドの連中は結構セコイからなぁ」


「だからギルドには言わん方が良い。貴様は絶対にギルドには関与するな。関与するならあのキツネ顔の小娘にしておけ」


「あのキツネ顔の小娘?」


 ふと、ノブナガの言うキツネ顔の小娘の顔を思い浮かべた。


「アカネの事か。まさか不動産王金剛ファミリーの娘のアカネにこの新ルートダンジョンの権限を売るのか?」


「そうだ。あの小娘は金持ちの不動産王だろう? 絶対に直接ギルドには売るな。あのキツネ顔の小娘を通して売れ。そこから全てが開けるはずだ」


 その話で納得したトシツネはダンジョンから脱出して自宅へ戻る。そうして、アカネを自宅に呼び出して今日ダンジョンで発掘したダンジョン下層界への新ルートの話をする。


「話はわかったわ。確かに私達金剛ファミリーからギルドへ話が進めば、ギルドも横暴な態度は取れない。ギルドへの献金もあるからね」


「そして、トシツネがギルドに新ルート発掘の件を知られる事も無い。これでキツネもタヌキにも貸しが出来たな」


 最後にノブナガは余計な事を呟いたが、これによって金剛ファミリーからギルドへ渡る事でトシツネが発掘したという記録も消え、ギルドにその力を狙われる事は無くなった。


 栗色の髪の少女は今後もトシツネがギルドに目をつけられない為の話をする。


「それから、トシツネ君のチートパワーも知られ無い方がいいわ。ギルドがモンスターを束ねる魔王軍を倒す兵として使う事になるだろうから。……ってちょっと待って。外にレターバードが来たわ」


 む……? という顔をしたノブナガはそのレターバードなる動物を見た。

 確かに窓の外には赤い大型のスズメのような鳥が背中にバックを背負って手紙だよ! と訓練で習った言葉を言っていた。


 レターバードとは手紙を届ける通信用の鳥である。訓練をする事により、その街の特定の人物に直接手紙を出す事が出来る。その鳥を育成するのには金がかかるので、ギルドの人間以外は金持ちしか使えないのが現状だ。


 新しい事を一つ学ぶノブナガは状況が自分にとって上手く運んでいる事に内心、狂喜している。


「これで天下布武へ乗り出せるぞ。後は進むのみだ」


「ちょ、待てよノブナガ。借金返済しても、天下布武とか関係ねーぞ? オレはスローライフを送る。歴代の源土のように寿命が縮まるような生き急いだ人生はゴメンだ。オレの代から源土一族は増えて行くんだからよ」


「フン、わかっておらんの。その結果が天下布武になるはずだ。我々の二つの道は遠くで交わるであろう」


 と、二人の男が噛み合わない話をしていると茶髪の金剛ファミリーの黄色い上着を着た不動産王の娘がレターバードの手紙を持って外から戻って来た。


「んじゃ、ツボミとかも非番になったみたいだし、夜はみんなで風呂にでも入るとしますか。二人共、温泉に水着は厳禁よ?」


『こ、混浴温泉か!』


 トシツネは興奮し、ノブナガは何故混浴? という反応をした。そして、源土露天風呂にて混浴パーティーが始まろうとしていた。

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