1/5
epilogue
小さいころから、私は花が好きだった。
学校の帰りに、道端に咲いているタンポポやポピーやヘビ苺を、摘んでは花束にしていた。バレエの発表会の時に、いい匂いの花束をもらって帰った日は心が躍った。
人工的に作ったものでは絶対出せない愛おしさがあった。
うまくは言えない。
でも淡かったり、時に鮮やかだったり、つやつやしていたり、ふわふわしていたりするそれは、生花にしか出せない。だって息をしているから。
お姫様でもケーキ屋さんでもお嫁さんでもなく、私がなりたかったのはいつだって花屋さんだった。
「いらっしゃいませ」