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神ノ遊ビ~神殺しの剣士編~  作者: セドル
第一章 
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第一話 魔王抹殺

 「は?」

 先程まで圧倒的な力で抗わせることなく魔物を切り裂いていた男の口から、予想も出来ない程の間抜けな声が出る。何故自分なんだ?自分の事を知っている筈がないのに。その質問に少女は不思議そうに答えた。

 「この砂漠を無傷で歩ける人が強くないわけありませんわ。」

 …確かにそうだ。常人であれば既に肉塊にされ、喰われているだろうが、この男は無傷で、しかも、砂漠の中心まで歩いてきていた。そう。ここは砂漠の中心。故にこの砂漠を管理するため(出来てはいないが。)、恐らく特殊な結界でも貼ってあるのだろう。

 「そんな殿方にお願いしたいことがありますの。」

 殿方…見た目的に年齢は13~15といったところか。よくできた少女である。恐らく村長か、その娘と いったところだろう。

 「何故何も話してくれないのですか?」

 心配そうに話しかけてくる。男は子供が好きだった。邪な意味ではなく、昔よく面倒を見ていたのだ。

 「…話は聞く。」

 初めて聞く男の声に少し驚いた様子ではあったが、すぐに正気を取り戻し、村へと案内する。



・・・・・



 広い。間違いなく広い。そこらの町とは違う。この町で一体何の頼みがあるのだろうか。

 「こちらに。」

 案内された場所はしっかりと整った部屋で、偉そうに村長が座っている…と思ったのだが、村長は絶望したような表情をして、荒れた部屋の隅でうずくまっていた。しばらくすると、自身の娘がいるのに気付いたのか、立ち上がった。

 「そのひとは?」

 掠れた声だ。初対面だというのに心配してしまうほどだ。

 「おじいさま。この方は途轍もない強者です。お話を伺ってくださるとの事なので連れてきたのです。」

 本当によくできた少女だ。父親?それとも祖父か?こんな奴の血を継いでいるとはとても思えない。そう考えているとその老人が口を開く。

 「無理じゃ。もうすぐ結界は壊れる。だというのに魔王。しかも神の位に近い、魔王ディリヌュスだ。この砂漠で当たり前のように生きているのだから強者であることは間違いないが、所詮は人間。無理じゃ。人間に神は殺せん。」

 …少しイラッとした。久方ぶりだ。感情をまともに感じたのは。

 「ですがおじいさま。このお方は傷一つ負っていないのです。魔王のせいで活性化しているはずの魔物が跋扈するこの砂漠を無傷、しかも食料を身に着けている様子もなく、ここまで来るのです。普通の人間、そこらの強者とは違う圧倒的強者だと思うのです。」

 「じゃが、その者は話を聞くといったのじゃろう?それは保険でh

 「やる。」

 「「へ?」」

 「なんだその反応は?やると言ったんだ。」

 すると少女が飛びついてくる。

 「ありがとうなのです~。」

 ちょっと泣きそうになっている。やっぱり無理をしていたのか。そう思いながら頭を撫でてやる。

 「む、無理じゃ!あれは神にも

 「神ならずいぶん昔に殺した。腕は落ちていない。仮に落ちていたとしても魔王ごときに負ける俺じゃない。」

 「な…」

 驚いている。当たり前だ。目の前の男が神を殺したなんて事を言ったのだ。だが、その老人…いや、村長はしっかりと俺に跪いてしっかりとした口調で言った。

 「この村を救うため、魔王ディリヌュスの討伐を願いたい。」

 その村長からは、先ほどまでのおびえた様子は無く、よくできた少女に見劣りしない村長らしい風格が出ていた。心が折れるとはこれだから恐ろしい。

 「同じことは言わない。」

 「「感謝します。」」

 先程まで自分に抱き着いていた少女もいつの間にか跪いている。

 「ある程度の場所は分かるか?」

 「はい。魔神殿の近くまでお連れ出来ます。出立は明日の早朝としましょう。」

 この村長しっかりしてるな…さっきまでの弱弱しさが完全に消えている。だが、異議ありだ。

 「今出る。明日は祭りでも予定しておけ。今日中に葬り去ってやる。」

 「しかし、お疲れでしょう。」

 「疲れてなどいない。たかが4年食事と休息を取っていないだけだ。その日が1日増えようが、1か月増えようが俺には関係ない。」

 「…ではそのようにしましょう。」

 村長が折れてくれた。流石に物分かりがいい。

 「じゃあいくぞ。」

 「はい。リテュナは村でおとなしくしておれ。」

 「嫌です!というか、入るところ見つからなくて入れなかったけど、連れてきたの私だよ?私が連れていくもん!それにおじいさまいつの間にかいつものおじいさまに戻っていますし!私はこの殿方と一緒に行くの!」

 ほっぺを膨らませて怒る。

 「じゃが、お主には危険じゃ。」

 「それでも私が連れていくの!」

 「…申し訳ないがこの子に案内を任せてもよろしいだろうか。案内はしっかりできるのじゃが…強欲だと思うが、この子を守ってほしい。」

 「…分かった。行けるなら問題ない。守る必要はない。味方を守るよりも敵を殺す方が早い。」

 「感謝します。」

 「じゃあ改めて行くぞ。」



・・・・・



 「ここが。」

 でかい。巨大な神殿だ。しかし、小細工はないようだ。すぐそこに魔王がいる。

 「殺るか。さがってろ。」

 「ヌゥ?ほぉ。お主我に挑むというのか。面白い!その面白さに免じてハンデをかけてやろうか。」

 「いらん。調子に乗ってるとすぐ死ぬぞ。」

 「ほぉ?では全力でかからせてもらおうか?」

 俺は即座に分析を始める。羽はおそらく飛ぶためのものではない。恐らく飛び道具だ。手には毒…呪いがかかっている。あれに触れるのは俺でも危険だ。余裕のある表情。目だな。心を読めるな。

 そこまで考えたところで魔王の顔が歪む。やはり心が読める…というよりは考えていることが読めるだな。体の中心に位置する玉。あれからはレーザーのようなものが出てくるだろう。しかし、弱点でもありそうだ。

 

 魔王は不思議がる。何故この男はそこまでわかるのだ?訳が分からん。しかしこれは分かる。仕掛けないとまずい。これ以上分析されるのはまずい。そう考えた魔王は先手として、レーザーを放った。

 「黒の波動(ダークブラスト)!!」

 

 仕掛けてきたか。短気なやつだ。まぁ、なんでもいい。切り殺せばそれでいい。

 「来い。「閻魔刀(ヤマト)」。」

 そして、自身に向かってくる光線に刀を向け、

 「第一圏より来たれ辺獄。遍く全ては無に横たわる。「辺獄の苦」。」

 その言葉を放った瞬間光線は消える。そして次の瞬間

 「死ね。」

 魔王の身は両断された。



・・・・・



 「すごいです!すごいのです剣士様!どうやってあの魔王をこうも速く倒したのです?」

 「斬った。簡単だ。」

 少女はポカーンとする。そしてハッ!と我に返り

 「やっぱりすごいのです!」

 理解できなかったようだ。



・・・・・



 「おぉ!剣士様。偵察は終わったのですね。やはり策を立てて挑まねば。」

 「もう斬った。それなりに強めで斬ったからな。一瞬だった。」

 やはり村長はポカーンとし、ハッ!と我に返って

 「では策を立てましょう!」

 理解できなかったようだ。流石血縁というべきか…

 「ともかくもう終わった。」

 「…マジ?」

 「二度も言わせるな。」

 「…英雄じゃ。」

 は?

 「英雄じゃぁぁぁぁ!」

 皆を集めねば!とか言って村の中に走って行く村長を見て面倒なことになる予感をさせながら、自分も村の中に入っていくのであった。

おぉう。またチーターか。

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