釣り堀にて
「最悪。」
はいはい、また最悪頂きましたぁ。
次言ったらキレるからな。
俺は高校二年生の中林連、最近付き合うことになった皆瀬川忍と釣り堀に来ている。
まぁ、付き合うって言っても幼稚園からの幼馴染の女だから今更ドキドキもしねぇけど。
そりゃ顔も悪くねぇし、長い髪の姫カットは嫌いじゃねぇよ。なんか成長期で発育も良くなって胸とか無駄にデカいけど、別に興味...ナインダカラネ。
「最悪。」
はい、通算16回の最悪頂きました。キレます。
「何が最悪なんじゃボケ!!そんだけ釣ってて最悪とか言うとか、お前が最悪だわ!!」
ちなみに俺は見事なボウズ。
「あんたがデートなのに楽しそうな顔をしないで、しかめっ面してるからでしょ!!大体初デートが釣り堀って頭いかれんの!!サイコパスかよ!!」
「金が無いんだよ!!とにかく金が無いんだよ!!仕方ないだろ!!」
「はぁ、寒いし、魚生臭いし、大最悪よ!!」
「うるせぇ!!竿引いてンぞ!!」
「うっしゃあ!!最悪っ!!」
最悪とか良いながらどんだけ釣るんだこの女。プロかよ。
「大体寒いとか言いながらワンピース姿なのが矛盾してんだよ!!」
「し、仕方ないじゃない。か、可愛い服がこれしか無かったんだから。」
「えっ、あっ、その...なんかすまん。」
二人で顔を赤くして黙りこく。くそっ、なんか調子狂うわ。
何で今になって告白しちゃったかな俺。
「あっ、また釣れた。」
...釣り堀の魚を全部釣り尽くす気かよ。
俺を見て挑発する様に笑う忍。あぁ殴りたいぐらい可愛いなぁ。
「ねぇ、勝負しない。シンプルに次に魚を釣った方が勝ち♪もちろん賭けアリで。」
「あっ?俺が負ける筈ねぇだろ。あとで吠え面こくなよ。俺が勝ったらジュース奢れ。」
勝算はまるでないのに俺は強がった。
「じゃあアタシが勝ったら口と口でキスね。」
「承知...ってアレ?キス?誰と誰が?」
「...アタシとアンタが。」
目眩がした。冗談だと思った。けどなんか忍がリップクリーム塗り塗りし始めたからコレはマジなヤツだと理解して俺は生唾を呑み込んだ。
これ勝っても負けても...てか負けた方が得?
だかこんな時に限って俺の竿にヒット。
しかも竿がしなり過ぎて折れそうだ。
「くっ!!なんだこいつ!!」
とここで俺らの前に謎の老人が現れた。
「若いの、それはこの釣り堀のヌシじゃ。御主の様な素人では釣ることは出来ん、それどころか水の中にに引き込まれるぞい。早々に竿を放せ。」
なんで釣り堀にヌシが居るんだよ!!
「竿を放す!?ぬかせよジジイ!!死んでも放すかよ!!」
と、強がってみたものの状況はかなり悪い。このままだと本当に水にボチャンだ。
「グギギギギッ...。」
「負けんな頑張れ!!」
...か、彼女様からの応援だ。可愛いところもあるじゃんよ!!
「つ、釣ったら胸揉んでも...良いよ。」
「いっ!?」
忍さんよ、急に積極的になって肉食系になるの止めれ!!謎の老人がニヤニヤしだしたじゃんか!!
...俺は忍の胸を揉みたいのか?いや考えるまでもねぇだろ。付き合うことになってから常時揉みたいと考えていたろうが!!
俺はこのあと小一時間ヌシと格闘し、なんとか釣り上げたのだが握力が無くなって胸を触るに留まり、その上「やっぱりいやぁあああ!!」とか言い出した忍に思いっきり右頬を打たれて、泡を吹いて倒れて気絶した。
みんなも彼女の胸を揉む時は要注意だぜ。