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第4部思い出エピソード 小姑島で


これでもここは東帝都内……大笠原諸島の小姑島は春4月ですが南なので常夏の気候です。

小姑島の町立小学校5年生の一ノ瀬緑はジーパンの半ズボンに白いランニングに麦わら帽子ビーチサンダルを履いて網を持ち 虫取りに出かけていた。

岬の崖に 波しぶきがくだける場所で 海風に吹かれながら ペットボトルのお茶を飲んだ。

そのとき 目の前を まるで1枚の絵から抜けてきたように

美しい帆船が 通り抜けていった。

その舳先に 見たこともない美少女が まるで映画の1シーンの様に

物憂げに 海を見ていた。

自分と同い年位だが 幼く見えた。


そういえばきょうは母がメリ合州国からひさしぶりに返ってくる。

何の仕事してるのか知らないが、めったに帰ってこない。

ばあちゃんも姉ちゃんも朝から家を掃除してかたづけている。

あんたは邪魔だ! と追い出されたのだったが

時間になったら母を港に迎えにいかないといけない。じいちゃんの命令だ。

ほっといてもいいのに……母なんか 大人なのに。


昼前に 緑は母を港に迎えに行った。

なんと 港にはものすごく大勢の人が集まっていた。


連絡船に緑の母の姿が見えると その人たちはみんな

「万歳!万歳!万歳!峰子さん!」と叫んでいた。


緑「?」 (こいつら頭おかしいのか?)


だれかの足元に紙屑があった。大勢の人に踏まれた紙屑には『号外』とかかれ

『一ノ瀬峰子 ひのもと国初女性ノーブル物理学賞受賞』と書かれていたが

緑は5年生でも勉強嫌いで漢字が苦手で新聞をマンガ以外読まなかった。


母は大勢の人に囲まれてもみくちゃにされていて なかなか近づけなかったが ようやくそばにいくと 

母「緑 パパを呼んできて!先について港の東側にいるはずだから。私は家で待ってるから、たのんだわよ!」

「?!」緑は赤ちゃんの時以来 父に会っていないのに 母は無茶を言う……

じいちゃんは「お前の父はひのもと国男子の鑑だ!漢の中の漢だ!」とよく褒める。

・・・顔も知らんのに 母め!

港の東側は無人灯台があるだけで ふだん人がいない。……まあ行けばわかるだろ。

行ってみると、外人の観光客らしいのがいるだけで誰もいなかった。

緑は崖の向こう側まで探したが誰もいなかった。

父親を探して忙しいのに外人が声をかけてきた。


まわりをうろうろきょろきょろしてる緑に

外人の男「What a you doing now?」

……英語なんて わかるか!


小さな女の子まで出てきた。

外人の女の子「Who are you?」

……わからんわい!


いくら探しても父はいなかったので仕方なく家に帰ったら。

いつも威張ってる町長が来て あろうことか母にペコペコしていた。


町長「あなたの銅像を島の主な場所に数か所立てたいのですが。いかがでしょうか」


峰子「やめてください!そっとしといてください!」母は町長を追い出すと緑に聞いた。「パパは?」


緑「いなかったよ」


峰子「どこいったのかしら?あんな小さな娘つれて」

そのときさっきの外人がニコニコしながら家に入ってきた。


峰子「まあ アルベルト 心配したのよ!」


さっきの外人「……(何か言ってるが緑にはわからにない)・・」


峰子「えっ?この子が知らん顔して帰っちゃったって?」

峰子「緑!あなた パパがそばにいたのに なにしてたの?」


緑「!?」


さっきの外人「……(何か言ってるが緑にはわからにない)……」


緑「おれは親父の顔 知らないぞ!」


峰子「ええええええ?!」


緑「俺の親父って外人?!」

ひのもと国語をしゃべれない父と妹と外国語のわからない緑の

これが最初の親子の対面だった……


そのころ


小姑島のすぐ隣に狭い砂州で繋がった出戻女島という小さな島がある。

そこはその昔、大笠原諸島の領主の館があった。鎖国がおわってから新政府によって貴族になった領主は、子爵の館という洋館をエウロパから建築士をよび建てた。

写真でみる子爵の館は不気味な様子だが目の前の館はまるで豪華ホテルのようだった。

ヨハネス・アレクサンドロスが子孫から買い取ってすでに改修も済ませていたのだ。


ヨハネス・アレクサンドロスはエレオノーラに得意げに言った。

「ほら おまえが1年間住む家を用意したぞ!」


エレ「・・・・よけいなことしないでと言いませんでしたか?おじいさま!」

エレオノーラはきつい口調で言った!

エレ「私 この家には住みませんから!」


ヨハネス「ええええええ!?」


エレ「一ノ瀬峰子さんの育った家で暮らすことはもう決めてます。」


ヨハネス「しかしあんな犬小屋みたいな家で?!」


エレ「おじいさま!世の中には言っていいことと悪いことがありますよ!私はその犬小屋に住みますので!

執事のビショップさんに頼んで小姑町立小学校の5年生に転入手続きをしました。」


ヨハネス「ええ?!もう大学の物理学科も卒業し大学教授の資格もあるお前がどうしていまさら小学生?!」


エレ「1年間私に連絡はしないでください!私は一ノ瀬家家族の娘として1年暮らしたいんです。」


ヨハネス「わかった。これまでお前が言ったなかで最大のわがままだが、きこう」


エレ「この家は小姑島の町にでも寄付します。」


ヨハネス「好きにするといい……」


エレ「ではこれで。1年間さようならです、おじいさま」

ヨハネス・アレクサンドロスはこの世の終わりのような顔をした。

エレオノーラはさっさと祖父の前から立ち去った。


その日


(一ノ瀬家はもともとは小姑島の地元の漁師で

源太郎は腕の良い漁師で小夜子は海女だったが今は

源太郎が時々知り合いに頼まれて友人と自分の楽しみのために釣り船を出すくらいである)

 

一ノ瀬家はきょうは源太郎がとくいの包丁さばきで最高の刺身を作った。魚はむろん、昼に源太郎が釣ってきたばかりの魚である。残りの魚を使ってアルベルトが最高のブイヤベースとパエリヤを作った。

アルベルトがもってきた秘蔵のワインと、源太郎の秘蔵の焼酎と。

子供達にはジュースと。

エレオノーラ歓迎と家族がそろった宴は夜おそくまで続いた。


次の日


緑は姉に雑誌をかしていたのを思い出した。少年ナンチャラに1作 姉の読みたい漫画があるのだ。

緑「貸すのいやだ!ねーちゃんが読みたいなら自分で買えばいい!」といったら おじいちゃんに怒られた。

姉の部屋のふすまの外から

緑「おねーちゃん ぼくの本返してよ」といったが部屋は真っ暗で返事はない。すーすーと寝息が聞こえる。

ふすまをソロっと開けると、奥の姉の机の上に少年ナンチャラがあった。

抜き足差し足で緑は姉の部屋に入ると、手前の布団で姉の桜が、奥の布団でエレオノーラが寝ていた。

エレオノーラは今日、クラスで転校生として紹介され緑の同級生になっていた。

緑は二人の寝顔をしげしげと見た。

中学生の姉は 近所でも可愛いと評判の少女だったが

エレオノーラの端正な顔立ちは まるで美術の本に出てるミケなんとかの造った大理石の天使像のようだった。

緑は目的の自分の本を回収すると そっと部屋をでた。



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