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第42部  挿絵あり

挿絵(By みてみん)

王宮の迎賓の広間では、披露宴が行われる。

婚姻の儀に招待された世界各国のVIP800人が集まっていた。


きょうはひのもと国の女帝あまのみかど虹の宮飛鳥さまと野茂村治五郎氏の婚姻の儀の日。

ひのもと国のあらゆる著名人、要人、世界各国からひのもと国王室とゆかりのある厳選された人々が1500人招待された。その配偶者いれて×2=3000人


ひのもと国の王室関係者と政府要人とその配偶者はみな衣冠束帯と十二単姿である。


今年ご病気を理由に60歳で退位された上女帝じょうあまのみかど遥かの宮雅陛下、その夫で68歳の上帝配じょうていはい鏡四郎陛下のご夫妻、胸山総理大臣夫妻、メリ合州国トランク大統領夫妻、他etc世界のVIPが華麗に集まっている。

ひのもと国が誇る30人の料理人が最高の料理を提供する。

100人の正装したウエイターが完璧なマナーでテーブルサービスを整然とこなすために控えて居る。

周囲の壁がすべてガラスの迎賓の広間から、これから賢所に向かい夫婦の誓いを祖先の神々に行う、十二単の女帝あまのみかど飛鳥さまと衣冠束帯の野茂村氏が二人揃ってしずしずと王室の渡り廊下を歩いて行く姿が見える。この様子はすべて全国にテレビ中継されている。

VIPの客の中にアレクサンドルコンツエルンの会長であるエレオノーラのパートナーとして正装した一ノ瀬緑の姿があった。

不慣れな正装した緑がエレオノーラを緊張でがちがちに固まってエスコートしている。

エレオノーラに挨拶をして、緑を見てさらに固まった人物がいた。世界警察のブリオシュ長官である。彼は男やもめである。

見開いた眼で、緑を見て石のように固まっている上司に緑は「ここが襲われるという情報があったので、ここの警備のためにエレオノーラさんに無理やり頼みこんでパートナになりすまして潜入させてもらってるんです」(これはエレオノーラをチロ見して聞こえるように言った緑君の当てつけ)

ブリオシュ長官はホッ!として言った。「あたりまえだ。おまえのような使えないゲス男にこんな絶世の美女が惚れる訳がない!」彼は嬉しそうに嘲笑った。




エレオノーラが王宮晩餐会の招待席に座ったが、緑の姿はなかった。







800人のすべての招待客が席に座って、二人が婚姻の神儀を終えて挨拶に来るのを今か今かと待っている。

その時、一人の衣冠束帯姿の美少年がバイオリンを迎賓の広間の隅っこで弾き始めた。

素晴らしい音色である。


今か今かと待っている世界のVIP等の招待客は、ホッと一息付いた。

19年の行方不明から奇跡的に先月、帰還した武烈宮仄である。


この天才的な19歳の美少年の弾くバイオリンの音はあらゆる人の心に染み入る。

仄は飛鳥にテレパシーで話しかけた。


それは彼が10歳を過ぎたころから、ド・テナ教団の中で母親と自称する霞子に閉じ込められて、この世のどんなまともな知識も教えられずに暮らしていた時、いきなり……一人の少女から、彼は話しかけられた。少女も最初、少年と話ができることを驚いていた。しかし少年にとって世界で唯一まともに放せる友人ができた。

霞子の暴力は果てしなく、それを少年は当たり前と思って生きていた。この世でたった一人の相手、飛鳥と名乗る少女と会話できることは、少年の心を救った。やがて少年は、その相手が、ひのもと国の飛鳥王女であることを知る。

少年は飛鳥王女に淡い恋心を抱いた。

飛鳥王女のほうも少年の事を思ってくれるようになった。二人は相思相愛となった。

不可思議だが、たった二人がこの世で誰にも知られず、無邪気に語り合った。それはカルト宗教団体の中で、母と名乗る女性からの日々の暴力の中で生きてきた少年にとって生きるささえであった……ところが……飛鳥はある日、仄のよびかけにも応えなくなった。


あれほど優しかったのに。

あれほどいつも楽しく話していたのに。どうしたの? 

きみに何が起きたの? 飛鳥!?

僕の愛しい人……


……飛鳥、目覚めて! 愛してるよ!……少年は飛鳥と心と心で話し合った、通じ合えた以前のように、飛鳥の心に必死で呼びかけた





周りがすべてガラス貼りなので、渡り廊下を古式ゆかしい衣装で正装し、しずしずと行く二人の姿がすべての招待客にも見える。


渡り廊下の下はすべて白い玉砂利が敷かれ、清々しい神聖な場所の雰囲気が漂う。


そのとき、賢所の100メートル位手前で、正装した男が走り出て玉砂利の上から渡り廊下に飛び乗った、


二人の行く手を遮った。


一ノ瀬緑である。


テレビ中継のカメラマンが緑をUPにした。


緑は女帝陛下を見て顔を曇らせて言った。

「可哀そうに、薬を飲まされているんですね」

女帝陛下は冷たい無表情で、緑を見ても何の反応もない。まるで十二単を着た人形のようだ。


緑は野茂村治五郎に向かって言った

「おまえは、すでに二年前に死んでいる。これがお前のラジリア警察の司法解剖の報告書だ!」


緑は、一枚の書類を野茂村治五郎の前に突き付けた。


テレビ中継のカメラマンが緑をさらにUPにした。




一ノ瀬緑は野茂村治五郎を指さして言った「お前はゾンビだ!」


緑の凛とした声は、迎賓の広間にいるすべての人々に聞こえた。


迎賓の広間の3000人のVIPがどよめいた





野茂村が言った「なにをたわごとを! おい、この気ちがいをここから追い出せ!」






そのとき、さらに白い玉砂利の上を裸馬に乗り、乱入した男がいた。

もう1台のテレビカメラがそれをUPにする

その走る裸馬の上で弓を弾き絞って構える老人。

武烈宮武烈である。

70歳とは思えぬ筋肉隆々の上半身を肩肌脱いで、武烈は弓を引き絞ると、

耳に挟んだイヤホーンの相手に聞いた。

エレオノーラであった。

武烈「実体はどこだ?」エレ「首の第二軸椎、いわゆる喉仏です。それが実体です。そこを撃てば……」


エレオノーラが迎賓の広間から、野茂村治五郎をじっと見て、武烈に答えた

武烈は美しい銀の矢を弓につがえると、弾き絞り、ヒョウ!と放った。


その矢は見事に、野茂村治五郎の喉を射抜いた。


野茂村治五郎は、不気味な「ごぼっ!」という呻き声を出すと、そのまま、黒いゴミのようになり、消えてしまった。


あとに、第二軸椎の喉仏の白い骨が、1個、この男のいた場所に転がっていた。


一ノ瀬緑は、十二単を着た飛鳥王女の身体を支えて抱えた。

彼女は眼を開けて立って、夢遊病のように前に歩こうとする。

まるで意識はない。緑が呼び掛けても反応がない。


「飛鳥王女さま、大丈夫ですか?」


バイオリンを弾くことで、仄の心は、高ぶった。バイオリンの音色と共に、

……飛鳥、僕だよ、飛鳥……どうか答えて……


……うん? だれ?わた…し…を呼ぶのは……


……僕だよ、飛鳥、仄だよ……

……仄、どうして今まで、わたしをほっぽってたの? 許さないんだから……

……良かった、気が付いた?……




緑が飛鳥の身体を支えていると、パッチリ! と飛鳥は眼を開けた。


「ちょっとどいてください!」といきなり、緑を押しのけると、ずんずんと十二単を着たまま、迎賓の広間に行き、隅っこでバイオリンを弾いて、必死で飛鳥に呼び掛けているつもりの仄の首根っこをムンズ!と掴んだ。


仄「ん?!」


「許さないんだからね!」と飛鳥は何故か声を荒げてプンスカ怒っている!


飛鳥は仄の襟国を掴むと、そのままズルズルと廊下を引き摺って行き、賢所まで引き摺って行くと、仄を賢所に押し込んだ。そして自分も中に入った。


しばらくして、


ーーはい、ただいま、女帝陛下と花婿さまの婚礼の儀が滞りなく終了し、祖先の神霊の前でお二人は夫婦めおとになられましたーーという王室執事の、声高な、王室の儀式にのっとった大声での広報があった。


賢所からーー眼が点ーーになった仄の胸倉捕まえてズンズンと引き摺って、女帝飛鳥さまは、迎賓の広間にはいってこられて、待ち受ける招待客たちに向かって、ご自分のお声で、


「ただいま、婚礼の儀が終わり、仄と夫婦になりました!」と大声で笑顔で800人の招待客に報告した。


それから、盛大な王宮晩餐会が始まった。


そして、そのあと、披露宴は滞りなく終わり、

大規模に交通を遮断した、馬車による広い公道でのパレードが行われ、まるで何事も無かったかのように、沿道に詰めかけた国民の声援に答え、二人は、王宮へと戻り、国事行為はそれで終了した。


お二人はお二人の私的空間へとーーーー飛鳥さまが眼が点になった仄の耳を引っ張ってーー「いててて!」ーー引き摺って行った。


めでたしめでたし(#^^#)♪



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