第39部 挿絵あり
挿絵はドクター・エレオノーラ
エレオノーラの巨億の富の物量の医療と彼女の人智を超えた知力の医療で
仄は19歳の本来の肉体と快活さを取り戻した
「Drローラン・ガヌロンが逮捕された。急いで来い」とリーベ本部長より緑に招集がかかった。
一ノ瀬緑はDrローラン・ガヌロンの取り調べに動員されて行った。
70歳でも意気軒高な武烈宮武烈と40歳で世界的なピアニストの小川加恋がやってきた
アレクサンドロスビルの会長室で、エレオノーラは二人を迎えた。
エレオノーラにとっては母方の祖父に当たる人であるが初対面である
武烈宮武烈は60歳で退位された上女帝遥の宮雅陛下の兄上である。
21年前に妻が病死してからピアニストの小川加恋と出会い結ばれたが8人の娘に気兼ねして籍は入れていない。
19年前に小川加恋との間に授かった初めての男の子をDrローラン・ガヌロンの病院で小川加恋が出産のために入院中に赤ん坊が消えた。
小川加恋は気も狂わんばかりに泣き崩れた。武烈宮武烈にとっても心の痛みは計り知れなかった。
二人を会長室に待たせてエレオノーラの方が遅れてやって来たのだが、会長室に入るなり、いきなり入り口の自動ドアにヒュッ!と矢がささった。エレオノーラの顔すれすれでである。これはかなり怖い。
「わっはっはっは。わしの13人いる孫には全員、気が向けばいつもこういう挨拶をするのだっ!」
ーーーーこいつかなりヤバイ親父だわ!(汗)----
カイゼルヒゲを生やし黒羽織袴に常に和弓と矢を装備したまま、昔の侍よろしく、東国だけでなく世界を闊歩する無茶苦茶な爺様である。
飛行機の乗客席にまで、和弓と矢を持ったまま
「これはわしのファッションじゃ!」と豪語してそのままごり押して乗ってしまうジジイである。
この爺様ーー70歳に置いてなお東国一の和弓の使い手であるーー
豪遊無双の弓手であり、古代の弓の名手にたとえられ、
今『鳥取の萬』と言われるほどの弓使いの猛者である
「わしの息子はどこにおる?」
エレオノーラの後ろから、おずおずと顔を出した仄を見て、
「おお、きみは世界的なバイオリニストの北条仄じゃあないか! まさか君がわしの息子だったのか?
いやはや、奇遇じゃ! わっはっは」
いきなりエレオノーラを突き飛ばし、北条仄におばさんが抱き着いて絶叫した。
母親の小川加恋だ。
彼女はソプラノのオペラ歌手でもあるのだが、そのオクターブ高い喜びの絶叫で、エレオノーラの会長室にあったお気に入りのチェコ製の国宝級のガラス細工の彫像やシャンペングラスがすべて砕け散った。
ひどい夫婦である。
ーーこれが私の母方の祖父?!ーーやってらんないわ!
しかし二人はエレオノーラにとても丁寧に礼を言い、深々と幾度も頭を下げ、感謝の思いを伝えた。
そして、仄を連れて帰って行った。




