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第38部   挿絵あり

挿絵(By みてみん)

さっき、あれほど激しく愛し合ったあとで、窓際で、裸体でエレと見つめあうと、どうしても緑は照れてしまう。

「愛してるよ」とそっと心の中で言ってみる。

もし、それを口で言えと言われるなら緑ーーにとっては、いまこの最上階から飛び降りるほうがまだましであるーーと思う

エレオノーラは平気でそれを言う

「あなたを愛してるわ……」

ずっといつまでも抱き合っていたい、黄昏時……


「きょうはコックに食事を作ってもらうことにしたわ」とエレが何気なく言う

……たまにはそれも良い……いつも二人の食事は二人で作るんだけどね……つまらない会話をしながら……冗談とか雑談とかしてエレと笑い合いながら……それは僕たち二人の貴重な時間




天才バイオリニストの少年が、弾くバイオリンの音が僅かに聴こえる。

この家は全室完全防音完備だから、その部屋に入ればきっと大音量なのだろうな


「あの子、ほのかくんは今何考えてるんだろう?」と緑


「うん? 最初は渚ちゃん以外には心を開いてくれなかったのよね。

 でも、色々話してね、ここ数日、私にも冗談言うくらい打ち解けるようになってくれたわ」


「そうか、よかった」



「あの子、ほのかくんに武烈宮武烈の息子だって本人に言ったの?」


「いいえ……あの子の精神状態の健康を最優先に考えるから、君は、黙っててね」


「ところでリュシスくんと僕の妹の泉の姿、最近見かけないんだけど?」と緑


「ああ、リュシスは……あの子嫉妬深いとこあるんで、泉ちゃんのサッカー個人コーチを命じて、世界女子草サッカーリーグの漫遊ツアーに行かせたよ。なでしこ入りを本気で目指してる泉ちゃんのために、がんばれ! てね。リュシスは汗水流すことは嫌いな子だけど、泉ちゃんのためなら労は厭わないからね……こういうときに追っ払う口実に丁度いい」


「ひどいねーちゃんだな」と緑は苦笑した


二人は、服を着ると、エレオノーラの邸宅の第2ゲストルームへ行った。



部屋の中で少年は狂ったようにバイオリンを弾き続けていた。

エレオノーラと緑が部屋に入ってもその曲を最後ま弾き終わるまで止めなかった。


バイオリンの音色が止まり、シーンとした。

「激しいのね」エレオノーラが笑顔でほのかに向かって言った。

「だって、手術を受けたら暫くはバイオリンが弾けないから。僕にとってバイオリンは太陽の光、空気、この世のすべてですから。食べる事より寝る事より大事な位です」少年は快活に語った。


緑「手術?」


「ええ、エレオノーラさんに元の生身の身体に戻してもらう手術を受けるんです、緑さんも、以前、軍事独裁者に優秀な武道家として誘拐されて戦闘用サイボーグに改造されたのを、エレオノーラさんの手術で生身の身体に戻られたと、きのう、エレオノーラさんに聞きましたよ」


緑「あははーエレ、余計なことまで話すなよっ」






A財団メディカルセンターの200人の医師がすべて集まった

今回は、一ノ瀬緑の時と同じように大プロジェクトで手術と治療を行なう

現在、ほのかの人格はスパーコンピュータメグの中にある。

ドクターローラン・ガヌロンの手によって

医師に無料で貸し出されているメグの医療用レンタル利用で人格をコピーされ、端末コンピュータを脳に埋め込まれ、ロボットにされた。

五臓六腑もそのほとんどを奪われ、病気の他人の臓器を移植されていた。

ほのかが生きているのは奇跡であるが、これは賢者の石の水を利用してほのかの生命を維持していたりする。

ドクターローラン・ガヌロンはエレオノーラも知らない新しい医療技術を独自に開発し賢者の石を用いて、ほのかを人体実験に使っていた。


ほのかの脳は、移植用臓器の液体窒素の保管庫に一緒に保存されていた。


保護された、ほのかの身体の他の部分も存在し、それらをすべて使い、ほのかを完全な、元の彼自身の身体に戻す、大プロジェクトである。

ほのかの体細胞を使い多能性幹細胞を作り彼自身の臓器を創造する。まずこの作業から始まる


A財団のすべての医師とスタッフが動員され、アレクサンドルコンツェルンの関連企業もすべて協力し、二か月掛かりで、ほのかを元の身体にもどす医療技術の粋を集結した『修復作業』が行われた。



二か月後に

ほのかは本来のの19歳の自分自身の身体を取り戻した。


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