第37部
洞窟の中を足早に走っている一行があった
武烈宮霞子と仮面を付け信者服を着たた60人の屈強な男性信者たちである。
いきなり武烈宮霞子が、腹をおさえてしゃがみこんだ。
「だめだわ、ここで産む」
「ええっ!」
「もう少し辛抱できませんか」
「無理言わないで!
武烈宮霞霞子は、しゃがみ込むと、お産を始めた。
彼女の足元から、不気味な赤ん坊が姿を現した。
声もたてない赤ん坊だが、生きて動いているようだ。
ゾンビのような赤ん坊である。
教祖の愛人であった武烈宮霞子は教祖の子供を身籠っていたようだ。
三千年前の王の子供を彼女は産み落とした。
信じられないことに、赤ん坊が口をきいた。
「余はプテオ・インビティアだ。いま、お前の娘の夫に殺された。よっていま、お前の赤ん坊に降臨したのだ」
「ああ、プテオ・インビティア王さま、この世に暗黒の世界をもたらしてください」
「すべてはプテオ・インビティア王のために」「すべてはプテオ・インビティア王のために」信者たちは口々に産まれたゾンビの赤ん坊に忠誠を誓った。
武烈宮霞子は、ゾンビの赤ん坊を抱きかかえた。
信者たちの先頭の男が、地図を広げている。
「ラ・トナピラミッドの壁画から写し取った地図によると、こっちです。霞子さま」
それは、一ノ瀬渚が迷い込んだ狭い通路よりもっとはっきりと異界への入り口が分かる大きな通路であった。そこから霞子と同行する60人の男たちは、そのまま、足を止めることなく、躊躇することなく、自分の産んだゾンビの赤ん坊を抱えた霞子と共に、紫のモヤの先へ真っすぐに進んでいった。超空間へ……
「火星へいけるのね」
「火星の古代遺跡へ行ける道ですな」
と信者たちは口々に叫んだ。
しかし、そのワープ通路の繋がる先は、渚が到達した火星ではなく、空虚な荒漠たる宇宙空間であった。
一ノ瀬峰子の案ずる通り、武烈宮霞子とゾンビの赤ん坊と、60人の男性信者たちは……火星にたどりつくことは無く、宇宙の塵と消えた…………
ここはラ・トナ村の横の荒野に着陸したセントバーナド世界警備保障社の巨大輸送機の中である。
一ノ瀬緑は、輸送機の中で医師でもあるゲルダ隊長の手当てを受けていた。
一ノ瀬緑は携帯電話で教祖プテオ・インビティアを倒した、とブリオシュ長官に報告した。
緑の手柄を自分の手柄にしたいブリオシュ長官は、世界警察の幹部を呼び集め、ド・テナ教団本部への突入と残された信者たちの一斉逮捕を指示した。
ドクターローラン・ガヌロンは全世界に指名手配された
輸送機のコックピットから、エレオノーラが現れた。
操縦席にいた輸送機のパイロットはエレオノーラだったようだ。
淡いサーモンピンクの口紅だけ。胸開きの大きなレースシルクのブラウスのボタンを大胆に下まで外し、巨乳が半分以上もろ出し。
パンツスーツ姿である。
「ボロボロのあなたもセクシーで素敵よ♪ 緑くん」
ゲルダが手当てしている緑の横へ来ると、緑が体中ギブスだらけなのも構わず
抱きしめて緑にキスをした。
緑「いててててっ! いてえなっ!」
「お疲れ様、緑くん、帰ったら、またう~んとわたしにサービスさせてあげるからね♪」
緑「……ひぃ……」
エレオノーラは緑に恩にきせるように言った
「はーい、緑。頼まれたラ・トナ村の復興は、3人の最高重役に指示しといたわ。
ここはド・テナ教さえいなくなれば、この荒野の絶景は素晴らしい物ね。ラ・トナ遺跡もあるし。
ここに新しいホテルを建てて、ハトさんにはホテルの経営をお願いするわ。
まあ、ホテル運営の勉強はこれからしてもらうけれどね」
エレオノーラのせいでまた、秘境の村が一つ消えていく。




