第31部
ここは南メリ大陸 ラジリア国の首都ラジリア市
緑はレンタカーで高名なラ・トカの遺跡へ向かっていた。
麻薬の売人になりすまし、ラジリア市の暗黒街に潜入し、麻薬の売人として活動しながら、いろいろ聞き込みを続けていた。
臓器売買についての情報はなかなか掴めなかった。
しかし、1か月ほど、地道に麻薬の売人になりすましてのおとり捜査活動で、なんとか情報を掴んだ。
いま、そのラ・トカの遺跡を不法占拠して教団の本部を置いているド・テナ教というカルト宗教の教団が怪しいとにらんだのである。
ド・テナ教というカルト教団では大勢の信者が行方不明になっていた。
と道路の真ん中に、道路わきの土の中から……大勢の浮浪者がうようよと湧いて出てきた。顔色も悪く、着ている服も異様に汚らしい。
まるで映画で観たゾンビのようだ。
異様な腐った生ごみの様な匂いがする。映画のゾンビと違うところは、猿のように素早いところだ。
緑は「これはヤバイ!」と思って、高速で通過しようとしたが遅かった。
浮浪者たちは、数十人が素早く、緑の車を取り囲み、力ずくで車を止めた。
彼らはみな怪力でバンパーを破壊して、窓ガラスを破壊した。
緑は車の外に飛び出すと、手当たり次第に素手で殴り飛ばした。
浮浪者たちは、まるで、本物のゾンビのように、手がちぎれて足がちぎれて、頭がちぎれた。
……これはゾンビだ。間違いない……
緑は30人ほど現れたゾンビを素手で殴り殺した。
緑の怪力で、現れたすべてのゾンビは、ばらばらにちぎれて、砂のようになり消えた。
ゾンビの様な化け物を30人ほど粉々にして何とか自分の身を守った
さすがの緑も息が上がってしまった。車はボコボコでもう使えない。
ラ・トカ遺跡まではあと10キロほどだ。
荷物を車から降ろして肩から掛けると、緑は歩いて行くことにした。
暫く行くと、ラ・トカ遺跡にあと数キロの荒野で、なんと数台のラジリア軍のジープが荒野を走っているのが見えた。
緑は手を振ったが反応がない。何か誰かを追っている……人間を追っかけているようだ。
ジープは緑の方へ向かって走ってきた。なんと軍のジープは一人の12歳位の少女を追いかけていた。
少女は泣きながら後ろを振り返りながら走っている。
緑の100メートルほど手前で少女はジープに追いつかれた。
軍の兵士は銃を構えて少女を今にも射殺する様子だ。
緑は、急いで、走り寄り少女の前に立ちはだかった。
「何が理由でこんなことをするんだ?」
「外国人か? 余計なことはするな。われわれはマルムを狩っている。この少女はマルムになりかけなんだ」
「マルムって何だ?」
「この地域に古来から住む悪霊だ。ボロボロの服を着ていて地下から現れる、俗にゾンビともいうやつだ」
「こんないたいけな少女を射殺するなんて許さない。僕は世界警察の国際特捜官だ。僕が責任もってこの子を預かる」
「なんだって!……うーむ!」
隊長はいきなり憎悪の表情を見せた。
そのとき、緑はさっきゾンビと戦ったとき、少し擦りむいたかすり傷が物凄く痛み出したことに気づいた。
そしてその傷口から緑の身体がどんどん黒ずみ始めた。
「……なんだ、こいつもすでにマルムに感染しているぞ! かまわん、この子供ともども容赦なく撃ち殺せ。責任は俺が取る」




