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 エレ「話してみて」


 緑「実は、俺は世界警察機構の命令で、特捜官としてのおとり捜査をこの2か月してたんだ。

 ダイナ王国の闇の人身売買組織の捜査で、そのためにきみにも2か月連絡取れなかった。

 ごめんよ」


 エレ「それは後で文句言うわ。なにがあったの?」


 緑「実は……1時間前に、上司に、俺が手に入れた闇の組織の

 幹部のすべての証拠を送信するはずだったんだが、

 それをすると、

 いま組織にいる人身売買され、売春させられている50人以上の

 15歳から19歳までの女の子たちが証拠隠滅のために殺される。

 やつらは絶対、そうする。」


 エレオノーラは腕を組んで緑の話を無言で聞いている。


 緑「おれの上司のブリオシュ長官は、ぜったい彼女らは安全だ、

 大事な商品なんだから殺されるはずはない、と言ってる。

 でも俺にはわかる」


 エレ「ふぅ~ん……」


 緑「あの組織に麻薬の売人になりすまし潜入し2か月いたんだ。

 彼らがどう考えどう行動するかは俺のほうが予想がつく。

 あの子らは殺される。」


 緑はエレオノーラに力を込めて語った。

「俺がこの証拠をブリオシュ長官に送信すれば、

 世界警察機構は、俺の証拠を使い闇の組織の幹部たちの一斉逮捕を始める」


「しかし、あいつらは女の子たちを自分らの犯罪の証拠になることを恐れて、

 女の子たちを殺す。

 女の子たちは体の中に致死量の麻薬のはいったカプセルを飲みこませられてる。

 幹部のボタン操作でそのカプセルが溶けて、

 致死量の麻薬が一瞬に女の子たちの体に放出され即死する。

 しかも麻薬中毒に見せかけて殺せるんだ。

 あいつらにとっちゃ女の子らなんて貧民からまた買えばいい

 ……ただの安いごみ同様なのさ……」


 一ノ瀬緑は話を続けた



「何とか苦労して俺はその50人の少女たちがさらに

 他のシンジケートに売り飛ばされるところを船を強奪して、助けたんだ。

 大乱闘のすえ並走してた2隻目の船の最初にいた20人ほどの用心棒らは全員ノックアウトして

 とり船底に荷物みたいに押し込められてた50人の女の子を助けたはずだったんだが

 2隻目の船はやつらにエンジンが壊されてたんで

 並走してた船のもう一隻は 最初におれが血祭りにあげた船なんだが

 10人ほど乗ってた海賊をボコってそのまま海に放り込んじまったんだが

 そっちの船の方がでかくてエンジンの性能もよかったんで、

 女の子50人をそっちに乗り移らせたんだ。

 だけど、そうはとんやがおろさなかった……


 緑「俺が一人でシージャックした船で港を目指そうとしたはずなのに、

 途中で援軍の海賊が鉄パイプや拳銃をもって襲って来やがった。

 武術の心得のある本格的な武闘派のごろつきたちが30人位現れて、

 さすがに最初の4,5人はぶっとばしたんだが、結局……

 その援軍の用心棒のやつらに袋叩きにされて

 半殺しで縄でぐるぐる巻きで海にほうりこまれちまった。

 なさけないけど、女の子たちは奪い返されちまった」


 エレ「あ~らたいへん、あそこらの海はサメが多いんじゃない?」


 緑「ああ、そうなの? そういや……サメすごかったかな」


 エレ「!!」

 ーーそういえばついさっき、港の沖で死因不明のサメの死体を漁船が10匹ほど見つけたってテレビで言ってたけどーーあんたのしわざかいっ!


 緑「とにかく、なんとか縛られた縄を歯で食いちぎって自力でほどいて、

 襲い掛かってきたサメを10匹ほど素手で殴り殺しちまった。

 そのあと、なんとか、自力で海岸まで泳ぎついて、ここまで来たってことさ」


 エレ「孤軍奮闘ね。それで、ボロボロなわけね」


 エレオノーラはあきれたようにくすっと笑った。


 エレ「きみのおじいさまもオリンピックで親友でライバルだった相手の選手を力余って投げ殺して金メダルを辞退した伝説をお持ちだものね。そのおじいさまからしごかれたあなただものね」


 緑「ブリオシュ長官ははなから、50人の少女たちは見捨てる作戦だったと、俺は思ってる」


 緑「それがわかってるから、

 俺はボスにこれまで2か月かけて手に入れた証拠を送れない。

 どうすりゃいいいんだ?

 幹部の誰かがボタン操作しただけで、女の子たちは何人かづつ、まとめて殺される。

 ブリオシュ長官にとってあんな貧民街の売春婦の少女たちなんて、

 命を助けても、だれからも感謝されない、自分の業績にもなりはしない。

 あの女の子たちの犠牲は眼中にないのさ。

 あの人は最初からあの子たちを見捨ててるんだ。

 それが俺にはわかる。

 だから闇の幹部を逮捕する証拠をボスに送れない。

 おれはダメな特捜官だ。刑事として失格さ。

 でもあの子らを俺は絶対に見捨てない。何と言われても。

 首になったってかまわない」


 エレオノーラが言った「それで長官に送るべき証拠を私に送信したわけなの?」



 緑「……」


「これはたぶん、きみからの何か依頼が来るなと思ったんで、

 依頼の内容を判断して、作戦を考えてたんだけどね。

 でも世界警察機構の特捜官であるきみが、

 世界警察の本部長に送るべき証拠を私に送るなんて……犯罪かもね、ウフ」


 緑「ああ、わかってるけど……きみに送っちまってたのか?

 1時間前が長官からのタイムリミットだったんだ。

 まあどうなろうと、あの子らを守らなきゃ。俺は……」


 エレ「2か月間、パートナの私のことはほったらかしだったのにね。

 まあほかの上流階級のプレイボーイでまにあわせたけどね」


 エレオノーラは微笑みながら非難するようにいたづらっぽく色っぽくその美しい顔で緑を見た。


 緑「……!!」


 

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