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第10部思い出エピソード 小姑島の地獄谷学園

地獄谷学園高校部の男子部1年の教室では

4時間目の世界史の時間はけだるかった。

東野順平は あくびをして鼻に鉛筆をつっこみながらぼけーと外を見ていた。

一ノ瀬緑はいつものように先生の方を向き、真面目にノートをとっている。授業に集中しているのだ。


教師が声を大きくして言った。

「紀元前2000年頃 女覇王と言われるアナスタシア女王は世界統一し、世界史に例をみない大帝国を創り、聖女王と呼ばれたんだ。ここまではわかったかな? いまこのアナスタシアの純粋な女系の血筋を伝えるのはこの東ひのもと国の王家だけだ。東ひのもと国は古代より女王国と呼ばれてだな・・・・・おい、そこ、東野!なにやってんだ?」

東野順平はなんとか一ノ瀬緑を笑わそうと口から2本の鉛筆を鼻の穴につっこみものすごい変顔をしていたが、順平の挑戦むなしく緑の視野の外だった。


教師は順平を無視すると、授業を続けた。

「聖女王アナスタシアの伝説は世界中に数知れず残っているがアナスタシアが創ったハルモニアの都がどこにあったかすら現在はわからない。この女覇王の実在自体を否定する学者もいる。」


順平がすっとんきょうに聞いた。「先生、その女覇王アナスタシアはトップレスで裸雌馬に乗って黄金の槍を手に持ち戦ったっていうのは史実ですか?」


教師「ありゃ 映画だ。わかるか!」そのときチャイムが鳴った。

教師「あーー飯にするか。じゃな」

順平がまってましたと、緑の方へ走ったが、それより早く緑は教室を走り出ていた。

弁当を2個もって。そして女子部との境にあるフェンスにいくと、そこには緑の妹の渚が待っていた。

手に持った弁当を1個、フェンスの上から渚に渡した。

緑は毎日 妹の分も手作り弁当をつくりいつも昼までに ここで妹に手渡していた。

渚「お兄ちゃん ありがとね。じゃね」

緑より2学年下の渚は、走り去った。

その先には渚の仲良しの女の子たちが騒いで待っていた。


順平は緑に追いついた。「おい 一ノ瀬 おれ今月もう生活費ないんだ。助けてくれ。」


緑「知らねえよ!」


順平「そんなこと言わず、な、な」その哀れな声に 緑は仕方なく、順平に自分の弁当を半分わけてやった。


順平「おまえは 超いいやつだ!」

緑の弁当の蓋にわけてもらった弁当を 緑にもらった割り箸でほおばりながら順平が そういった。


緑「うざいから 言うな!」

順平は調子のいいやつで これまでお調子だけで生きてきた感のあるやつだった。掃除もさぼる、宿題はしてこない、忘れ物もしょっちゅうだが、いつも緑をたよっていた。

緑は順平を露骨に嫌っているのだが 緑の誰にでも分け隔てなく優しい真面目な性格が順平に見透かされ利用されていた。

一ノ瀬緑は心の中におじいちゃんから教えられた彼独自の『武士道』を持っていた。


女子部の校庭では、女の子たちがお弁当を食べていた。

渚の仲良しの女の子たちが、渚の兄の一ノ瀬緑にいろいろ論評かしましかった。

渚のお弁当のおかずを見て、


女の子A子「なかなかいいセンスしてるじゃん」


女の子B子「ねえねえ 一口食べさせてみて」


女の子C子「将来はやっぱり料理人になりたいの?渚のにーさん」


女の子D子「生活力ありそうだね。男子力ありそうな感じ」

いろいろ言われてますが、結論は


女の子A子「一ノ瀬緑くんて 醤油顔のイケメンだけど、ジミーくんなのよね。」


女の子B子「渚の話だと、細かいことにいちいちうるさいみたいだし」


女の子C子「家事や料理が得意で好きなのは得点高いけどね・・・・ジミーくんなのよね」

渚はもくもくと自分の弁当を食べてます。



小姑島の北側は古来から地獄谷とよばれていた岩だらけの荒れ地が続くかなり広い台地や山地があった。

いまは、その土地の持ち主であった領主の子孫がそこにユニークな学校を創っている。

一ノ瀬緑が育った小姑島には南に小姑町と漁港の小姑港があるが島の北側には地獄谷学園という中高一貫校で全寮制のユニークな私学があるので有名なのだ。

地図では小姑町と地獄谷学園の間にはローカル空港がある、が、設備が悪く、上空は乱気流がよく起きるため、飛行機の定期便はない。利用者は、いまは地獄谷学園専用の荷物搬送ヘリが1.2日に1便あるだけである。

地獄谷学園は(一ノ瀬兄妹の出身校であり)創立55年の伝統ある私学である。

全寮制だが島の小姑町に自宅のある生徒は自宅通学を特別に認められている。

なので、緑と渚は自宅通学だった。

ここはスポーツ名門校であり、いろんなクラブにそれぞれの専属の広いグラウンドと設備を誇る。

女子部と男子部はそれぞれ独立していて、学校のイベントやクラブ活動の時しか男女一緒にはならない。


創設者は東野駄衛門というひのもと国で有名な天才画家で彫刻家でもある人物だ。

東野駄衛門は島の北側のすべての広大な土地を所有しそれを学園用地にあてている。

もともと東野駄衛門は大笠原諸島を治めた領主の子孫である。もと貴族であり子爵の館のもとの持ち主であった。

ひのもと国屈指の大富豪で年齢は85歳。

若いころと変わらぬ旺盛な制作活動を続けている万年青春の老人だ。

彼は30歳のとき地獄谷学園を創設した。

これまで大勢の女性と何度も結婚し離婚し過去に分かれた妻の数だけで14人、あまつさえ大勢の愛人を持ち、15人目の妻は結婚した時16歳であった。

エロ爺として名高いが、しかし子供にはめぐまれず息子が一人いるだけである。

東野順平である。彼は息子にはまったく無関心であり、つぎからつぎへと若い女性を求める『求エロ者』である。


ーーーー地獄谷学園在学中に、一ノ瀬緑は知らなかったが、東野順平は、なんと緑の妹の渚とつきあっていた。


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