第9部思い出エピソード 人智を超えた天才少女
トロン事件
メリ合州国の軍事兵器研究所で事故が起きた。
コンピュータが暴走し、その場にいた科学者1名、兵士2名が生きたままデーター化され、転送され、生きたままコンピューターに閉じ込められた事件である。
この3名は、コンピュータに閉じこめられたあとも、コンピューター内で生存していた。
前代未聞の事故であり、その3名を救出するため、世界中の科学者、学者が集められた。
一部、軍事兵器研究所ということで協力を拒否した科学者が若干名いたのは残念なことである。
あらゆる方面の第一人者の科学者、技術者、学者が38名集められたが、いかんせん前代未聞の事故であるため、誰にもなすすべがなく、ただ時間が過ぎ去るのみであった。
大統領は最後に、あの13歳の少女天才物理学者のあの子なら、ひょつとしたら助けられるかもしれないと考えた。
藁をもつかむ思いで、大統領は友人の世界的大富豪ヨハネス・アレクサンドロス氏に連絡した。
彼が自分の孫娘であるその13歳の天才少女物理学者をつれてきた。
13歳にしては小柄でまだあどけない顔のその少女は、大勢の科学者たちと大統領を前におずおずと
「エレオノーラ・アレクサンドロスです。よろしく」と言った。
エレオノーラ「ここへ来る前に、ご連絡したデーターは用意していただけましたか?」
大統領「ああここに用意してある。」
エレ「ありがとうございます」
少女は大統領の出したいくつかの分厚い大きな茶封筒を受け取ると、なかから数字のいっぱい書かれた紙を取り出し、メモ用紙と鉛筆でなにか計算を始めた。
40人の大人たちが誰も何も言わなかった。ただ少女の鉛筆の音だけがさらさらと響いていた。
一人の若い女性物理学者が、コーナにある小さなバーへいき、そこの冷蔵庫がら何かをだしてごそごそしていた。彼女はチョコレートパフェを作ると、エレオノーラの横に笑顔で
「お嬢ちゃん、少し休んで、どうぞ召し上がれ」と言った、
エレの顔はぱっと輝いて、「ありがとうございます」と言った。
エレは、スプーンでチョコレートパフェを食べた。
生クリームとチョコレートを口の周りにいっぱいつけながら右手でメモ帳をのぞきこみ、鉛筆をもって、「ふんふん」とうなずいた。
若い男性物理学者がエレオノーラのメモ帳を横からのぞきこみ
「すごい数式だな。おれにゃあ見当もつかない。この子ホントに天才だなぁ」
その若い男性物理学者は、当世随一の天才物理学者と称えられるシグルド・セーガン博士だった。
シグルド・セーガン博士は、エレオノーラを指さして隣の女性物理学者に行った。
「この子、まじ天才だよ。おれなんか足元にもおよばないや」
エレオノーラは、なんと黙々とそのまま6時間も、その場で計算を続けた。
その場にいた物理学者の中には仮眠する者も出始めた。大統領は横の長椅子に毛布にくるまって仮眠していた。
「できた」エレオノーラが叫んだ。
「この角速度でこの粒子を打ち出し、加速つけて・・・・お願いします」
ほかの物理学者「技術的に無理なんじゃない。」
エレ「完全じゃなくていいんです、この効果を狙ってますから」
ほかの物理学者「ほう」
エレの言うとおりの装置が即席で作られ、すぐに起動されて、ブーンとあたりの空気が響き
なんと、3人の人間のおぼろげな形が現れ、そしてそれは完全な姿になった。
「生きてるか」
3人がそろっていった「ああ、生きてるぞ! ありがとう」
仮眠していた大統領が驚いて飛び起きた。
「むにゃむにゃ、いったいどうしたんだ」
「大統領閣下、ただいま無事帰還いたしました」2人の兵士が大統領に報告した。
大統領「驚くべき子だな、だれにもできなかったのに。たいしたものだ」
ヨハネス氏「うちの孫娘の仕事料は1億ドルでいいかな? ドーベルくん」
大統領「・・・・と、とりあえず、議会に報告して認可をうけないとな」
ヨハネス氏「あんたがいま、自腹で小切手きればいいんじゃないか?」
大統領「うう、それはかんべんたのむよ。ヨハネス氏」
エレ「あの、大統領さん、私この茶封筒のデータ数字をいただいてもいいですか?」
大統領「それはだめだよ、お嬢ちゃん、軍の最高機密だからね」
エレ「おじいさま、お礼はこの茶封筒のデータ書類をいただけるように言ってください」
ヨハネス氏「エレや、それじゃあお金にならないぞ。アレクサンドロス家の家訓には、ただというのはないんだ」
エレ「おじいさま、おねがいします」
ヨハネス氏「お前が頼むのなら仕方がないな。おい、ドーベルくん、この茶封筒を孫娘にやってくれ」
大統領「仕方ないな。じゃあ報酬は、その茶封筒の軍の最高機密書類だが、まあ特別に見なかったことにして持って帰り給え」
エレ「ありがとうございます。」
ヨハネス氏「やれやれ、一晩かけてタダ働きか。まったく年寄りにはきついわい。早く帰って、エレ、おまえの作ってくれるマカロニスープがのみたいわい」
エレ「はい、おじいさま。では大統領と物理学者のみなさん、またおあいしましょう。じゃあね」
ヨハネス氏とエレオノーラは帰っていった。
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エレオノーラは8歳か9歳で創ったらしい異空間スーパコンピュータ・メグに自分の人格をコピーしてるので、メグのコントロールするロボットつまりNPCはすべてエレオノーラの人格が根底にある。
メグほどのコンピュータは二度ともう自分には作れないと、24歳のいまのエレオノーラは言っている。
彼女が、まだ8歳の子供の頃、異空間コンピュータという彼女とおなじ発想をするシステムの説明が書かれた、1冊の物理学書を見つけた。(それはまだそれを書いた物理学者自身のアイデアにしかすぎないものだったが)
それは若き女性物理学者、一ノ瀬峰子だった。
そのころ一ノ瀬峰子はサナ大学の物理学科の準教授だった。
エレオノーラは8歳だと知られると取り合ってもらえないと思い、彼女に女子大生のふりをして、メールを送り、いくつもの質問をした。
一ノ瀬峰子は快く、すべての答えを「自分の知りうる限りのことよ」と断ったうえで、答えてくれた。
「まだ技術的には不可能。できるのは1000年先くらいかな」といいながら。
エレオノーラはそれにより、異空間コンピュータを自作してしまった。
その性能はすばらしいものだった。なんせ記憶容量が、無限、なのだ。
コンピュータを使っているうちに、コンピュータの受動的な点に不自由さを感じた。
もし自分で、ユーザーの空気を読んで能動的に自分からいろいろしてくれたらどんなにいいだろうか?
それにしても、コンピュータに人格を与えるのは物凄く難しい。
最初に初期人格をつくっても、育てるという膨大な時間とこっちのエネルギーを必要とする手間がかかる。
人間はお互いに生活の中で人間同士がた互いに日常の生活の中で育てあう。そこでは手間も時間も自然に意図せずに人間は育っていく。コンピュータは社会がないからそれができない、人格育てるなら無限の手間がかかる。
ーーそうだ、じっさいにもう存在する人間の人格を入れれば、そんな手間はかけずにすむ。
入れる人格は、どこからもクレームのでない自分の人格をいれればいいやーー
そして、エレオノーラは自分の異空間コンピュータに自分の人格をコピーしていれた。
おかげでコンピューターは自発的に行動してくれるようになり、非常に便利になった。
コンピュータと口喧嘩するときもあるが。
しかし、エレオノーラは自分の特殊能力によって、自分の人格をいれた異空間コンピュータ・メグと自我を融合できることに気が付いた。
エレオノーラは人間の脳を持ちながら、無限のキャパシティを持つ異空間コンピュータ・メグと融合することにより、自分自身もコンピュータの機能を使用できるようになった。
まるで自分自身の生身の脳であるかのように。
エレオノーラは人間でありながら、コンピュータにより、
自分の機能を拡張し無限の記憶容量を手に入れたのだった。
*
一ノ瀬緑はNPCエレオノーラを見て思う。-----ロボットは用途に応じて見かけは色々変えている場合はそれにふさわしい演技やしぐさの常識人を装ってるけど、中身はあ・い・つだ!
*
エメラルド大学はこのリケトニア公国の唯一の大学で
もともとは全然関係ない小さな私立大学だったがヨハネス・アレクサンドロスがエレオノーラの教育のために買い取り、エレオノーラのために整えた大学だ。
この国、リケトニア公国ではあらゆる職業の資格を取るのに年齢規制が全くない。
それもヨハネス・アレクサンドロスが人智を超えた天才である自分の孫娘エレオノーラのために公国の法律を変えさせたためである。
それによってエレオノーラは15歳で医師の資格を取り16歳で医学博士号を取り、17歳でサイボーグ外科医学という全く新しい医学の新分野を立ち上げその第一人者となった。
物理学者としてのエレオノーラは13歳でメリ合州国の軍事研究所で起きたトロン事故においてコンピュータに閉じ込められた科学者と兵隊を救い出している。
この不可思議な事故はメリ合州国の軍事兵器の開発で起きたことなので、公表されてはいないが、人間がコンピュータの暴走により原因不明の現象によりコンピュータの内部に突然生きたままデータ化され転送され閉じ込められた事故である、が、救出のために世界中のあらゆる分野の科学者、学者、があつめられたが誰一人閉じ込められた科学者と兵士を救えなかった中で
13歳の少女の物理学者が救い出したのである。
(軍事兵器研究所と聞いてミネコママは大統領からの参加要請の電話を反射的に断ったので、この救出作戦には彼女は参加していない。呼ばれなかったわけではない)
軍のスーパーコンピューターの暴走により生きた人間が3人生きたままデータ化され生きたままそのコンピュータに閉じ込められた、
この時の事故と
自分が複雑な計算を解いて
ようやっと救出した過程のデータ
が当時13歳の小さな物理学者の興味を惹き
その時同席していたメリ合州国大統領の許可を得て
その全データをもらった。
エレオノーラは他の仕事もたくさんやってるのに、
そのデータによりなにかをやりとげたらしい。
16歳のとき仲の良い物理学者や数学者を祖父の自宅に集め、そのトロン事件から収集されたデータから導いた結論と題し『宇宙最終原理公理』の発表を行った。
ネット上にもその1万ページをこえる複雑な計算の塊の論文は丸ごとアプロードされているが、あれから十数年たつが未だに誰もそれが何の公理であるのかも証明も理解もできない。
(峰子もお手上げなのだ)ママの話では「ひょっとしたらこれは宇宙の究極の最終公理をエレオノーラが見つけたのかもしれない、自分にも理解できないけど」、といってる。
エレオノーラは24歳になった今日もそれが何の学説なのか発表していない。
ただ世界財閥アレクサンドロス・コンツエルンの会長として、その論文が何か、理解し言い当てた者に1兆ドルの懸賞金をかけている・・・・(^^♪
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『宇宙最終原理公理』この理論により、エレオノーラは16歳のとき、
「特異点炉」なるものを作った。
これは一つの宇宙をまるごと、エネルギー炉にしたもので、一つの宇宙分の無限のエネルギーに等しいものを自分の自在に使えるエネルギー炉である。最初、エレオノーラが創ろうと思っていたエネルギー炉は、恒星炉だった。これは恒星を1個まるごと捕らえ原子炉と同じ要領で制御する。つまり、恒星1個まるごとの原子炉なのである。
しかし、その恒星炉ではなく、彼女が最初に『宇宙最終原理公理』の理論で創ったエネルギー炉はは特異点炉であった。これの制御は異空間コンピュータ・メグで行っているが、もし、暴走したら、この宇宙がビッグバーンにもどる性質をもつエネルギー炉である。
あまりに危険すぎるので、エレオノーラはこの宇宙ではなく、ほかの宇宙にこの特異点炉を持ち込み(どうやって???)ほかの宇宙に設置して、使用しているのだ。
いかんせん、恒星炉でも高性能すぎるのに、まだその上の特異点炉は、その存在すらだれにも明かしてはいない。一ノ瀬峰子にも秘密にしている。
エレオノーラはとりあえず世界財閥アレクサンドロス・コンツェルンの系列会社で使用するエネルギー炉用に恒星炉を作った。
そのことすら未発表である。
(恒星炉も暴走すればアースティアラ星なんか1個くらい軽くぶっとんで無くなるレベルであるが)
エレオノーラはその恒星炉を爆発しても、影響のない亜空間を作り、そこに設置している。
そのことすら、誰も知らない。




