第3話
かなり遅くなり、すみません。
「それで、いきなりですまないんだがすすむ君、ここで働いてみたらどうかな。」
「はい?」
「ほら、君は今仕事を辞めたばかりで、働く場所がないんだろ。」
「まあ、確かにそうですが。」
「だったら、ここで働きたまえ。ちゃんと給料もだすからさ。それに君くらいの能力者ならば、死ぬようなこともないだろうしね。試験免除にしとくからさ。」
「確かに試験免除で働かしてもらえるのは嬉しいですが、本当にここで働いていいんですか?」
「もちろんだとも。」
「それではここで働かせてください。」
働く場所がなかった僕は急遽富山さんの要望で、ここで働かせてもらえるようになった。
「じゃあ、ここにサインしてくれ。」
そういって、富山さんは、ふところから履歴書を取り出した。
「あ、はい。」
僕は富山さんに言われたとおり、その履歴書にサインをした。
「はい、これで君も正式な妖怪探偵社員だ。それじゃー、よろしく頼むよ。」
「はい。」
そして、僕は富山さんと共に、もといた路地裏に戻ってきた。どうやら、富山さんは僕に合わせたい人がいるらしい。僕達はその人が待っている喫茶店に向かっている。
「あのー、さっき書いた履歴書って一体何ですか?」
歩きながら僕は、ふと思ったことを富山さんに聞いた。
「あー、あれかい。あれは君の履歴書だ。」
「はい?」
「まあ、説明するのは難しいからね。まあ、簡単にいえば、世界中から人、1人分の情報を集めることなんて、この探偵社では造作もないことということだ。」
「はあー。」
(まあ、恐らく探偵社に向かってた時に、他の人が前の会社からもらったんだろうな。)
しばらくして、僕達は待ち合わせ時間より少し早く、目的の喫茶店に着いた。喫茶店内はまだ4時前だったこともあって空いていた。僕達は一番手前の席に着いた。
「あのー、合わせたい人って一体誰なんでですか?」
ふと思ったことを僕は聞いた。
「君の教育係だ。」
僕の質問に富山さんは即答で答えた。
「はい?」
え、どういうことだ。教育係って。というか、そもそも聞いてないってそんなこと。
「そういえば、いい忘れてたね。妖怪探偵社はそもそも、非現実的な依頼を解決する場所なんだ。だから、最初は教育係と一緒にこなし、仕事に慣れてもらう必要があるんだ。」
(へえー、確かにそれはは聞いていなかったな。でも、そんなに依頼って集まるのか?)
ふとそんなことを思った。
「まあ、普通は、非現実的な依頼を頼む人はいないよ。」
富山さんはそう言って、コップに注がれた水を飲んだ。
「じゃあ、だれがそんな依頼頼むんですか?」
「まあ、それはいろいろだが。ほとんどは、人間ではないものからの依頼が多いかな。まあ、そうは言っても外見は人と同じものばかりだから、普通はわからないよ。あとは、警察とかかな。まあ、一般人からもくるよ。」
富山さんはそう言ってから、今度はコーヒーを僕のと合わせて、二人分頼んだ。それと、同じタイミングで、1人の男が入ってきた。
「おーい、新くんこっちだ。」
富山さんは、そう言って彼を呼んだ。男もすぐに気づいて、僕達の席に座った。
「さて、すすむ君、彼が君の教育係の狭間新くんだ」
しばらくして、富山さんが紹介した。
「よろしく。」
挨拶をした新さんはは、身長がかなり高く、寝起きなのかボサボサした青髪が特徴の同い年くらいの青年だった。
「こちらこそ、よろしく。」
そこからは、お互いにメールアドレスを、交換したあとは、お互いに自己紹介をした。驚いたのは、新さんは37歳だった。
「へえー、じゃあすすむ君は、巻き込まれた時に能力に、目覚めて、ここで働かせてもらえるようになったんだ。」
「はい、まあそれでも、あそこで巻き込まれていなかったら、僕は、ここで働くことはできなかったので、あの出来事は悪いことばかりではなかったです。」
自己紹介がすんだあとは、喫茶店で、夕飯を食べながら、談笑していた。
「おや、もう9時かあ。」
富山さんが、時計を見ながら口にする。確かに、外はもう真っ暗だった。
「かなり、長居しましたし、そろそろ帰りますか。」
富山さんの提案で今日は、喫茶店で解散した。明日のことを、富山さんに聞いたところ、「メールで指示を送るから、安心してくれ」だそうだ。明日から始まる新しい仕事に期待と不安を抱きながら、僕は家に帰った。