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エクシィズ外伝  作者: シエン@ひげ
超人大決戦! ~超人VS怪盗VS警察VSサイボーグ~
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vs正義狂想曲

 自由の女神にトドメを刺す。

 字面だけ見ればとても馬鹿馬鹿しいが、アメリカのシンボルをこの手で破壊するのであれば、それもまた力の証明である。

 アメリカは今、旧人類連合の実質的なトップだ。その国家を脅かすのであれば、ジャスティスの力は揺るぎないものであるといえるだろう。少なくともジャスティスはひとりの『アメリカ国民』としてそう考えた。


『自由の女神を改造していたとは驚いたが、結果的には力の正義が勝つ! それが今、証明された!』


 満足な結果だ。

 後は木端微塵に破壊し、その様を見せつけてから新人類共を抹殺する。

 圧倒的で最高な力を向けられるのだ。きっと彼らは絶望に満ちた表情をするに違いない。想像するだけで背筋がゾクゾクした。寒気ではない。これは歓喜だ。この地上に現れた人類の脅威を倒す前の武者震いともいえる。


 ジャスティスはモンスター映画が好きだ。

 だがやられっぱなしのお話は大嫌いである。

 最終的には主人公サイドが勝利し、侵略者側は徹底的に駆除されるエンディングが最高に大好きだった。

 だってそうだろう。アイツらは暴れるだけ暴れた後、こちらの都合などお構いなしに行動する。

 これが侵略者ではなくなんだ。

 姿形が人間に似ているからか、誰も言おうとしない。

 だったら絶対的な力を保持し、誰もが反論できないことを承知で自分が言おうではないか。


『新人類は侵略者だ! 同時に、彼らの仲間を名乗る者がいるのであれば、それはまた人類の裏切者である! ゆえに、力で示さなければならない! 彼らが力で示してきたように、私は正義の力を以て示そうではないか!』


 新人類王国のリバーラ王は言った。

 優れた人材こそが地球の支配者として君臨すべきだと。

 なんたる傲慢か!

 アイツらはその『支配者』が自分たちだと主張し、旧人類に戦いを挑んできた。これが侵略でなければなんだ。


『誰かが戦わなければならないのだ。悪の侵略に、正義の力で示さなければならない!』


 新人類は侵略者である。

 誰の目から見ても明らかじゃないか。


『誰も抗わないのなら、私が戦おう! 正義の力を持つ私が、旧人類の道標となる! そして侵略者を討つのだ!』

「言いたいことはソレだけか」


 大層な演説に割り込み、POJからアラートが鳴る。

 新人類の反応だ。ひとり残らず葬り去る為に作り上げた、新人類だけに反応する警報装置が『侵略者』の接近を知らせている。

 猛烈なスピードだ。

 ブレイカーで接近しているのかと警戒するが、その正体はあろうことに生身の人間が3人、接近してくるだけだった。


「やれるものならやってみろよ。望み通り、力で勝負してやる」


 神鷹カイトがビルからビルへと伝って接近してくる。

 その背後からはエリック。そして謎の装甲男がカイトの前にいるが、知った事ではない。


『お前だ、神鷹カイト! お前こそがまさに悪魔の侵略者だ。正義の名のもとに、抹殺しなければならない!』

「なあ、お前って結構恨まれてるタイプ?」

「心当たりは多いな」


 苦笑しつつもカイトはPOJに突進していく。


「だが、ここまで悪役にされて清々しいのは始めてだ」

「だろうな。傍から見て、俺も同情するぜ」


 肩を落とすエリックだが、彼も新人類だ。当然、ジャスティスからは侵略者として扱われる。

 それを承知したうえで、エリックは戦いを挑むことを選んだ。


「んじゃあ、正義の味方退治と行きますか!」

「こら、怪盗! あんな奴を正義の味方と一緒にするな。このポリスマンこそが、れっきとしたアメリカの正義の使者なのだからな!」

「はいはい」


 先頭を譲らないポリスマンはPOJの真正面まで近づくと、迷わず跳躍。

 驚異のジャンプ力でブレイカーの顔面まで飛びかかると、右拳を突き出した。


「くらえ必殺、パワード・パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンチ!」


 POJの鋼鉄の顔面に鉄拳が炸裂した。

 物凄くいい金属音が鳴り響く。POJの顔が僅かに揺れるが、鋼の巨体はすぐさま体勢を整えた。


『絶対的な正義であれば、圧倒的な力で敵を屠らなければならない! 強くてカッコいい方が正義なのは常識だ!』


 POJが反動を利用し、ポリスマンに頭突きをかました。


「ごふぅ!?」


 鋼の顔面が巨大なハンマーとなってポリスマンは殴り飛ばす。吹っ飛ばされた熱血警官はビルの間へと叩きつけられ、コンクリートを砕きながら転倒した。


『正義とは、不滅でなければならない! 常に上回るパワーで書き換えられていては、正義は保てないのだ』

「どいつもこいつもよく喋るな」


 これまでのサイボーグたちを思い出しつつもカイトはPOJに挑む。

 どいつもこいつも自己主張が激しい連中ばかりだ。新人類連合にも自己主張が激しい連中がいたが、彼らと大差がない。

 神鷹カイトからしてみれば、彼らは自身が敵視している新人類王国とまったく変わりなかった。


『来たな、悪魔め!』


 そんなジャスティスは、カイトの小さな皮肉に気付かずに敵意を送る。


『お前は特別だ。お前たちを滅する為に、私は正義の力を受け止めなければならん!』

「うるさい」


 鋼の巨人の肩に乗り、一気に駆け上がる。

 そのまま顔面を切り刻もうと爪を伸ばすが、その前に影が飛び出た。


「む」


 ジャスティスだ。胸部のコックピットブロックから直接飛び出し、自身でカイト迎撃に打って出たのである。


「正義の力とはすなわち、不変の力。私はこの身とPOJの力でお前をうちほろぼ――――」

「とう」


 喋ってるので顔面にパンチをお見舞いさせた。

 ジャスティスは悶え、蹲る。


「お、おのれ悪魔め! 人の話は最後までちゃんと聞きなさいとご両親に教わらなかったのか!?」

「まともに聞く価値のない話に興味はない」


 それにこれは好機だ。

 パイロットのジャスティスが直接出てきたのであれば、スバルやエリックたちが動きやすくなる。


「ふん。正義的に考えて、悪魔の思考など手に取るように理解できる。お前は自分が戦っている間に、他の連中がうまくこのPOJを破壊すると考えているのだろうが、そうはいかん。なぜなら、お前は正義という絶対的な力の前に」

「とう」


 またも顔面パンチ。

 ジャスティスはやたらとよく喋るのでどうにも隙ができやすい。こうも隙だらけだと思わず手が出てしまう。


「そうだ。悪魔はフェアじゃない」

「ぬ」


 だが、今度は悶えていない。

 ジャスティスは素早くカイトの腕を掴むと、そのまま力任せに持ち上げた。


「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「ちっ」


 自身の身体が宙に浮くと同時、カイトは舌打ちしつつも下半身を反転。ジャスティスの首に蹴りをお見舞いした。

 が、ジャスティスは微動だにしない。


「なに!」

「見たか悪魔め。これこそが絶対的な力。そして、力こそが正義!」


 力任せにカイトを鋼の床に叩きつける。外装がへこむほどの衝撃を受け、カイトの肉体に激痛が走った。


「アメリカは世界の力の代表だ。力の使い方はアメリカが決める!」

「貴様が決めているだけだろうが」


 叩きつけられた姿勢のまま、カイトは再び蹴りを放つ。

 今度はジャスティスの腕に命中するが、やはり彼はびくともしなかった。


「さっきと手ごたえがまるで違う……!」

「私が決める? 違うな。国民が正義による勝利を望んでいる」


 今度はジャスティスから蹴りが放たれた。その足はカイトの腹部に命中し、めり込んでいく。


「あが――――!」

「8年前、力による戦争解決を唱えた大統領、マックス・サーファイスを俺はリスペクトしている! 彼が当選した理由は、国民がそれを望んだからだ!」


 ジャスティスの筋肉が変色していく。

 小麦から黒。筋肉は膨張し、血管が浮き出てきた。


「8年も前の話だ、それは……!」

「そうだ! 今や大統領は代わり、国民もぬるい考え方に変わってしまった!」


 そんなことでどうする。

 あの時にみんなで決めた侵略者への抵抗は、どうするのだ。

 国民の誰もが忘れたならば、自分が思い出させてやらないといけない。


「最初に決めた事はきちんとやらなきゃあならん。それこそが正義のあるべき姿だ」


 その為のPOJ。その為のサイボーグ技術だ。

 自由の女神が抵抗しようが、侵略者が抵抗しようが、外国人のガキが刃向おうがどうでもいい。

 結局のところ、勝った奴が正義として証明されるのだから。


「そして、正義の証としてアルマガニウムは必要だ! 絶対的な正義は、正しさですべてのアルマガニウムを管理する義務がある!」


 変色したジャスティスの拳がカイトに命中。

 吹っ飛ばされたカイトはコンクリートの大地に叩きつけられる。再生能力が働くも、受けたダメージが抜けきる前にジャスティスは次の行動に打って出た。


「覚えておけ、侵略者め! お前たち新人類を駆逐するのがアメリカの民意だった。それが今、マックス大統領から俺に引き継がれて執行されるのだ!」


 POJの巨大な足が動く。

 セミオートで動き出したそれはカイトの真正面に迫ると、容赦なく彼を踏みつけた。

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