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エクシィズ外伝  作者: シエン@ひげ
超人大決戦! ~超人VS怪盗VS警察VSサイボーグ~
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vs俺を弾丸に!(比喩ではない)

 自由の女神が走る。

 走る! 走る! 走る!

 大地を蹴り、聖書を担ぎ、たいまつを手放さないまま、ニューヨークの大地をかけていく。

 姿勢よく、スプリンターのような走り方を披露する自由の女神を目撃し、POJに搭乗したジャスティスは思わず自身の目を擦る。


『な、なんだあれは!?』


 POJも目を擦りだした。

 どうやらパイロットの動きをトレースするタイプのブレイカーのようで、中のジャスティスがいかなる心中なのか察することができる。

 とはいえ、呼び出した瞬間を目撃したスバルたちでさえ呆然と立ち尽くしているのだ。テロリストのジャスティスが驚くの無理はないだろう。


「本当になんなんだアレは」

「FVIだ! アメリカの危機を救う為に用意されたスーパーブレイカー、それこそがFVIだ!」


 力強く主張するポリスマンだが、カイト達は白けた表情のままである。

 立ち尽くす彼らの前に、エリックたちも駆け寄ってきた。


「おい、なんかまた変なのが出てきたんだが!」

「あれもサイボーグ連中の秘密兵器か!?」


 おかしい。腐ってもアメリカの国会議員を務めるエリックがFVIを指差して狼狽している。

 半目でポリスマンに抗議の視線を送るカイト。


「おい。アレは公認なんだろうな?」

「当然だ。大統領から直々に許可を貰ったんだからな!」

「はぁ!? 俺は聞いてねぇぞ!」

「なぜ貴様に教える必要があるのだ?」


 不思議そうに首を傾げられ、怪盗シェルことエリックは沈黙する。

 彼の正体が議員であることは警察官には秘密なのだ。

 口を閉ざした相棒の代理として、マーティオが改めて問う。


「で、結局アレはなんだ。大統領がどうとか言ってたが」

「安心しろ。FVIは味方だ!」


 ポリスマンが拳を突き出す。

 その動きを真似、FVIもまた拳を突き出した。


「アレもモーショントレースシステムか」

オーガとはタイプが違うみたいだね」


 以前、ゼッペルが動かしたブレイカー、鬼はコックピットのモーショントレースが行われる。動きを見ている限り、POJも同様だろう。

 だが、FVIは外にいるポリスマンの動作をそのままコピーしていた。


「基本は自動操縦で敵に近づく! 攻撃時は俺の動きを真似てもらい、敵を殴り倒すのだ!」

「なるほど。セミオートタイプか」

「自由の女神がブレイカーを殴り飛ばすんだ……」


 想像し、スバルは絶句する。

 古今東西、あらゆるブレイカーを研究してきた彼だが、流石に自由の女神とタイマン勝負をするブレイカーは始めてだった。ブレイカーの歴史に新たな1ページが刻まれる瞬間かもしれない。


「と、いうわけだ。怪盗ども。こいつを頼むぞ」


 いまだに力なく項垂れるエイジをエリックに預け、ポリスマンは改めて構えた。

 自由の女神もその動きに合わせて腰を屈ませ、戦闘態勢に入る。


『面白い。それがアメリカの正義なら、力を以て証明しよう。力こそが正義だと!』


 POJが拳を突き合わせた。

 そのままファイティングポーズをとり、女神と相対。


「すげぇ光景だ」

「SNSにアップしたいなぁ」

「もうなんの事情も知らない奴があげてそうだけどな」


 呑気なコメントを残す超人軍団だが、その横でスバルは興味深げに観察していた。

 モーショントレースシステムを採用したブレイカーは以前見たことがある。だが、両者ともそれを採用した場合、どのような事態になるのか、非情に興味津々だった。

 また、POJの肩に取り付けられている砲身にも興味がわく。


「POJも格闘戦で挑むのかな」

「恐らくな。流石にあのデカイ砲身ではバランスを崩しやすいだろう」

「でも、だったらどうしてあんなのつけてるの?」


 人型兵器とはいえ、ブレイカーだってなんでも装備できるわけではない。

 機体に対して装備のバランスは重要だ。重すぎる装備は、それだけ動きにくくなる。POJの装備は明らかに大きすぎだった。

 巨大な砲身はブレイカーが扱うというよりも、固定砲台が似合っている。


「格闘戦を挑むなら、取り外せばいい気がするけど」

「自信があるんだろう。単純に、あれをつけても勝てるとな。あるいは、意外と大事な装備なのかもしれんぞ」

「どんな?」

「切り札、とか」

『よくぞ見抜いたな! 正義的に褒めてやろう!』


 返答は本人から直接返ってきた。

 予想外なところから来たので、カイト達は思わずずっこける。


「おい、貴様。認めていいのか」

『私の正義はいかなる時も正直だ。貴様ら新人類に見抜かれたのなら、正直に教えて、そして勝つ。正義に拘るなら勝ち方にも拘らなければならない!』

「ああ、そう」


 知ってたけどサイボーグ軍団のボスの思考回路はどこかずれている気がする。


『教えてやろう! このジャスティスバズーカは新人類王国を打倒する為の秘密兵器なのだ!』

「まったくそうは見えないけど」

「ていうか、本当に教える気なの?」


 呆れかえっている超人軍団を余所に、ジャスティスは解説する。


『新人類王国は狡猾だ。連中は空間転移で即座に逃げることができる。奴らにこのアドバンテージがある限り、我々はいつまでも待つ側に回らなければならん!』


 そこで登場するのがこのジャスティスバズーカである。

 具体的にどう扱うのかというと、


『まず、俺が弾としてこの砲身に入る』

「ん?」

『そして俺を空間転移の穴に発射する! 正義に満ち溢れた素晴らしい秘密兵器だ! 驚いただろう!』

「……」


 超人軍団、絶句。

 別に新人類でもないスバルでさえも絶句しているので、誰が聞いても同じだったかもしれないが、ジャスティスの『切り札』は彼らの想像を超えていた。


「カイトさん、どう思う?」

「え。俺に聞くのか?」

「だって元新人類王国所属でしょ。プランとしては実現可能なの?」


 問われ、カイトは困り果てたように顔をしかめる。

 

「……アイデアとしては妥当じゃないかな」

「マジで!?」

「おい、慰めなら止めておいてやれ。あんな身体も脳みそも筋肉で固まった奴の肩を持つ事はないんだぞ」

「いや、言ってることは正しい」


 認めたくないが。

 認めたくはないのだが、ジャスティスの主張にも筋がある。


「奴が言う通り、新人類王国に勝つ為には空間転移を攻略する必要がある。この16年、あらゆる国が攻略手段を考えたが、いずれも失敗している」


 だが、その手段には欠点があった。

 基本的に兵器を直接打ち込む案が殆どだったのである。


「俺が所属していた頃には核ミサイルを撃ち込まれたこともある。だが、空間転移の穴に入ることができても、その奥には王国屈指の能力者やブレイカーが控えているんだ。撃ち落されたり、更なる空間転移であらぬ場所に移動させられたりしている」


 だが、もし仮に撃ちこまれた兵器が自分の意思で。それも物凄いスピードで突入してきたらどうだろう。

 しかも単体戦力はそこらへんの新人類よりも強力かもしれない。

 これまで戦ってきたサイボーグたちは、いずれも変なのだったが、その分厄介だった。彼らのボスを名乗っている手前、戦力としては十分だと思う。


「自分で防御手段が用意できて、自分で攻略する。空間転移先に突入するなら、このふたつは最低条件だ。奴はそれを実行しようとしている」

「自分を撃ちこんで?」

「……そうだな」


 カイトとてエイジに投げ飛ばされてブレイカーを破壊している実績がある。

 悲しいが、強く否定できない現実があった。


「ふん。結局のところ、奴はあのでかい大砲がないと打倒新人類を果たせないってわけだろ。壊れるのを恐れて切り離さないなら、こっちが有利だ」

『浅はかな!』


 POJがマーティオの発言を一喝する。


『正義を実現する為の力は、生半可ではない! 生半可では、やってられないのだよ!』


 巨大ブレイカーが跳躍した。

 取り付けられた砲身はそのままで、宙で華麗に回転を決める。まるで空中アクロバットを決めるサーカス団員のような綺麗な動作だった。


「おお!」

「すげぇ! あの巨体であんな真似ができるのか!」

「おい、このままだとあの砲身で狙い撃ちされるぞ!」

「落ち着けぇい!」


 一方のポリスマンはファイティングポーズを取ったまま、POJを見上げる。

 華麗な空中回転を決めたブレイカーは砲身をこちらに向け、街ごとFVIを破壊するつもりだろう。

 ならば、こちらもジャンプで攻撃だ。

 FVIには遠距離武器なぞない。自由な肢体と聖書、そしてたいまつだけで十分だ。


「とうあ!」


 ポリスマンがそのばで跳躍。

 その動きに合わせ、FVIもジャンプ。POJ目掛けて飛び蹴りを放った。


「自由の女神が飛び蹴りしてる!」

「すげー光景だ……」


 どっちが勝つにせよ、恐ろしい戦いを目撃することになる。

 カイト達はそう思うと、生唾を飲みこまずにはいられなかった。

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