表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクシィズ外伝  作者: シエン@ひげ
超人大決戦! ~超人VS怪盗VS警察VSサイボーグ~
26/193

vs頭文字G

 正面から堂々とビルに入り込んだネルソンは見た。

 中でひしめく機械の群れを。


「おお!?」


 驚き、僅かに後ずさる。一瞬、警備員が大勢いるのかと思ったが、よく見るとちがう。

 全員の肌がつるつるで、黒いのだ。最初は黒人が大勢いるのかと思ったが、こうまでつるつるだと逆に違和感を感じる。極めつけは全員が腕の先に銃口を携えていることだ。


「あいつらが噂のテロリストか! お前たち、一気に突破するぞ!」


 ついて来ている筈のエリックとエイジに向かって叫ぶ。

 振り返って顔を確認する。

 そこにいる筈の超人2名の姿はどこにもなかった。


「あれ?」


 おかしい。確かに自分が率先して突撃してきたはずだ。先にビルに蹴りをぶち込んだスター★ハゲタカはいいとして、怪盗とダンボールマンがついてきていないのはどう考えてもおかしい。

 ネルソンは顎に手を当てて考える。しばしの間を要した後、彼はある結論に達した。


「しまった! 敵の罠か!」


 大声で叫んだと同時、エントランスにひしめく機械人形が一斉に振り向いた。


「む!?」


 銃口が構えられたのを察し、ネルソンは足を立てる。そのまま走り出すと同時、弾丸が一斉に発射された。


「なるほど、俺たちを分断させて確実に倒そうというのだな。考えてやがるぜ!」


 ひとりで叫び、納得するネルソン。

 実際はそんなことはまったく関係なく、ただ『疲れそうだから』と思われているのが理由なのだが、自分のことを都合よく考える正義のおっさんはそんなことを知る由もない。


「だが、しかぁし! 例えお前たちの良いように動かされたとしても、この俺がいる限り、最後は必ず正義が勝つ!」


 ネルソンが機械人形たちを睨みつけ、一喝。

 彼らは威圧されることなく、淡々と射撃を続けた。まっすぐ向かってくる弾丸に対し、ネルソンは逃げる気配はない。

 代わりに、己の両拳を突き合わせ、叫ぶ。


「へぇぇぇぇんしぃんっ! ポリィスメェェェェェェェェンッ!!

 

 よく響く叫びをあげたと同時、どういうわけかネルソンの身体が輝き始めた。

 付き合わされた両拳からは『G』の文字が浮かび上がっていく。


「とうあああああああああああああああああああ!!」


 光り輝くおっさんが跳躍した。

 同時に、彼の肉体に変化が訪れる。

 身体の光がまるで新体操のリボンのようにクルクルとネルソンの身体に密着していき、地面に着地した瞬間に光りは治まる。


 逞しい筋肉の形が明らかに分るボディー、ヒーローに欠かせないマスク、そして一番特徴的なのは胸に大きく『正義と愛』と書かれているところである。


 全身が燃え上がるような赤に染まった男は、全身に弾丸を浴びながらも平然とした調子で吼えた。


「推参、ポリスマン・グレート!」


 説明しよう!

 ネルソン・サンダーソン警部は正義の味方であり、超人である。

 幼いころから正義の味方に憧れ続けた新人類である彼は、幼少期の頃から本気で正義の味方を目指して特訓し続けた結果、現実離れした身体能力と変身能力を身に着けたのだ!


 戦え、ポリスマン!

 負けるな、ポリスマン!

 アメリカの平和と部下の給料を守る為、手の甲に『G』の字を燃やすのだ!


「えっと……」


 銃弾を一通り受け切ったポリスマン(グレード)がいそいそと腰から何かを抜き取った。

 傷跡一つ残っていない筋肉を警戒し出す機械人形たち。彼らはそれぞれプログラムに従い、突然現れた『意味不明の超人対応マニュアル』にならって相手の出方を伺い始めた。


「あった!」


 ポリスマンが嬉しそうな顔で右手を突き出す。油性ペンが握られていた。キャップを抜き、自分の手の甲に大きく『G』と書き込んでいく。


「今日はジョンもいないから、俺が書いておかないとな。変身する度に消えてしまうから『グレート』の意味がない」


 どうやら自分自身が『ポリスマン・グレート』であることを意味づけるための『G』らしい。

 『意味不明の超人対応マニュアル』は彼の行動を分析する。もう片方の手に悠長に『G』の字を書いている間に、プログラムはその解答を導き出した。


『意味不明』


 機械人形たちのモニター画面にエラーが表示される。

 こうなったら彼らに与えられた選択肢はひたすら戦うしかない。戦術も何もなく、ただ与えられた装備で襲い掛かるだけだ。


「よぉし! パワー全快、調子は良好! 明日の天気予報は晴れ! 俺の正義の炎は熱く燃えさかる! 覚悟しろ悪党達!」


 油性ペンをしまい、ポリスマンが戦闘態勢に入る。

 『意味不明の超人対応マニュアル』が彼の言動を素早く広い、その意味を分析し始めた。

 明日の天気予報を検索しはじめる。

 曇りから雨だった。東南アジアではスコールの注意報も出ている。


『理解不能』


 即座にコンピュータはネット回線を通じて警告を出す。

 敵は理解不能で、意味不明で、それでいて我々の想定範囲を超えているのである、と。


 変身したオッサンヒーローが機械人形を叩き潰していく中、マニュアルは理不尽さをただひたすらにアピールし続けた。








 マニュアルからの警告をまっさきに受け取るのは司令塔であるジャスティスと、サイボーグの整備をするドクトルだ。

 指示を出すのは前者だが、後者は状況に合わせてサイボーグを選び、調整をしなければならない手前、ジャスティスよりも早く相手の特性を理解する必要がある。

 だが今回の相手はなにもかもがよくわからなかった。


「なんだいこれは」


 送られてきた映像を見つつ、ドクトルはつい独り言を呟いてしまう。

 当面の敵は同級生が育てたXXXだけかと思いきや、オッサン警部がとんでもない姿を披露しているではないか。しかもエントランスに集めた機械人形がまったく相手になっていない。というか、銃弾を筋肉で弾き飛ばしている。言動も含めてクレイジーだ。


「……」


 さて、困った。言動を確認する限り、彼はジャスティスと同じタイプの『正義馬鹿』だ。

 なにを考えているかも理解できそうにないうえ、テレビの中に出てきそうな正義の味方の恰好まで再現可能な超人である。


 誰をぶつけるのが正解か。

 正直、悩む。あのオッサンの実力が計り知れない。誰をぶつけるのが最適の解答なのかが、わからないのだ。まさかこんな隠し玉が存在していたとはまったく予想だにしていなかった。


「ダメだ。こういうのは得意じゃない」


 今回の戦いは可能な限り、1対1に拘りたいのがドクトルの考えである。

 相手はXXX。同級生のエリーゼが用意してきた最強の戦士だ。自分が用意した最強の戦士が証明するには、正面対決が一番わかりやすい。

 だが、このオッサンについては別だ。そもそも彼はXXXですらない。

 ならばこちらは投入できる戦力を活用して彼を潰す。アクシデントを倒した怪盗がいるという報告もある。外も合わせ、XXX以外の邪魔者も全力で排除しにかからないと。


「相手は確か手の甲にGと書いてたかな。なら、こっちもGを投入しよう」


 オッサンヒーローが暴れているのはエントランスだったか。

 丁度いい場所だ。あそこなら袋ネズミにしやすい。

 そこまで思考を回すと、ドクトルは体内無線でヴェノムに連絡する。


「ヴェノム。エントランスにクレイジーなオッサンが居座っている。マニュアルもお手上げのクレイジーさだよ」

『では、私は彼の退治を?』

「いや。XXX以外の仲間が外にいる筈だから、そっちを掃除してくれないかな。先に何人か出しておくから、ピンチになったら駆けつける程度でいいよ」

『スバル少年はどうします?』

「ジャスティスに預ければいいさ。総大将らしく、踏ん反り返っているだけでも仕事をしてくれるだろう」

『了解しました。起動していないサイボーグはどうします?』

「こっちで調整しておくとも。君は思う存分運動してくるといい」

『では、そうしましょう。最近は運動不足でしたので、いい機会ですわ』


 さて、これでXXX以外の邪魔者に対する用意もできた。

 ドクトルは回線を切断すると、まだ起動していないサイボーグが格納されているカプセルに手を付ける。


「君の出番まで回ってくるといいんだけどね。ホワイトやザンマが倒れたら出番だから、それまでは休んでるといいよ」


 カプセルに向けて囁くと、真下から轟音が鳴り響いた。

 エントランスが崩れたらこの部屋をどうやって守り抜こうかと考えつつも、ドクトルはのんびりと調整に入る。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ