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エクシィズ外伝  作者: シエン@ひげ
超人大決戦! ~超人VS怪盗VS警察VSサイボーグ~
25/193

vs天空飛来隕石蹴り(仮)

「ここだ! ジョン刑事、ここでストップ!」


 お宝の気配を敏感に感じ取ったエリックの指示に従い、ポイントサーチがその足を止める。

 コックピットから飛び降りると、エリックはまっすぐある建物へと向かっていった。


「間違いない。ここから匂いがするな」


 鍛え上げられた怪盗の鼻が獲物の場所を示す。

 その建物を見上げ、カイトはぼそりと呟く。


「大きいな」


 高層ビルだ。見たところ、100階くらいはありそうなオフィスビルである。


「ここの何階かはわかるか?」

「悪いけど、そこまでは中に入ってみないとわからないな」

「そうか」


 つまり、ここからは突入して戦うことになる。

 マーティオはまだ追いついてこない。戦える戦力は5人。


「どうする。またゼッペルが戦えるかを問い合わせるか?」

「いや、ギリギリまで俺たちでなんとかやってみよう。向こうの守りが必要なのは確かだ」

「でもさ。どこから突入するの?」


 シデンが問う。

 高層ビルだけあって入口は複数ある。敵が本格的な組織なら、きっと守りも厳重な筈だ。既にサイボーグの追手が現われている以上、こちらが向かっているのも把握しているだろう。


「男なら、やはり堂々と玄関から行くべきだろう!」

「待て警部。それは危険だ」

「なぜだ。玄関から入るのは礼儀だろう」

「うむ。それは認めるが今は礼儀を捨ててくれ」

「正義の味方なんだから礼儀よく行かないとダメだろう!」


 ダメだこのおっさん警部。

 ネルソン以外の全員が頭を抱えていると、カイトは仕方がないと言わんばかりの顔で口を開く。


「わかった。じゃあ警部は正面から探してくれ」

「え!?」

「おい、いいのか」

「仕方ないだろう。このおっさんのワガママもできるだけ尊重してやらないと」


 この会話を聞いたジョン刑事は思った。

 ああ、ウチの警部は年長者の筈なのにどうして子ども扱いされているんだろう、と。


「だがジョン刑事とマリリスだけを残すわけにもいかんな。シデン、ポイントサーチの守りを頼む。こちらが突入して30分連絡がない場合、イルマに連絡してくれ」

「了解。必要なら外から凍らせるから」


 頼もしい言葉である。

 定期連絡を欠かさない場合、自分たちは間違いなく氷漬けにされるだろう。

 そんなことを思いつつ、カイト達は突入計画を考える。


「で、俺たちはどうする」

「あまり別れて行動したくないが、時間がない。別々に行動してスバルとアルマガニウムを探そう」

「じゃあ警部が突っ込んだら俺たちも行くか?」

「いや」


 言いつつカイトは回れ右。

 すたすたと歩きだすと、ポイントサーチから遠ざかっていく。


「おい、どこ行くんだ?」

「カイちゃん?」

「エイジ。少し頼みがある」

「ん?」


 振り返り、カイトは言う。


「今から全力でお前に蹴りかかるから、打ち返してくれ」

「は?」


 唐突な提案だった。エリックは『なに言ってるんだコイツ』と言わんばかりの顔で首をかしげているが、エイジはふと閃く。


「ああ、7歳のころに提案した必殺技だな!」

「そうだ。あれで先制攻撃を食らわせてやるから、その隙にお前たちは突入してくれ」

「ちょっと待って。響きは凄くカッコいいけど、なにするのアンタ等」


 ジョン刑事もポイントサーチのコックピットから突っ込むが、カイトはまったく気にしない様子で走り出す。

 一方、意図を汲み取ったエイジはスコップを構えた。


「今更だが、スバルにぶつかったらどうする!?」

「アルマガニウムを飲む込むような運の持ち主だ。天に任せればなんとかなるだろう! 最悪、無理やり俺が掻っ攫う!」

「それもそうだ!」


 酷い結論だった。力任せすぎる話しを聞き、エリックたちは猛烈に嫌な予感を感じてしまう。

 だが、誰も止めることは無かった。

 ネルソンは彼らの行動が突入の合図だと信じて疑わず、マリリスとシデンに至っては絶対的な信頼を寄せている。残されたエリックとジョンだけではカイトの疾走を止めることなどできない。


「もうどうにでもなれ! やるならやってくれ!」


 半ばヤケクソになったエリックが叫ぶ。

 それを聞いたカイトは不敵な笑みを浮かべ、言った。


「任せろ。今回の件は俺も頭にきている。思いっきりやっておかないと気が済まん」


 踏込に更なる力が入る。コンクリートが砕け、カイトが走り去った後にはただ破壊だけが残って行った。

 一直線に走り抜けた先に佇んでいるのは、高層ビルとエイジのみ。


「いくぞ」

「こい!」


 カイトが跳躍した。

 大ジャンプではなく、エイジの顔面を狙った飛び蹴りである。だが、その爪先がエイジを抉る事は無かった。


「そおりゃ!」


 エイジはスコップをフルスイングする。カイトの足と激突した瞬間、エイジは腰を捻って高層ビルの方向へと刃先を向けた。


「いって来い!」


 スコップに激突した状態のカイトが、高層ビルに向かってぶっ飛んでいく。さならが野球選手のホームボールの如く。

 ビルの屋上を飛び越えて上空にまで上昇したカイトはその場で何回か身体を捻って回転を加えた後、右足を突き出してビルへと突撃していく。


 爪先が壁に激突。

 壁をぶち破り、そのままビルの内部へと突撃していった。


「ん?」


 最上階でPCと睨めっこしていたジャスティスが轟音に気付く。天上が崩れたかと思うと、真上からコンビニ強盗みたいな出で立ちの男が突っ込んできた。


「おお!?」


 ジャスティスが驚き立ち上がる。彼がコンビニ強盗っぽい男を問い詰める前に、彼は床をぶち抜いて下の階へと突っ込んでいった。

 真下の階にあるのはドクトルの部屋だ。あそこには純正アルマガニウムを飲み込んだ少年がいる。

 ジャスティスは慌てて穴へと駆け寄ると、真下を覗き込んだ。


「ドクトル、ヴェノム。今のは!」

「大丈夫ですジャスティス。そのまま斜めに通過していったので、少年は無事です」

「おお、正義的に安心したぞ!」

「ただ、見事に貫通されてますね」


 ヴェノムがどこか面白そうな表情で報告してくる。

 見れば、高層ビルには屋上から斜めに大きな穴ができあがっているではないか。文字通り、貫かれている。


「今のはサイボーグか!?」

「いいえ、あのようなサイボーグはドクトルが用意しておりません。恐らく、新人類でしょう」

「新人類! やはりこのような凶悪な破壊力を秘めた兵器どもを野放しにしておくのは危険すぎる」


 大分発想が飛んでいる気がするが、ジャスティスはマイペースにサイボーグたちに指示を出す。


「諸君、敵襲だ! 新人類が攻めて来たぞ! 守りを固めるのだ!」

「ジャスティス。この少年はどうしましょう」


 真下からヴェノムが尋ねる。


「今のは君の知り合いかな?」

「……たぶん」


 見慣れた正義の味方(仮)の激しい突撃を目の当たりにし、呆然とするスバル。

 彼の様子を見たジャスティスは顎に手をやり、しばし考えた。


「人質というやり方はあまり正義的ではないが、急がなければならないかもな」

「ドクトルが現在、ホワイトやザンマを調整中です」

「ビーストも起動させておきたまえ。聞けば、ライトニングも正面からの勝負では危なかったというぞ」


 純正アルマガニウムはこれからの活動の要だ。

 平和な世界を取り戻す為、あれを奪われる訳にはいかない。

 打倒新人類。取り戻しに来たのが旧人類の軍隊などなら気が引けたが、新人類の小数精鋭なら話は別だ。全員返り討ちにしてくれる。


「さっきの奴はどこに!?」

「穴の先にいるかと」

「では、そいつを優先的に潰せ! 絶対に逃がすな!」









 ビルが騒がしくなってきた。

 明かりが一斉に点灯したかと思うと、騒音も鳴り響く。サイレンと人間の声が入り乱れる中、正面入り口前にいたエイジたちはカイトの先制攻撃が成功したことを悟った。


「よし、突入するぞ! お前たち、俺についてこい!」


 気合十分のネルソンがエントランスから突入していく。

 エリックとエイジは熱血警官の後ろからついて行かず、周りをきょろきょろと見渡していた。


「俺はどこから入り込むかな」

「ついていってやれよ。あのおっさんと付き合い長いんだろ?」

「いや、普通のおっさんならまだいいけど、あのおっさんはうるさいからな」


 何気に酷いことをぼやきつつ、エリックはビルの右側へ。彼は別の入り口から入り込むつもりのようだ。


「あいつがあっち側なら、俺は反対側から行くかな」


 エイジがスコップを肩にかけると、携帯電話が鳴り響いた。

 呼び出し元を確認する。『カイト』と表示されていた。

 握り壊さないよう、丁寧にプッシュし、発信元と連絡を取る。


「おう、カイト。どうした」

『どうだ。そっちの方は突入できそうか?』

「ああ。お陰さまでビルの内側は大分混乱してるようだな。警部とエリックはもう突入してるぜ」

『そうか』

「俺もこれから適当な入口を見つけて入るつもりだ。後から合流しようぜ」

『いや、その前にいくつか報告することがある。スバルを見つけた』

「なんだと。どこだ」

『最上階の1つ下の階だ。手を伸ばしたが、ギリギリ届かなくてな。できればまっすぐこっちを目指したい』

「わかった。じゃあそこを目指している最中に上手いこと合流しようぜ」

『いや』


 ここでカイトは一寸言葉を止める。

 小さな沈黙の後、彼は気まずそうに呟いた。


『先に裏口に来てくれ。まずいことが起きた』

「サイボーグか! すぐに行くぜ。なんとか持ちこたえてろ!」

『いや、サイボーグは来ていない』


 敵の襲撃はない。

 仮に来たとしても、普段ならなんとかできる自信はある。

 だが、


『勢いがよすぎて足が地面にハマって動けないんだ。助けてくれ』

「……」


 エイジががっくりと肩を落とす。

 そういえば7歳のころにこの技を考えたのはよかったが、実践したことは無かったなぁ、と思いつつ。


『いかん。裏口から敵が来た。やばいぞ、銃を持っている。早く来て助けてくれ』

「どんだけ深く突き刺さってるのお前!」

『さっきは足と言ったがすまん。正確に言おう。下半身がまるごと埋まって動けない。これでは銃が避けれん』

「今すぐ助けに行くから、なんとか銃弾を捌け!」

『おお、撃ってきた!』

「まだ電話切らないことから察するに、余裕あるなお前!」

『馬鹿を言うな。片手で捌きながら必死にお前に助けを求めている!』

「全然余裕じゃねーか!」

『奥にバズーカを持ってる奴が見えるんだ。早くしてくれ』

「電話切るから、両手を解禁しろ!」


 怒鳴りつけるように叫ぶと、エイジは力任せに電源を切った。

 あまりの握力に現代機器はあっさりと潰されてしまったのだが、機械の悲鳴よりも友人の小さな悲鳴を助けるため、エイジは走り出した。

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