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夢日記  作者: 葵枝燕
二〇一七年
5/19

現実感に溢れた夢(二〇一七年七月二十五日)

 こんにちは、葵枝燕です。

 連載『夢日記』第五回でございます!

 この作品は、何か面白い夢見た、これは誰かに伝えたい、記録に残しておきたいーーそう個人的に思った夢を、書いていくものとなっております。

 今回は、二〇一七年七月二十五日に見た夢です。

 もしよければ、私の見た夢の話にお付き合いくださいませ。

 その日も、母と姉が寝ている部屋で、NHK-Eテレでやっている二十三時五十五分放送の五分間番組を見てから、自室に引き上げた。平日である月曜から金曜は、大体こんなものだ。眠気に耐えられずに寝てしまったり、帰りが遅く風呂から上がったら日付を跨いでいたり――そういうとき以外は、欠かさずに見るようにしている。私にとって、癒しとも思える五分間なのだ。

 自室に戻り、枕元においた数冊の本から一冊取って、読まずに元の場所に戻した。扇風機の稼働音がしている。エアコンのない我が部屋には、暑い今の時期は扇風機が欠かせない。しかし、扇風機を点けているとはいっても、そこは(たか)()れているのだ。やはりエアコンには敵わない。こういうときは、さすがにエアコンが恋しくなる。かといって、自室にエアコンを入れたいか――と問われれば、返答には困ってしまうのだからどうしようもない。


 そして、こんな夢を見た。


 姉と、母方の実家かどこかで遊んでいた。ただ駄弁(だべ)っていただけなような気もするが、とにかく姉と二人で過ごしていた。

 やがて、私は学校に行かねばならない時間になった。授業自体は十時四十分から始まる二限しかないが、図書館でのアルバイトが九時から十時三十分までの一限丸々入っている。そのため、朝イチで学校に行かないといけないのだ。

 準備をしようと立ち上がりかけて、そして私は、ある重大なことに気が付いた。

「あぁーっ!」

「何? どうしたば?」

 突然叫んだ私に、姉が()(げん)そうに(たず)ねる。私は、

「服間違えたぁ!」

と、再び叫んだ。

 私が今着ているのは、グレーの半袖シャツだ。丈が長く、ポケットも付いていて、ウサギの絵が大きくプリントされている。元は姉の物だったのだが、いつの間にか私ばかりが着るようになっている。私のお気に入りの服の一つだ。

 普段なら、この服でも何ら問題はない。そう、普段なら、の話である。

「今日はスーツじゃないとダメなのにーっ!」

 今日は十三時から、夏休み中に実施される実習の担当講師と、同じ実習先に行く同じ学科の同学年と、面談を受けることになっている。必ずスーツで、と言われたかは(おぼ)えていないのだが、ラフな恰好(かっこう)で行くわけにはいかないだろう。

 自宅にスーツを取りに戻れればいいのだろうが、生憎とそんな時間はない。一限はアルバイトが、二限は授業が、それぞれ入っている。二限が終わるのが十二時十分、それが終わった後、一度家に帰り、十三時に余裕を持って間に合うように学校に戻ってくる――なんてことが、車を持っていないバス通学の私にできるわけがない。かといって、今すぐに取りに帰ることもできないのだ。アルバイトに遅れるわけにもいかないのだから。

 さて、この状況をどうしたものか――焦って頭の回らない私に、

「何で。おかんに持ってきてもらえばいいさぁ」

と、姉が事もなげに言った。

「あ! その手があったか!」

 何ということだろうか、そんな簡単な方法があったのだ。なぜそれを真っ先に思いつかなかったのだろう。

 私はスマートフォンのロックを解除し、母宛に「白シャツ持ってきて!」、「あとジャケットも!」という、二つのメールを送った。これでどうにか、面談に心置きなく行くことができそうだ。

 ――もっとも、両親からは大目玉を喰らうことは必至だろうが。


 そういったところで目が覚めた。

 妙に室内が明るいと思ったら、電気を消さずに寝てしまったらしい。自室で一人で寝るようになってから、これで三回目だ。これでは、ミニ電気スタンドの電気を消さずに寝落ちしてしまう姉のことをとやかく言えない。気を付けなければならない。

 そして、どうやらさっき見ていた夢はほぼ正夢、現実感に溢れているらしいことに気付いた。

 今日の十三時に実習担当講師と面談をすることも、その面談にスーツで行こうと思っているのも、一限に図書館でのアルバイトが入っていることも、二限に授業が入っていることも、全て紛れもない事実なのだ。

 おそらく、スーツで行かないとダメだ――とか考えていたから、こんな夢を見たのだろう。

 実習はいよいよ二週間後に迫っている。長いようでいて短いのが、時間の流れだ。きっとあっという間に実習初日がやってくるだろう。

 母と姉の寝室から漏れ聞こえてくる子機の音が、いつもの騒がしい朝の始まりを告げていた。

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