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夢日記  作者: 葵枝燕
二〇二三年
18/19

一万円札とクソガキ(二〇二三年十月二十三日)

 こんにちは、葵枝燕です。

 連載『夢日記』第十八回でございます!

 この作品は、何か面白い夢見た、これは誰かに伝えたい、記録に残しておきたいーーそう個人的に思った夢を、書いていくものとなっております。

 今回は、二〇二三年十月二十三日に見た夢です。今回の感想を一言で言うなら——子ども嫌いなのは仕方ないとして、私少し過激かもしれない?、でしょうか。

 前回の更新が二〇二三年三月九日なので、約七ヶ月ぶりの更新ですね。

 そんなわけで。『夢日記』、今年は三回目、そして、約七ヶ月ぶりの更新でございます。

 もしよければ、私の見た夢の話にお付き合いくださいませ。

 隣室で寝ている姉と会話を交わしていたら、〇時を過ぎていた。まぁ、ここ最近いつものことである。

 土日が休みで月曜からまた仕事が始まる姉は、「おやすみぃ」と、一足先に眠りについた。一方私は、週休と定休日で二連休なのをいいことに、スマホでネットサーフィンしてから、睡眠記録アプリを立ち上げて、〇時四十分頃ようやく眠ることにしたのだった。


 そして、こんな夢を見た。


 私は、とある銀行を訪れていた。目的は、お金をおろすためだった。銀行のキャッシュカードは常に財布の中にあり、わざわざ窓口まで行く必要はないので、ATMに直行した。

 操作方法も慣れたもので、すぐに一万円札を引き出すことができた。カードを取って、お札を取って、それらを財布にしまって、いつものように退出する——はずだった。

 私の視界の右端から、何者かの手が伸びてきたのは、私がお札を取ろうと手を伸ばしかけたときだった。その何者かの手は、私の一万円札をサッと奪っていった。そして、その手の持ち主は、そのまま銀行の外に向かって走り出していく。その人影は、私よりも小柄に見えた。

 咄嗟のことに混乱するが、私はすぐに「ちょっと待て!」と叫んで追いかけた。そんな私の様子に気付いたのか、銀行員と思しき女性が、その人影を追いかけてくれた。

* * * * *

 私が銀行から出ると、逃げた人影が銀行員に捕まっていた。もっと激しく抵抗しているものと思っていたのに、おとなしく捕まっている。観念しているのかもしれない。私は、人影の元に小走りで駆けつけた。

 人影を近くで見て、私は少し驚いた。

 それは、まだあどけなさの残る、それこそ十代未満に見える男の子だったからだ。とはいえ、襟足長め、かつ、地毛ではなさそうな少し茶色っぽい髪を見れば、〝この辺りの子〟だなという思いも芽生えたのだが。

 とはいえ、私の中で目の前のこの男の子は既に、クソガキ認定されている。私のお金を盗っていった者に、情けなどかけるつもりはなかった。それが、子どもであっても——いや、子どもだからこそ、甘やかそうとは思わなかった。

 私は、クソガキの手から一万円札を取り戻した。このときも、お札を握りしめたり、お札を隠したり、何かしらの抵抗はするものかと思ったら、すんなりと取り戻すことができた。

「なんでこんなことした⁉︎ どこの学校の子⁉︎」

 私は、きつめの口調でそう問い詰めた。しかし、クソガキは無言だ。

「学校に連絡するよ‼︎ どこの学校なの⁉︎ 名前は⁉︎」

 質問を重ねるが、やはりクソガキは無言のままだ。仕方なく、私はかつて私も通っていた母校の名を出すことにした。

「Y小なの⁉︎」

 ここでクソガキは初めて反応を示した。はっきりと、首を横に振ったのだ。しかし、ここで本当のことを言うはずがないと思っている私は、

「Y小に連絡するからね‼︎」

と、宣言して、スマートフォンを取り出した。

 ネットでY小の電話番号を調べて電話をかける。もし、Y小の生徒じゃなかったから、近場の小学校に手当たり次第アタックしよう——そう心の中で決意する。三コールくらいしてから相手が出た。私は、平静を装って話し出した。

「すみません。そちらの学校の生徒さんだと思うんですけど」

 私は、そう切り出してから、クソガキに視線をチラチラ向けつつ、話を続けた。

「男の子で、三年生くらい……ですかね。身長は——」

 そこで私は、クソガキの身長を目算するべく、片手をクソガキに向けてみた。私の身長は約百四十三センチメートルだが、目の前のクソガキはそれより二十センチメートルは低いように思えた。

「百二十センチメートルくらいです。……あ、あと、襟足が長いです」

 クソガキの名前がわからない以上、クソガキの特徴を言うしかない。〝襟足が長い〟というのは、結構特徴的だと思うのだが、電話の向こうの相手からの反応は、あまりよろしくない。ほとんど無反応に近いのだ。

 しばらく間を置いて、電話の向こうの相手はこう言ってきた。

「すみません。昨日が秋分の日で休みだったので、今日は振替でお休みなんですよ」


 目を覚ますと、やけに明るい朝だった。今は、九時だろうか、それとも、十時だろうか。休みの日は、大概この時間に起きる——というか、起こされるから、そのくらいだろうとあたりをつけた。

 なんとなく、夢で見たことを思い出した。

 正直、驚いていた。ビビりな私が、いくら目の前でお金を盗られたからって、あんな強気に詰問できるものだろうか。小学生のとき、目の前で隣の席の男子(特別支援クラスにも籍をおく、おそらく障がい児だった)に、消しゴムや定規を盗られたり、返却されたばかりのテストを盗られてグチャグチャに丸められたりしたときですら、何もできなかったというのに。

 それに、他人の金を盗っていくとは、とんだクソガキである。いくら私が子ども嫌いとはいえ、いや、だからこそのこの夢だったのかもしれない。子ども嫌いであるからこそ、子どもがやったことだから赦してあげるなんて選択肢は、私にはなかったのだろう。

 そういえば、電話の向こうの相手は、「昨日が秋分の日で休みだったので、今日は振替でお休みなんですよ」と言っていたが、秋分の日は九月二十三日で、一ヶ月前に過ぎている。それに、学校が祝日の振替で休みがあるなんて聞いたことがない。土日に学校行事があって、その振替で月曜が休みになるならわかるけれど。

 あとは……あの銀行も、何か変だった。近所の銀行だったと思うが、今思い返すと、ATMの配置に違和感があるのだ。

 まぁ、それらは置いといて。とりあえず、クソガキはクソガキである。

 子機が鳴る音がする。いい加減起きないといけないだろう。私は起き上がって、スマホとメガネを取って、布団から出たのだった。

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