太陽と地球が沈む空(二〇二一年五月二十六日)
こんにちは、葵枝燕です。
連載『夢日記』第十三回でございます!
この作品は、何か面白い夢見た、これは誰かに伝えたい、記録に残しておきたいーーそう個人的に思った夢を、書いていくものとなっております。
今回は、二〇二一年五月二十六日に見た夢です。今回の感想を一言で言うなら——幻想的で少しSFチックな感じ?、でしょうか。
そういえば、今日は、スーパームーンで皆既月食の日——そんな日に、こんな夢を見たなんて、不思議な縁を感じます。
前回の更新が二〇二一年四月五日なので、約一ヶ月ぶりの更新ですね。
そんなわけで。『夢日記』、今年は三回目、そして、一ヶ月ぶりの更新でございます。
もしよければ、私の見た夢の話にお付き合いくださいませ。
音が、かすかに聞こえて目が覚めた。廊下の向こうにある、母と姉の寝室からだ。おおかた、姉がスマートフォンでかけたアラームの音だろう。
私は、枕元に置かれたスマートフォンを手に取り、時間を確認する。ロック画面に表示された時間は、六時、だった。いつもなら、起き上がってもいいかと思っただろう。だが生憎、今日はシフトが入っていないため休みだ。まだ布団——私は、出しっ放しの敷布団で寝ている——から出たくなかった。文句を言いに部屋を出ようかとも思ったが、考えてみれば、姉が休みの土日は、私が同じことをしている。そんな私に、文句を言う資格はない。
そんなわけで私は、消えていた扇風機をつけ、タオルに包まり、目を閉じた。
そして、こんな夢を見た。
私は、姉と、Y小学校の正門前を歩いていた。そこは、私も姉もかつて通った母校であった。私達がいた頃と、その外観はあまり変わっていない。
そのとき、私は不意に空を見上げた。そして、心を惹きつけられ、心を奪われた。すぐに、左側を歩いていた姉に声をかける。
そこには、白く輝く太陽と、青と緑に輝く地球があった。太陽の左上、ほんの少し空間を空けて地球がいる。二つの星は、今まさに沈もうとしているところのようだった。その様子は、絶景で、これ以上に美しいモノはないのではと感じられた。
「写真! 早く撮って!」
私は姉にそうせがんだ。この幻想的な空を、目に見えるカタチで残しておきたかったのだ。姉は、右手に袋を提げていたため、左手でスマートフォンをさがしだし、空へ向ける。
さぁ、いよいよシャッターを押すのか——そう思った次の瞬間だった。
姉は、近くを歩いていた柴犬に、そのスマートフォンを向けたのだった。
そういったところで、目が覚めた。廊下の向こうから、子機の鳴る音がする。おそらく母が、私を起こそうと鳴らしているのだろう。
私は、今まで見ていた夢を思い出す。
あの空は、なんと幻想的で美しい光景だったのだろうか。本当だったらよかったのに。なんだか、惜しいことをしたような気分だ。
そこまで思ってから、ハッとする。
あれは間違いなく、太陽と地球だった。つまり、夢の中で私達姉妹は、地球ではないどこかにいたことになる。いったいどこにいたというのだろうか。
けれど、そんなことはどうでもいいと思った。あの綺麗な光景に比べれば、地球ではないどこかにいたことなど、ひどく些末なことにしか思えなかったのだ。
私は起き上がり、うるさく鳴く子機を止めるため、部屋を出たのだった。