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夢日記  作者: 葵枝燕
二〇二一年
12/19

多分詐欺師男と姉の暴言(二〇二一年四月五日)

 時間帯的にこんばんはですが、ここはいつもどおりのご挨拶を。こんにちは、葵枝燕です。

 連載『夢日記』第十二回でございます!

 この作品は、何か面白い夢見た、これは誰かに伝えたい、記録に残しておきたいーーそう個人的に思った夢を、書いていくものとなっております。

 今回は、二〇二一年四月五日に見た夢です。今回の感想を一言で言うなら——夢でよかった、でしょうか。

 前回の更新が二〇二一年二月九日なので、約二ヶ月ぶりの更新ですね。

 なお、本文中に出てくる、Tさんですが、実在する知り合いの方が出てきたので、イニシャルにさせていただきました。

 そんなわけで。『夢日記』、今年は二回目、そして、二ヶ月ぶりの更新でございます。

 もしよければ、私の見た夢の話にお付き合いくださいませ。

 iPod touchに入れている日記帳アプリに、手早く今の感情や今日の出来事を入力し、電気を消した。すぐに寝ないのもいつものことで、iPod touchに入れているゲームアプリのイベントを進めて、一通りクリアしてからやっと手放す。

 ここまでで、おそらく午前一時を過ぎていただろう。


 そして、こんな夢を見た。


 私は、母と姉と、母の実家を訪ねていた。母の実家は複雑な家屋のつくりをしていて、私が今いるのは、かつて祖父が一人で生活していた家だった。仏壇も置かれているため、旧盆や正月などの年中行事も、そこで行われていた。祖父亡き今、色々と不便な部分を改装し、エアコンも取り付け、「別荘」と呼ばれる場所となっている。私達も、時折泊まる場所として利用していた。

 その玄関先に、私達三人と祖母、そして、一人の若い男がいた。男は、母と祖母相手に笑顔で何やら話をしているのだが、私は手元にあった新聞(なぜか新興宗教じみたものばかりあった)を読むふりをして、男にかかわらないように、また、男から絡まれないようにしていた。元々、他人と話すことは苦手、かつ、他人の話など半分以上聞いていないことが多い私らしい行動だと、なぜか他人事のように思った。

 さて、耳に入ってくる話を拾う限り、どうやら男はいい人ではないようだった。「これくらいの額出していただければ、これくらい得しますよ。いかがです?」といったような、それこそテレビに出て来る詐欺師のようなことを言うのだ。そんな男の話に、母と祖母は困り顔である。

「嘘くさ」

 それは、男の耳に入るギリギリの声だった。その言葉を発したのは、姉だった。男は、不機嫌そうに姉を見たが、その後すぐに笑顔に戻って、母と祖母に話の続きをしたのだった。

* * * * *

 気が付くと、母と祖母と男は、奥の畳間で話をしていた。どうやら、姉の態度に男は相当腹を立てたらしいと思った。

 しかしである。

「詐欺なんじゃないのー?」

 姉は奥にいる男に聞こえるように、ダメ押しの一言を喰らわせたのだった。

* * * * *

 いつの間にか、私と姉と母は、家の外にいた。

「あんたはもう、何であんなこと言うわけ? 失礼でしょ」

「あんなの絶対怪しいさぁ。あれ、絶対詐欺どー」

 母が姉を叱り、それに対し姉は反論する。私はその様子を、やはり他人事のように聞き流していた。

 そのとき、道向かいの美容室から、その店の主であるTさんがやって来るのが見えた。

「さっきの男の人、あんた達のところにも来たねー?」

 それが、あの怪しい多分詐欺師男だと思い至り、

「来ましたよ」

と、答えた。Tさんは、それなら話は早いとばかりに、

「お金、払った?」

と、訊いてきた。私達は、払っていないことを伝えた。すると、Tさんはどこかガッカリした表情になった。

「まさか、払っちゃったんですか?」

と、訊ねると、

「そうしないと出て行きそうになかったんだのに」

と、言う。私は、残念なものを見ているような気がしていた。


 目を覚ますと、廊下の向こうから子機の着信音が鳴り響いていた。いつもどおりの朝だ。早く、このうるさい音を止めに行かなくては——そう思うのに、なかなか布団から起き上がれない。

 なんともまぁ、いやな夢であろうか。どう考えても、あの男は詐欺師だ。危うく、お金を騙し取られるところだったはずだ。

 怪しい男にうまい話を持ちかけられて、「そんなうまい話は他人に教えないよー。あんた一人でやりなさい」と返したあの祖母が、夢の中とはいえ、お金を騙し取られかけただなんて——信じたくない。母なら、騙し取られるかもしれないが。それに、姉ならあのくらいのことは言いそうな気がする。あれは、絶対わざと、あの男に聞こえるように言っていた——と思えてならない。

 でも、なんにせよ、こんな夢はだめだ。とにかく誰か——そう、姉に話さねば。そして、思いきり笑い飛ばしてもらえたらいい。

 そう感じながら、私は起き上がったのだった。

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