ぼくの弟〜とある日の日記より
うちには天使がいる。
僕が小学生になった年にうちにやってきた。
最初は甘い匂いでなんとなくなまぐさくて、
しょっちゅう泣くし。
お母さんはとられちゃうし、あんまりかわいくなかった。
ハイハイしても、立っても、笑っても
大人から「かわいい」って褒められてて。
やっぱり、あんまりかわいいって思えなかった。
そんな弟も幼稚園に行くようになって。
小さいけど「社会」に出るようになって、大人になった。
幼稚園の子が大人になったって変な日本語だけどさ。
僕のことを「おにいちゃん」って呼んで
僕をみつけるとトコトコどこにでも付いてくる。
まぁ、かわいいんじゃないかなって思うようになった。
この間、友だちのとこに「妹」が産まれた。
結構な年の差だから、珍しくて見に行ったら
なんていうか…妖怪がいた。
でも、友だちは「天使みたいにかわいい」って妹にデレデレしてた。
いや、ないわ。うちの弟の方が何百倍もかわいかったわ、赤ちゃんのころ。
正直に言ったから、ケンカになった。
家に帰って、弟の顔を見たら
「これが天使だよな」ってすんなり思えた。
僕の弟の方が、友だちの妹より美少女だ。
最近、弟のお風呂を任されるようになって
「弟=天使説」に確証をもった。
僕の弟の背中には、羽根が生えてた跡がある。
僕や友だちの背中にあるのよりも
ものすごくクッキリある。
羽根を神様のとこに置いて、うちに来たんだなって納得した。
だから、僕は今日も弟に
「僕の弟、マジ天使!」ってぎゅーっとハグをしてから寝るんだ。
母「うちの弟マジ天使ー!ってデレデレしてるけどさ。その弟ってば君の小さい頃そっくりそのまんまなんだけど…」