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ヨアキム
少女は悟った。エルフにとって人間は対等な存在では、ないのだろう。
だからこそ自由を許し、勝手に住む場所も決めてしまう。
帰る方法はあるのだろうか。エルフの少年に訊くことは出来ない。
悟られず調べていくしかない。膝を抱え、下を向き考える少女の背に、
エルフの少年は手を伸ばし、優しく背中を撫でだした。
「調子が悪いなら 今日はこの部屋でゆっくりするといいよ
いるものがあったら僕に言ってね?」
返事をしないでいると、今度は頭を撫でだした。
「僕の名前はヨアキム
君の名前は?」
少女は返事をしないままでいた。
エルフの少年は少女の髪を指でときながら、
言葉を続けた。
「僕が君に名前を付けてもいいかい?」
相変らず優しい顔で優しく、触ってくるが、
人間的なものは感じられなかった。
「綺麗な深色の髪だね
瞳の色も濃ゆくていいね」
少女は表情を変えなかった。
「じゃあ元気が出るまで
休むといい
何かあったら呼んでね
お家の中も好きにしていいから」
そう言うとエルフの少年は、少女の
額にキスをして、部屋から去った。
少女は額を拳で擦った。