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深い霧
霧が深すぎる。村に帰ることができないかもしれない。
少女は大木の根元に横たわり眠ってしまった。
霧の向こうから誰かが近づいてくる。
気が付くと丸いベットの上に寝かされていた。
真白なシーツ。外の景色が良く見える。
光で包まれた部屋だ。
「気が付いた?」
綺麗な女性が部屋の中に現れた。
よく見ると耳が長く、尖がっている。
長い金髪に、緑の目、透き通った白い肌。
エルフだ。
エルフの女性は金色の液体が入った
白いカップを渡してくれた。
甘いにおいがする。薔薇の匂い、
口に含むと蜂蜜の味がした。
「森で迷子になったのね?
息子が見つけられて よかったわ
好きなだけここに居てね」
何かあったら声をかけてねと言うと、
エルフの女性は部屋から出て行った。
少女は、ベットから出て、
外の風景を見た。
信じられないくらい光で満ちた、
美しい世界。
ここは人の世ではない。
エルフの世界だ。