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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第三章:ナルの再会
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広まっていた被害

副題はヴァンパイアの影

 結論から言うと所在の分からない者が三名いた、彼らは今日外に出ていないそうだから十中八九どこかで灰となったのだろう。十日で四名というのは多いと見るべきか少ないと見るべきか、どっちなんだろうね?


「…三人、か。私がもう少し、目を光らせていれば…」

「男爵のせいではありませんよ、それに男爵が犠牲となっていればさらに多くの犠牲者が出ていたでしょう」

「分かっている、だが雇用主としてはいささか思うところがあるものだ。彼らの家族には何らかの形で報いねばならんな。…今は先に済ませなければならぬことをしよう」


 さすがに強いな、貴族としての誇りも持っているみたいだ。こういう人には好感が持てる。


「そうですね、まずはそれをもたらした者の背後を洗うとしましょう。案内をお願いできますか?」

「分かっている。キヌ、ナル殿をニスクのところに案内しろ」

「承知しました」

「それでは行きましょうか」

「ええ、こちらです」


 何か進展があるといいなあ。



「いらっしゃいませ! って、グルム男爵のところの騎士さんじゃないですか。どうかなさいましたか?」


 この人は違うな。


「ええ、少し。ニスクさんはいらっしゃいますか?」

「はい、居りますが…」

「申し訳ありませんが奥で話をしたいのです」

「はあ、少々お待ちください」


 …ここに居る人たちも違う、さて?


「お待たせしました、こちらにどうぞ」

「ありがとうございます」


 まずは頭に会わないと分からないか。



 案内された部屋に居たのは中年の仕立ての良い服を来た男性、おそらくこの人がニスクさんだな。この人も違う、ふーむ?


「急な訪問失礼します、ニスクさん」

「いえ、それはかまいませんよ。それで、用件のほうは? それにそちらの方は?」

「自己紹介を先にしましょうか、僕の名はナル、グルム男爵に雇われた冒険者です」

「これはどうもご丁寧に、私はこのネキッラムで商いをしておりますニスクと申します」

「よろしくお願いします。…失礼、【防音】【透過不可】【侵入禁止】」


 これまでに居なかったからといって他にいないとも限らない、とりあえずは安全のためにもこの部屋を隔離しておこう。


「? 今何をしました?」

「外から部屋の中を探れぬようにしました、今からの話はここだけのものとさせていただきたいので」

「…よほど重大な話ということですか」


 話が早くて助かるね、さすがに頭の回転は悪くないか。


「そういうことです。では改めて名乗らせてもらいます、ギルドランクSSが一人、“双剣奏々”のナルと申します」


 ギルドカードを見せつつ名乗る、一般でギルドカードの判別が出来る人はそういないけど一応ね。


「?! …まさかSSの方にお会いできるとは思っておりませんでした。それで、ご用件は?」

「十日ほど前にグルム男爵にメイドを紹介したと聞きました」

「ええ、彼女が何か致しましたか?」

「言い難いことなのですが、彼女がヴァンパイアであったことが判明しました」

「ヴァ?! そ、それは本当ですか?」


 この反応は素か? 演技している感じではない、気がする。こういうときにケイが居れば楽だったんだけどな、彼の前に嘘は意味をなさないから。


「はい、僕が始末しましたから」

「それについてはグルム男爵とニル男爵、及び私を含めた多数が確認しています」

「そうでしたか…、被害は?」

「使用人三名とギーガがヴァンパイア化して死亡しました」

「ギーガ様が?! …私が彼女を紹介したばっかりに…、この度の失態は如何様にして償えば」

「それについてですが男爵より伝言を預かっております、今回の件にニスクさんが関わっているかどうかの判断はナルさんに一任するとの事です。関係ないのなら責任を取らせるような事はしないと」

「え? 僕が判断するのですか?」


 聞いて無いんだけど。大体なんで僕が判断することになるんだ。


「ええ、ヴァンパイアか否かを判断できるのは貴方だけですから。だったら貴方に一任した方が早いと」


 だからと言って、ねえ? そんなところは依頼に入って無いと思うんだけど。


「はあ。少なくともこの人はヴァンパイアじゃないですよ、後はここまでに見た人の中にも居ませんでしたね」

「そ、そうですか。とりあえずは安心でしょうか」

「僕が見ていない人までは分かりませんがね。とりあえずは例の彼女についてお聞かせ願えますか?」

「ええ、そうですね。彼女は私の部下の娘でして、グルム男爵が使用人を探していると聞いたときに部下から紹介されたのです。とりあえず私が見た限り能力的に問題は無さそうであったのでそちらに紹介したのですが…」

「その部下さんは?」

「えーっと、今日は休みですね。呼び出しましょうか?」

「…いえ、僕達が直接行きます」


 その方がいろんな意味で面倒が無い、と思う。


「え?」

「もしかしたらその部下さんもヴァンパイアの可能性があります」

「! …しかし、そんな」

「あくまで可能性です、実際にそうだと言っているわけではありません」


 とは言いつつ半々の確立でヴァンパイアだとは思っている、彼女が雇用が決まってから変異した可能性よりも最初っから変異していて送り込まれた可能性の方が高いと思うから。


「そう、ですね。分かりました、ご案内します」

「貴方が?」

「ええ、今は私が一番体が空いていますから」

「ではお願いします」


 さ、て。どうかな?



「で、これか。やれやれだね」


 結論、一家全員ヴァンパイアでした。襲われたから反射でやっちゃったけど、一人くらいは生かしておいて試した方が良かったか? …無駄か、たぶん無理だ。


「…どうしてだ。どうしてお前が」

「ニスクさん、お気を落とさずに」

「……ええ」


 床に座り込んで落ち込んでいる、道中で古参の部下だって言っていたから余計堪えたってとこかな。今は放置しておいた方がいいか、彼を討った僕に慰めるのは無理だ。


「ううん、これはどう判断したものかな?」

「何がですか?」

「奥さんが一番強かったんですよね、もしかしたらノーマル以上のハイだったかもしれません。それが事実だとして奥さんがこの街を出ることはそこまで無いと考えると、この辺りにはハイ以上のヴァンパイアがいるって事なんじゃないかなと」


 だとするとかなり面倒なことになるんだよな、でもその可能性が結構あるのがなあ。


「…本当ですか? そうだとするとこの街もしくはこの街の近辺に強力なヴァンパイアが居るということになりますよ?」

「たぶん? 奥さんが他のと比べると強かったように感じたんですがねえ」


 正直僕基準だと五十歩百歩だったからあくまで気がするってだけなんですけどね。


「そうは見えませんでしたが。瞬殺だったじゃないですか」

「いやまあ、あの程度なら歯牙にもかけませんよ。多少強くなった程度ではね」


 どうにもあの程度だと雑魚かちょっと強い雑魚かぐらいしか感じ取れないからねえ、最近は手ごたえのある相手ばっかり相手にしていた分急にレベルが下がると分かり難いな。


「すごいものです。…これからどうします?」

「そうですねえ、さすがにこれは相手に気付かれたような気がするんですよね。だとするとへたに攻めるのは危ないかもしれません、少しの間は専守防衛に徹した方がいいかもといった感じです」


 ハイヴァンパイアより上となると眷属の所在くらいは確認できるんじゃなかったか? だったらもう気付かれてる可能性が高い、こうなると相手の出方を伺いたいんだよなあ。


「でしたら一度戻りますか?」

「そうですね、雇用主の意向も確認しておきましょうか」


 グルム男爵達と話をした方が考えが生まれるかもしれないしね。あ、そうだ。


「その前にニスクさんの商会に戻りましょう、これだとさらにヴァンパイア化していた人が居たかもしれません」

「え? あ、そうか…。コイツが広めていた可能性があるのか…」


 部下さんが居た場所をじっと見つめて呟いている。…これはへたに触らない方がいいか、変に暴発するとまずい。


「ええ、その確認に行きましょう。立てますね?」

「はい、大丈夫です…」

「では行きましょうか」



 …戻ると目の前で同僚が灰になって消えたと言う人が何人もいた、これは本当にまずいことになっている可能性があるな。どうしたものかな、まったく。




 どうにも前の話で本文が二十万字いっていたようです、結構書いたものですね。最終的に何処まで行くものなんでしょうかねえ。


 えー、どうにも筆が乗りません。なのでもしかしたら投稿しない日があるかもしれません、その際はその次の日には必ず投稿します。それが続きそうだったら正式に週三回くらいの投稿にします。その場合は火、木、日ぐらいになるかな?


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