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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第三章:ナルの再会
53/112

正体は?

副題は素直にペラペラ



「さ、て。本来の僕の決闘相手は何処かな?」


 すでに氷の世界は解いている、ここに居るのは僕と三肢を失ったキャルアのみ。と言っても四肢の損壊面の氷は残しておいたからすぐに失血死とかはないけどね。

…に、しても、決闘の終了が宣言されたと言うのに未だにギーガは現れない。諦めが悪いのかな? さて、一体どうしたものか。


「キャルア、君の雇い主が現れないんだけど?」


 とりあえずここを動くのもどうかと思うから、暇つぶしに目の前の死に体に話を振ってみようか。ま、聞いたところでまともな答えが返ってくるとも思って無いけど。


「…俺が知るか、あくまで俺は臨時の雇われだ」

「ま、そうなんだけどね。さっさと来てくれないと面倒くさいんだよ。…ねえ、君の雇い主について聞きたいことがあるんだけど?」

「…何だ?」

「? 随分素直だね」


 まさかこっちの質問に答えてくれる気になるとは思わなかったよ、何でだろ?


「死にたくない」

「ああ、そういう」


 すっごい簡潔な答えだね、さっきまでの苛烈さも無いし別人じゃないかと疑う気になるねえ。


「で、彼のことなんだけど、彼って誰かの下についているような感じはあった?」

「…いや? アイツはむしろ誰かを従えることに悦びを得ていたように見えたが」

「ふーん、だったら彼の言動はどうだった? 具体的に聞くと短絡的だった?」

「ああ、その場の思いつきで行動しているように思えたが? 貴様を倒す駒を後から探しているくらいだぞ、少なくとも思慮深いことは無いだろう」

「だよねえ」


 あれで考えて動いていますってわけが無いよねえ、結局馬鹿で終わりなのかな?


「だいたいSSを相手にするというのにその依頼料はそれに不足すぎる金額しか提示しなかった、しかも前金すら無しだぞ? あのような条件で受けるのは俺のような個人的な因縁があるやつだけだ」

「…いよいよもって馬鹿の方か?」

「何を気にしているんだ?」

「彼にはちょっとした嫌疑がかかっていてね、彼があからさまにクロだからおかしいなって話」

「あ? …ああ、そういう意図の質問だったか。奴が馬鹿なのか捨て駒なのかが分からんと」


 結構頭の回転は速いな、さっきまでの言動を見ているとにわかには信じがたいけど。復讐にとらわれると色々と不都合が出るというのが良く分かるねえ。


「そんなところ。君はどう思う?」

「…馬鹿のほうだと思うがな。奴は自由意志の行動しか起こしていないように見えた、それに」

「それに?」

「例の女を手に入れたときの算段ばかり口にしていた、あのような利己的な言動で他に協力者が居たようには見えん」

「…その算段とやらは口にしなくていいからね?」


 そんなものを聞いたら殺しかねないからね、君がそれに関係ないと知っていても。


「分かっている、死にたくない」


 …うーん? 何でこんなにポンポンと心中を吐露するんだ?


「ちょっと素直すぎない? 憑き物でも落ちた?」

「理解させられただけだ、文字通りの化け物をな。アレほどまでの恐怖を感じるとどうやら何かが壊れるらしい」


 化け物って言われてもなあ、ぶっちゃけケイやユウと比べると僕なんて優しいもんだよ? あの二人にはどう足掻いたって勝てる自信が無いからなあ。…にしても、復讐者が壊れたって。


「元々壊れていたと思うけど?」

「だったら余計に壊れたのだろうさ」

「ふうん、…ん? ようやくのお出ましかな?」

「の、ようだな」


 こちらに近づいてくる人影、あれはギーガで間違いない…よね? 何か違和感がある? ??


「ねえ、キャルア」

「何だ?」

「あれ、ギーガで間違いないよね?」

「何を言っている? 間違いないと思うが?」

「だ、よねえ?」


 僕はどうしてあれが本人で無いかもしれないと思ったんだ? 何かあるのか?



 そのような疑問を頭の中でぐるぐるさせていると、ギーガが僕達の傍、声を張らなくても会話が出来る位置までやって来た。…コイツがギーガであることは確かだ、なのに何だ、この引っかかりは?


「…」

「…何か話してくれないかな? まさかまだ負けを認めていないなんて見苦しいことは言わないよね?」


 何だ? こいつの性格を考えるとここでだんまりはおかしくないか? どうして怒鳴り散らすなどの感情表現をしない? 偽者? そうは思えない、だったらなんだ?


「…き…で」

「うん?」


 何て言った?


「貴様のせいでー!!」

「うおっと」


 ギーガが腰の剣を抜いて跳びかかって来た、素人に毛が生えた程度の剣だな、気を抜いていてもそんなもの当たらないって。


「おいおい、都合が悪くなったからってそれは無いんじゃない? ちょっとー、誰か来てくれないー?」


 さすがにこのような状況になれば外から介入するきっかけとして扱えるでしょ、どうせ男爵達の手の人たちが居ると思うし。…早く来てくれないかな?


「そこまでだ!」

「お待たせしました、ナルさん」


 おっと、来たね。来る時に会った護衛の人たちだ、これで楽できるかな。…おや? よく見れば観客達を外に誘導している人たちも居るね、これ以上を見せるつもりは無いってことか。


「ギーガ様、落ち着いてください!」

「決闘の勝敗は着きました、これ以上の狼藉は自らの品位を下げますよ!」


 うん? あの騎士達、グルム男爵のところの人か?


「グルム男爵の関係者も居るのですか?」

「ええ、グルム男爵のご意向だと」

「隠蔽の可能性は?」


 グルム男爵がギーガの失態を隠蔽しに来た可能性が有ったりしないの?


「無いと思います、そのようなことをすればニル男爵との交友が絶たれるだけでなく、貴方を敵に回すということになりますから」


 ああ、そうか。こいつらのせいで失念していたけど、普通はSSと無用な敵対はしたくないか。


「それもそうですね、男爵方からの指示はどのようなものですか?」

「至急的速やかにギーガを拘束し、グルム男爵家まで連行しろと」

「…怒ってます?」


 表面上すら敬うという気がまったく無いな、敬意が感じられないのはともかくとしてもギーガに対して苛立ちまで感じ取れるな。


「俺達が敬愛するグエン様を危険にさらし、あまつさえミチ様を己が物としようとするなんて許せるわけがねえ」

「ええ、あのような身勝手な行動など言語道断です」

「まあ、その辺りには同意しますがね。……まだ拘束できないのですか?」


 ここからだと少し見え難いから戦況が分からないけど、どうして5人も居て未だに拘束できないのかな?


「…どうにもてこずっているようですね、どういうことでしょうか?」

「彼には武の心得があるようには見えませんでしたが?」

「俺達もそう聞いてい、なにっ?!」


 ギーガの剣が一人の肩を掠める、仮にも騎士達があの程度の相手に後れを取っているのか?


「加勢してきます。こいつを頼みます」

「わ、分かりました」

「すまねえ、頼む」


 足元のそれを二人に任せ、ギーガたちの元に向かう。そこで見たのは五人の騎士達の剣をさばくでもなくその身に受け、それを意とも介していないギーガの姿だった。



「これは? 一体何が?」

「! 貴様―!!!!」

「チッ、【風の刃】」


 ギーガが騎士達の剣を跳ね除けてこちらに迫ってきたのでとっさに魔術でその右手を斬り飛ばす、これくらいなら後でどうとでも言い訳が効くはっ!? …何? そういうことなの?


「ナル様!? ギーガ様が!」

「分かりましたよ、納得もしました。これなら貴方達が捕縛に手間取るのも無理は無いです、まさか」


 斬り飛ばされたギーガの右腕が灰と化して散りゆく、それと時を同じくしてギーガの本体の失われた右腕が形作られていく。まさかギーガが。


「アンデッドに、成り下がっているとはね」


 ちょっと素直にしすぎたかなあ? でもこれくらいの方が良いかとも思ったんですよねえ、ま、どっちでもかまわないか。それとこっから先の流れについてですが、初期予定だとこの闘技場で戦闘は終了する予定でした。が、これだと二章と比べると短すぎそうなのでもう少し戦闘を増やします、正確には無双させます。もともとナルは主人公最強と言ってもかまわない程度には強いですからね、チート二人がそれ以上なのでキーワードにこそしてはいませんが。だからこれから先苦戦はしても敗北することは無いんじゃないかなあ? 


 それともしかしたらそのうちこれ以外にも不定期投稿作品をあげるかもしれません。それをやるとこっちの更新が遅れる可能性が有るので、気が乗らないと書き出すことは有りませんがね。あげだしたらこっちでも一応報告します、たぶんこっちと違ってタイトルはもう少し面白みのあるものになるかも?


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