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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第一章:ケイの出会い
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迂闊な少年たち

副題はここ何処?


サブタイトル考えるのが思いのほか難しい。

あと一話あたりどの程度の分量がいいのかな。

 ケイは村長に森を歩いているとクマらしきものにノエル達が襲われていたこと、それを自分が退治した事を話した。


 村長はノエル達が襲われていたことを聞き椅子から立ち上がりそうになったが、今目の前に無事でいることを再認識し落ち着いて話し出す。


「そのようなことが…、いや助かりました。しかしクマですか、このあたりにいるクマはそんなに凶暴ではないんじゃがのう。ノエル、そいつは何処に?」

「いえ、私は良く知らないんです、彼らが襲われていたのに割って入っただけですから」


 三人の目が少年たちのほうへ向く。彼らはその視線から逃げるかのように身じろぎをするが、一人が観念したようで話し出す。


「俺達は森の奥にいるカル蜂の蜜を取りにいったんだ」

「お前たちだけでか?! 何をやっておるんじゃ!!」

「(カル蜂とは?)」

「(このあたりの森に自生していて、蜜が甘く攻撃性は低いので重宝してるんです。ただ子供が刺されるとひどい熱を出すことがあるので大人が取りに行くんです)」

「(なるほどな)」

「それで巣を見つけたんだけど、間違ってカル蜂を興奮させちゃったんだ。刺される前に逃げようとしたら、なんでかカル蜂は近くにあった岩のほうに行って、でも岩だと思っていたのがあいつでカル蜂のせいで怒ったのかこっちを襲ってきたんだ」

「つまり、近くであのデカブツが寝ていることにも気づかず不用意に蜂の巣に近づいたところ、蜂を興奮させてしまいあいつを襲わせてしまった。その結果あいつに追われることとなりたまたま近くにいたノエル嬢に押し付けて逃げようとしたと」

「なにっ!? ノエルに押し付けたじゃと!? お前達はいったいなんちゅうことを!?」

「で、でもあいつは呪われてるんだろ。だったら囮にしたところでどうせ」

「ふざけるな!!! お前たちもあんな下らん噂を信じておるのか!! ええい、どいつもこいつも!!」


 村長の顔が真っ赤に染まり立ち上がる。このままでは子供たちにこぶしを振り下ろすことになるのは目に見えている。そのことに気づいたノエルは村長の手をつかみ止める。


「落ち着いてください村長」

「しかし!」

「ケイさんがいることをお忘れですか?外の人の前で村の顔が感情的になるのは良くないです。もう少し冷静になりましょう」

「だがお前の」

「私は気にしませんから」


 そうは言いつつ微笑むノエルの顔は、付き合いの長い村長の目には無理をしているようにしか見えない。その顔を見て村長は落ち着きを取り戻したようだ。逆にケイは無表情のまま何を考えているのかわからない。


(呪いの話が出たとき彼はノエルの顔を見るようなことをしなかった。あんなことを聞けば反射的にそちらを向きそうなものだが、こやつはいったい)


「村長、彼らについては後に回してもらいたい。件のクマについてと私の用事についても話をしたいのだが」

「あ、ああ。わかった、そうしよう。ではお主の用事やらを先に済ませようか」

「実は少々トラブルに巻き込まれてしまってな、ここが何処なのかわからないのだ。この村の位置などを教えてもらいたいのだが、そもそもここはトルキア王国か?」


 自分達にとって当然のことを聞かれ村長は少し面を食らったようだ、少年達は状況も忘れ常識の無い目の前の男をくすくすと笑う。が、村長に睨まれ再び縮こまる。


「ふむ、この村はたしかにトルキア王国の北部に位置しております」

「一番近い街とこの辺りの大都市の名前は?」

「一番近くはヌルで、大都市はツーリアですな」

「ツーリアか、それにヌル、なるほど大体わかった。ここからヌルまではどれくらいだ?」

「人の足で一日ほどかのう」

「ふむ、では五日もあればツーリアまでたどり着くか。助かった、これで予定も立てられる。では次はあのクマについて話すか。このあたりに人を襲うようなクマはいないと言ったが」

「ええ、そもそもこのあたりでクマはあまり見ませんな。見るとすればエイグマくらいですが」

「あれはエイグマじゃないでしょう。エイグマは1ムルも無いし、体の色も緑だしカル蜂ぐらいしか襲わないおとなしいクマですよ」

「襲ってきたクマとは具体的にはどのような?」

「4ムルほどもある灰色のクマだった、実物を出そう。どこか広い場所は?」

「実物を出す?」

「彼はアイテムボックス持ちなんです」

「ほう、お若いのにすごいですな。でしたら解体場を使いましょう。ついて来て下され」


 そういって村長は腰を上げ、そのままケイ達を村の端にある解体場に連れて行く。もっとも途中で子供たちをそれぞれの親の元に連れて行き、軽く事情を話して叱らせるという流れがあったが。


トルキア王国:ラクセイリア有数の大国家。領土、戦力共にラクセイリアでもトップクラス。ただし地域によって技術、知識格差が大きく国力の底上げが課題。科学技術はそれほど発展していない。


ツーリア:トルキア北部の大都市のひとつ。この世界では地域に大都市と呼ばれるものをつくりそれが周囲の小都市を統治するという形をとっている。そのため大都市の名前を聞けば知識人ならおおよその現在地がわかる。県庁所在地を聞いて都道府県を知るようなものだと思ってください。大体その地域を領土に持つ貴族が治めている。ツーリアではデンバル家がそれにあたる。



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