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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第三章:ナルの再会
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故郷の文字

副題はやっと主人公のターン!




あ、前話あとがきに追記をしておいたのでよければどうぞ。

 …ここは? どこかの道? …とりあえず装備は問題ないね、冷静に一つずつ振り返ろうか。まず僕はケイとユウの二人と一緒にノックスの街の近くの遺跡に潜っていた、それで最深部にまで辿り着いた所、オートで起動した空間転移装置によって飛ばされた、と。…面倒だね、まったく。二人の姿は、無いようだね。皆バラバラになったのか、それとも僕だけ飛ばされたのか。…たぶん前者かな、飛ばされた時の位置関係は僕が二人の間に入っていたからね。…それじゃ、とりあえずは現在位置の確認かな?


「【衛星接続】」


 以前ケイ達の協力の下打ち上げた人工衛星とリンクする、使うのは久しぶりだね。…繋がった、とりあえず第一段階はこれで良い。


「【惑星複写】」


 僕の手の中に小さな星の映像が現れる、何時見てもこの星は綺麗だね。


「【現在地描写】」


 星の映像の一部がクローズアップされ、一般的な地図と同程度の縮尺になる。これで現在地が分かる。…ここはトルキアの西部だね。近くに大都市のネキッラムがあるのか、目の前の道はそこにつながる奴かな、……まずはネキッラムに向かおうかな。二人が何処に居るのかが分からない以上、とりあえずは近くの街に向かうで大丈夫でしょ。ネキッラムに行く方がノックスにも近くなるし。


「それじゃ、行こうかな」


 とりあえずネキッラムに行って、それからどうしようかな? 少し滞在してもそこまで問題は無いと思うけど。


 そんなことを考えつつ道に沿って歩いていると、目の前から喧騒が聞こえてきた。…何だろう? 戦闘音? 急ごうか、うん。



 喧騒に向かって駆け出す、1分も走らずに馬車とそれを囲む集団、それに対峙する人達を見つける。


「…うん? あれは…まさか!」


 見知った顔がそこに居た、馬車を背にして戦っている以上彼は馬車側の人間か。だったら僕がやることは一つだね。


「【光の矢】」


 光の矢を生み出し、彼を襲うとしている奴らに飛ばす。こちらにはまったく注意を払っていなかったおかげで上手く奇襲できたね、回避もされずに倒れてくれた。そのまま足を止めずに走り、彼の前に辿り着く。


「む!? …ナル!? どうして此処に!?」

「お久しぶりです、クエラさん。とりあえず説明は後です、今は援護します」

「助かる! 襲撃者から馬車の乗り手と護衛たちを護ってくれないか!」

「分かりました」


 目の前だけでも10人弱はいる、視界の外も含めるともっといるかな。急がないと護衛の人たちが危ないかもしれない。

 

「何だテメエ、いきなり来て何ガッ!?」


 切りかかってきた人物を足蹴にして跳ぶ、魔法も行使して空高くに上る。…16人か、だったら。


「【多重補足】【自動命中】【光の矢】」


 襲撃者達全員を補足し光の矢を放つ、全ての矢がそれぞれ標的に向かって飛び、その全てを貫く。着地しつつ周りを見ると、襲撃者は膝を突いているか気を失っているかのどちらかだ。


「ふう、今です。確保をお願いします」

「おお、相変わらず鮮やかだな。おい! 今のうちにこいつらを捕縛しろ!」

『了解!』


 急に事が終わった割には行動が早いね、なかなか訓練されているみたいだ。


「助かったよ、ナル」

「たまたま通りかかっただけですよ、クエラさん」

「いやいや、俺達が助けられたのは事実だ。…それにしてもどうして此処に? ケイやユウはどうしたんだ?」

「ああ、それが遺跡調査中に空間転移装置に引っかかりまして、それでバラバラになってしまったようです」

「空間転移とは、災難だったな。だが俺達からしたら幸運だったな、君が来てくれなかったら危ないところだった」

「一体何があったのですか? こいつらは盗賊か何かですか?」

「ああ、おそらくだがな。こちらが数で負けている以上下手したら全滅しかけていたかもしれねえ」

「貴方が居る以上大丈夫では?」

「いや、俺以外が全滅して馬車の人間を人質にとられていたら俺はどうしようもなかったからな」

「そういえばこの馬車には誰が? …まさか?」


 よく考えてみればこの人はあの方の護衛のはず、となるとこの馬車には!


「あ、そうじゃないぞ。この馬車に乗っているのは俺の友人だ。今の俺は休暇中だよ」

「そ、そうでしたか」


 良かった、正直一人出会うのはキツイんだよね。…まあ、ケイ達がいてもあんまり助けてはくれないと思うけど。


「随分な態度だな、おい」

「いえ、その、あの方は少々押しが強すぎますから」

「…まあ、分からなくは無いがな」

「クエラ、戦闘は終わったのか? …君は?」


 馬車の中から現れたのは身なりの良い男性だった、この雰囲気は貴族かな?


「グエン、彼は俺の知人だ。たまたま通りかかってくれたそうでな、危ないところを助けてもらった」

「そうだったのか。私はグエン・キャル・ニル男爵、救援感謝する」

「僕はナル、冒険者です。通りかかっただけですのでお気になさらず」

「いやクエラが助かったという以上君の活躍はかなりのものなのだろう、何か謝礼をしたいのだが何か希望はあるかな?」

「希望、ですか」


 特に無いからなあ。別に懐は暖かいしコネなんかも特にはなあ。


「特に無いですね」

「むう、それは困るのだがな。貴族として働きには報いなければならん」

「あー、ナルはそこまで報酬とかは要らないと思うぜ。あんまり金品にこだわる奴でも無いし」

「しかしだな…」

「だったら、ナルはネキッラムに用はあるか?」

「え? とりあえずの目的地はそこですが」

「だったらそこで昼飯をおごるってのはどうだ?」

「それでかまいませんよ」

「…君がそれでいいならそれでいいが。だったら馬車に乗っていくといい」

「では失礼します」

「グエン、護衛の人間ももう一台に乗せて速く行こうぜ」

「うん? こういった場では駆け抜けるよりは警戒して進む方が良いと言ってなかったか?」

「ナルが居るからな、こいつが居れば周囲警戒は問題ねえよ」

「クエラがそう言うならかまわんぞ」

「それじゃ馬鹿どもを馬車に放り込み終わったら行こうぜ」

「僕も手伝いますよ」

「頼むわ」





「ここがネキッラムですか」


 うーん、大都市の中では小さい方かな? それでも出入りする人の数は結構多いね、何か面白いものがあったりするといいけど。


「ああ、俺達はここの店に用があってな」

「店?」

「うむ、私の義理の娘の店があるのだ」

「こいつはその娘に会いに来たんだ、それでこいつのところに遊びに来ていた俺もそれについてくることにしたのさ」

「そういうことでしたか」

「ああ、昼飯をその店で奢るぜ」

「娘の料理は美味いぞ」

「それは期待しておきます」

「報告します、賊の引渡しが無事完了しました」


 護衛の人か、さっきの賊達は結局ただの山賊の類だったのかな? …考えてもしょうがないか、もともと僕はあまり関係ないことだし。


「うむ、ご苦労。時間までゆっくりと休息をとるように、無論街を散策してもかまわん」

「はっ、では失礼します」


 きびきびとした動作で護衛の人が去っていく。


「…結構錬度が高いですね」

「ああ、私の部下には有能な者が多い。部下たちのおかけで兵一人一人が良く訓練されているのだ」

「そうでしたか」

「戦闘能力はちっとばっかし足りんがね」


 正直賊にいいように翻弄されていたからね、いくら人数が少ないとはいえあれはちょっとね。


「むう…」

「…あ、それではそのお店に行ってみませんか?」

「うむ、そうしよう」

「おう、実は結構楽しみなんだよな。俺も彼女の飯は食ったことは無いし」

「ん? そうだったか?」

「俺が行った時は不在が多かったじゃないか」

「…ああ、そうだったな」

「娘さんが作る食事はどのようなものなのですか?」

「うむ、米を使った物が多いのな」

「へえ、それは楽しみですね」

「ナルは米料理が好きだったのか?」

「ええ」


 正直一週間に一度は食べないと落ち着かない、意外とすぐに限界が来るんだよ

ね。


「では期待していてくれ、店はこっちだ」

「ちょいちょい、先々進むな。一応俺はお前の護衛代わりをやってんだぞ」

「む? すまん、どうにも久しぶりに会うものだから気が急いてな」

「まったく、しっかりしてくれよ」


 この感じだと親子仲はいいのかな? うらやましい限りだよ。




 …え? これって…。


「ここだ、二人とも」

「おう、着いたか。 …ん? なあ、あの看板の文字は何だ? 今まで見たことねえぞ」

「ああ、あれか。あれは娘の故郷の文字だそうでな、読みは」

「…さつき?」

「…何? 何故君はこの文字を知っているのだ?」


 何故? 当たり前だ、これは僕にとってラクセイリアの文字よりもよほど馴染み深い言語だ。そこに書かれていた文字は、


 “五月”


 日本語、の漢字だったのだから。



 どうして、それがこんなところに書かれているんだ?


 はい、三章の始まりです。ようやく主人公を出せました。正直中途半端な切りどころだけど、これ以上進むと逆にめんどくさくなりそうだったのでここで止めます。


 裏話としてですが、実は一章と三章を逆にするかはこの物語を書こうとした時点から迷っていたんですよね。私としてはあえて主人公を出さずに進めるのも面白いかと思ったのですが、結果としてここまで主人公が出てこないという。その辺りの理由としては、私的にはもう少し早く一章二章は終わると思ってたんです。ただ書き出すとは私の脳内の話と色々とずれましてね、その結果があの長さです。それと本文を読めば分かると思いますが、主人公の立場上読み手に出せる情報がややこしくなりそうだったんですよね。ですから一章で基本的な世界観の一部と冒険者について、二章で魔法全般について、三章でその他について触れていこうと思ったのです。結局は一章で魔法談義をしてしまったりで色々と変わっちゃいましたがね。とりあえず三章では主人公の設定と祈祷魔法について主に触れていきます。




 それと三章の投稿スピードについてですが、今までのように毎日更新は難しいかもしれません。理由としては今までポンポン投稿していたのがそもそも主人公が出ておらず、早く出さないといけなかったから。4月に入ったので私も多少忙しくなるかもしれないから。それと二章のラストのラッシュでかなり疲れたからです。正直この一話を書くのに結構気力がなくなりました。なんにせよ、主人公を出せたのでこれからは投稿ペースを落とすかもしれませんとだけ言わせてください。もっとも、基本的にはこのペースで行きますがね、自分の性格上怠けると駄目になりそうなので。


 それと何か物語について質問等があれば聞いてもらってかまいません、全部答えるかは別として。ここまで勢いで書いているので私の知らないうちにおかしなことになっている可能性があります、その辺りの突っ込みを読者の皆さんになげようかと。基本的にはメモ見ながら書いていますが、魔法の件とかはほとんどその場で書きましたからおかしくなったかもしれません。正直原魔力辺りは完全に物語を書きながら考えましたから。それと、私は基本的にネタバレの類はあまり気にしない性質なので、突っ込んだことを聞く場合は私が容赦なくネタバレするかもしれないのでご注意ください。


 …あとがきを書き過ぎた、反省です。



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