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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第二章:ユウの契約
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逆鱗に触れた愚者

副題はキレたユウさん。


「そこまでにしなさい」

「あ? 誰だよ、お前ら」

「サブマスターさんか、わざわざご苦労なことだね」


 ふむ、ユウさんは随分と冷静ですがラインさんはかなり頭に血が上っているようです、これは少々面倒ですね。

「たまたまそこに居ましたから。私はこのギルドのサブギルドマスターのザイン・シュッテンベルグです、これは一体何事ですか?」

「は、ガキと一緒に最下級の依頼を受けてやがるそいつを少しからかっただけだっての」


 はあ、それがそれなりに生きた人間のやることですか、まったく…。


「ふざけんな!! あれはからかったんじゃなくて馬鹿にしたんだろうが!!」

「だから落ち着け」

「ユウのことだろうが! 何を落ち着いてんだ!?」

「この程度の雑魚の言うことに一々乗るなよ、面倒くさい」


 面倒ならわざわざ挑発しないでください、余計面倒です。


「誰が雑魚だこら!」

「俺たちを馬鹿にしてんのか!」

「喧しい、お前らが言えた義理か」

「双方落ち着きなさい、ギルド内でそのような口論は控えてもらいます。これ以上続けると言うのならギルド条約に基づき貴方たちに相応の処分を下します」

「あ? 俺達が誰だか分かってそんな口を利いてるのかよ?」

「だったらさっさと名乗りなさい」

「は、聞いて驚け。俺のギルドランクはSSだぞ、所詮ギルドのサブマスター風情が意見できるような人間じゃないんだよ」

「SS、貴方が? 冗談は止してもらいたいものですね」


 立ち方だけでも分かります、彼らはそのような高みに至れるような能力は持っていません。下手をすればそこのラインさんにも負けるのではないでしょうか? こいつらが例の騙りでしょうか、だったらすぐに確保しましょうか。


「 へっ、これだから無知な人間は困るぜ。俺は“疾風両断”と呼ばれている男だぞ、これ以上俺に逆らうなら」

「“疾風両断”…だと? お前が?」


 む? ユウさんの様子がおかしいですね、一体何が?


「ユウ?」

「あん? 何だテメエ、俺様の二つ名を知っていたのか、だったらさっさと」

「ふざけるなあ!!!!」

『!!?』

「な?!」


 SSを名乗っていた男の姿が消える、一拍遅れて、ドン!! という音を立て奥の壁に男が激突した。ユウさんが足を上げていることから彼がやったのでしょうが、初動がまったく見えなかった…。いや、そうじゃない!


「ユウさん! 貴方は何を!?」

「その名はアイツのものだ、貴様ごときがアイツを騙るな!!」


 これほどまでの怒気と殺気、そしてこの威圧感、これはあの時、ハザード級に感じたそれに勝っている?! まずい、これはまずい!!


「サブマスター権限で緊急依頼! 至急この男を拘束しなさい!!」

「おう!」


 ソルさんがユウさんに向けて剣を振るう、納剣したままとはいえ動きを止めるには十分でしょう。


「落ち着きやがれ!」

「邪魔だ!!」

「ぐっ!」


 ソルさんを片手で容易く投げ飛ばした?! 接近戦は不利ですか。


「【光球】【風球】【水球】」

「邪魔だって言ってんだろうが!!」

「馬鹿な?!」


 ノインさんの魔法を手で弾く?!  あのガントレットの効果か? だったら次は!


「止まりなさい!!」

「コイツは?!」


 彼の周りに霧を発生させる、この惑いの霧に包まれれば抜け出せません。


「その霧が貴方の五感を奪います、抵抗を止めおとなしくしなさい」

「虚仮威しが!! 【光よ、我が道を照らせ!】」

「そんな?!」


 いくら現役を退いて数年が経ったとはいえ私の霧を精霊魔法ではらった!? そんなこと出来るはずが…。


「この野郎!」

「よくもやりやがったな!」

「なめてんじゃねえぞ!」


 あの男の仲間がユウさんに向かって駆け出す。ええい、これ以上油を注ぐな!


「貴様らも、同罪だ!」

「かっ…」

「ひゅふ…」

「ぁ…」


 な、何が? ユウさんの体が一瞬閃光をまとったように見えましたが、何故彼らが倒れているのです?


「何、今の音?」

「音?」

「うん、今バチッて音が聞こえたけど…」

「私も聞こえたが、何が起こった…」

「貴様らは後回しだ、まずはアイツを嬲り殺す。じわじわと救いのない絶望を感じながら自らの罪を悔いつつ死ね」

「そのようなこと、させると思っているのですか?」

「お前たちで俺が止められるのか?」

「くっ…」


 確かにこれまでの攻防を鑑みれば私達が彼を止めるのは難しいでしょうね…。


「邪魔をしなければこれ以上お前たちに攻撃はしない、だが邪魔をするのなら殺す。とっとと失せろ」

「…」


 このまま彼を止めるのは無理でしょう、だったら。


「…サブマスター権限で要請します、この男をギルドへの敵対人物と認め、この男を殺してでも止めなさい」

「…いいのか?」

「これ以上ここで狼藉を働かせるわけにはいきません、私の全力で持って」


 久しく、現役を退いてから思っていなかったことを言う。


「貴方を殺します」

「だったら良いだろう、貴様から殺してや…」


 ? 急に動きが止まった?


「そこまでだ」

「…ギルドマスター?」


 何時の間に? いつもは二階の自室にいるのに急に何故? …いえ、この殺気を感じてですか、この程度のことにも気付かないとは、予想以上に冷静ではないようですね、私も。


「ならばこれはギルドマスターが?」

「ああ、そうだ」


 ギルドマスターの夢幻魔法ですか、それならば彼の拘束も…。


「…この感覚、以前にも感じたな。相変わらずの小技だな、抵抗は簡単だ」

「…ギルドマスターの幻から抜け出した?! これほど早く!?」


 馬鹿な、あれから抜け出すなんて! あの実在しない幻の世界からこうも容易く!?


「相変わらずの化け物だな、テメエは。仮にもSクラスの技を小技と呼ぶかよ、“蹂躙闊歩”」

「SSを舐めるな、この程度では俺達は止められない」


“蹂躙闊歩”?! 4年前の零の戦場で“疾風両断”や“双剣奏々”と共にSSになったあの!? それならばここまでの力は理解できますが、どうして彼がこのようなところに?


「それで、お前も邪魔するのか?」

「俺のギルドで勝手されてはたまらねえからな、これ以上はやらせねえ」

「あの程度の魔法で俺を止められるとでも?」

「侮るなよ、俺の本気の夢幻ならお前も止められるぞ」

「試してみるか?」


 SとSSが戦うなど周りへの被害がどうなるか分かりません、どうしたものでしょうか。…何も思いつきません、もとより私のようなAクラス程度では割ってはいるのは不可能、本当にどうすれば…。


書き溜めがかっつかつなので短いのはご容赦を。


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