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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第二章:ユウの契約
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ランク騙り?

副題はサブギルドマスターの朝。


「おはようございます」

「おはようございます、ザインさん」

「おはようございます、サブマスター」

「おはようございます」


 ふむ、今日もやる気は十分なようですね。この様子なら今日も何事もなく仕事を終わらせれることが出来そうですね。


『おはようございます、サブマスター』

「おはようございます、カーラ、スレイ。…? 二人ともずいぶん機嫌がよさそうですね」

「そうですか?」

「そう見えますか」


 何かあったのでしょうか? スレイは昨日の午前の休みに何かあったのかもしれませんが、カーラについてはよくわかりませんね。おっと、カーラと言えば。


「皆さん、仕事を始める前に報告しておくことがあります」


 皆の視線がこちらに集まったのを確認してから口を開く。


「先日自宅謹慎処分を下したスイールについてです」


 空気が少し固まりましたね、特にスレイとカーラからは僅かにですが怒気も感じられます。


「彼については正式に懲戒免職が決まりましたので、以降彼がこちらに来た場合はそれを念頭に入れた対応をしてください」

「サブマスター、すみませんが彼がどうしてそうなったのか教えてくれませんか?」

「パッハ? …そういえば君は昨日出張から帰ってきたんでしたね。理由ですがまず彼がとある新人冒険者に対して職員として適切な対応をとらず、こちらに虚偽の申告をすることで悪意を持ってその人物を貶めようとしたからです」

「それだけで懲戒免職処分になるのですか? 彼はカサーラ家の人間だと聞いていたのですが」


 彼がカサーラ家の人間でなければこれだけでも十分な理由になるのですけど、これだけなら自宅謹慎と厳重注意だけで済んでしまったかもしれませんね。


「理由はもう一つあります、こちらはほとんどの者が知らないでしょうが、彼は二日前にギルドの裏地で罪を犯しているわけでも無いとある冒険者に対して殺傷目的で魔法を使っています」


 さすがにこれに関しては皆動揺していますね、仮にも公的な人間であるギルド職員が非の無い人間に攻撃を加えたのですから。


「本当ですか!? 相手はどうなりました?」

「問題ありません、その方は手練れだったそうで無事スイールを抑えてくれました」

「そうですか…、それは安心しました」

「ええ、皆も重々承知しているとは思いますがこのような行いはしないようにしてください。いいですね?」

『はい』

「それでは今日の業務を開始してください」


 …皆すぐに切り替えてくれたようですね、新入りの子達もずいぶんと慣れて来たようですしスイールの件を除けば最近はなかなか良い感じですね。とはいえ、スイールの件がなければ新人達が前に出られなかったのですから痛し痒しと言ったところですか。




「ザインさん、ソルさんがお呼びになっていますが」

「ソルさんが? 分かりました、すぐに向かいます」


 一体何用でしょうか? ソルさんが私を呼び出すなんて珍しい、何はともあれすぐに行きましょうか。




「お待たせしました、ソルさん。おや、ニックさんとノインさんもご一緒でしたか」


 ソルさんの元に向かうと彼のPTメンバーのニックさんと冒険者仲間であるノインさんも一緒にいました。このお二人も関わっているのでしょうか?


「おう、ザイン。すまねえな、わざわざ呼び出して」

「いえ、それはかまわないのですが、一体どのような用件でしょうか?」

「ちょっとお前の耳に入れたい話があってな、お前この街にSSクラスが来てるかも知れないって事を知っているか?」

「SS? いえ、そのような情報は入ってきていませんが…」


 SSがここに来れば門の身分証明でそれが判明してこちらに情報が入ってきます、しかしここにはその情報は入ってきていない。もちろんギルドカードによる身分証明を行わなければその限りではありませんが…。


「そうか…、実は昨日知り合いの商人から聞いたんだけどよ、そいつがシュタットの少し手前辺りでこの街まで送ってくれって言う奴らがいたらしい、金を払うとも言われなかったしそもそも荷台の余裕もさしてなかったからそいつはその頼みを断ったんだが、そのときに脅されたそうなんだ」

「脅されたとは穏やかではありませんね、どのように脅されたのですか?」

「なんでも自分達はSSクラスの冒険者だ、その頼みを断るとはいい度胸だな、みたいなことを言われたらしい」

「…それは事実ですか?」

「SSかはともかく、そう言われた事は事実だそうだ」

「ふむ…、仮にもギルドランクSSの称号を持つ人間にしては少々情けない行動ですね。高位クラスまでいけば馬を買うなり馬車を雇うなりして自分の足を持っていることは珍しくありません、S以上ともなれば飛行可能な魔物を従えていることもあります、それがお金も払わずに街まで送れと言い、あまつさえ断られたからといって恫喝するとは思えません」

「ではそいつらは偽者だと思うか?」

「ええ」


 十中八九、そいつらはSSを騙る偽者でしょう、まったく面倒な輩もいたものです。


「だったらそいつらは罪に問われることになるんじゃないの? 確かギルドランクの詐称って禁止されてたと思うんだけど」

「そうですね、確かにギルドの規約ではギルドランクの詐称は禁止されています。ですからその一行がこの街にくることになれば私達が身柄を確保することになるでしょうね。もっともその一行の情報がなければ動けませんが」

「そいつらが分かりやすいところで騙ってくれれば楽なんだがな」

「まったくです」

「その時は俺達も協力するぜ」

「私を勝手に巻き込むな」

「まあまあ、僕たちだってそんなのがいるとうっとうしいんだから協力してもいいんじゃない?」

「協力自体はかまわないがソルに勝手に決められるのが気に入らないんだ」

「おい」

「なるほど」

「おい…」

「ともかく何かあればこちらから正式に依頼を出す可能性もあります、その際はお願いできますか?」

「ああ」

「かまわない」

「問題ないよ」

「助かります」


 これで何かあった時の備えはとりあえず良いでしょうか、彼らもAランクの冒険者ですから。


ちょっと短いですが、書き溜めがカツカツなんですよね。一章は投稿開始時点で半分以上書いていましたからそこそこ楽だったのですが、二章は書いていると予想以上に横道に逸れていきましたから進んでいなかったんですよね。一章と試しに書き方を変えたせいでもあるのかな? できるだけ毎日投稿にはしたいですが、とりあえずがんばります。




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