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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第二章:ユウの契約
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魔力切れ

副題は集中しすぎ。


「ぶはっ?!?!」

「おう、起きたな」


 何だ何だ?! 水か?! 呼吸できなかったぞ! 何だ一体?!


「お目覚めかい、眠りライン?」

「…ユウ? 眠り? …待ってくれ、状況が分からない。俺は直打魔法の練習をしていたはずじゃ?」


 それが何で地面に横になってたんだ?


「魔力切れだね」

「魔力切れ? 言葉から意味は分かるけど…」

「生命力から生成される原魔力は一定で蓄えられる量にも上限がある、その蓄えをお前は使い切ったんだ」

「魔力が切れると気絶するのか?」

「いや、魔力を使い切ったからと言って気絶するわけじゃない、かなりの疲労感は覚えるがな。そもそも原魔力は生命力の余りだって事は言ったな? つまり生命力を消費することで原魔力を作れるとも言える。お前は魔法の使いすぎで自分の中の原魔力を使いきったんだ。それでもなおお前は魔法を使おうとした、それで、たぶん無意識のことだろうが、原魔力を生命力から生成しようとしてたんだ。それをお前の体は拒んだ、その結果が気絶だ。一種の防衛本能だな」

「そういうことか…」

「普通は途中で気付くんだがな、お前の集中力が仇となったか」

「普通はどうなるんだ?」

「さっきの言ったが消費量に応じて疲労感が溜まっていくんだ。普段俺たちの体は自身を維持するのに生命力を使っているが、それは内魔力も含んでいてな。正確には内魔力の一部も体調維持に一役買っているから、内魔力が消費されていってその分にまで手が伸びてくると疲労を感じるようになるんだ。基本的に魔法使いは修練の段階でこの状態を経験して自分の限界を知っておくから、お前にも体感させようと思ってはいたんだが…」

「俺はそれに気付かずにやりすぎた、と」

「そういうこと」


 それでぶっ倒れてたのか、まったくもってなさけねえ話だな。あ、そういやコイツは何だ?


「ユウ、俺に何かけた?」

「魔力回復剤ってやつだ、お前の魔力回復の補佐をする。本当なら飲んだほうがいいんだが皮膚から取り込んでも効果は見込める」

「それで意識が戻ったのか、…いや何で顔に?」

「顔に水かけたら起きるだろ?」

「だからスパルタだっての…」


 もう少し手荒じゃない方法で起こしてくれよ、まったく。


「あ、言っとくが自発的に原魔力を生成しようとするなよ。少しぐらいなら問題ないが短時間で一気にやりすぎると寿命を縮めるからな」

「そいつは怖いな、でも今を生きるために使うのはいいんだろ?」


 節約した結果死ぬとかまったく意味無いしな。それにちょっと違うがこれもユウが言ってた大事なもんのために他を切り捨てるって奴だろ、自分の寿命とロールの笑顔だったらどっちが大事かなんて決まりきってるからな。


「…くっかか、俺好みの答えだ。そうだ、今を生き延びねば未来が無いってのなら容赦なく使え。自らと大事なものを護るためならば必要な取捨選択をしろ」

「ああ、そんなことが無いように祈るけどよ」


 さすがに寿命削るのは勘弁願いたいところだからな。少なくともロールが俺が居なくなっても大丈夫なようになるまでは生きていたいし、父さんたちの代わりは俺が務めなきゃいけないんだ。


「まったくだ、とりあえず少し早いが昼休憩にするか。魔力が回復しないと戦闘は無理だろうしな」

「そうだな、言われてみると結構体がだるい」

「1,2時間もすれば支障無くなるだろうから、その間はおとなしくしていんしゃい。ほれもう一本」

「助かるぜ、……ふう」


 少しだけど疲労感が薄くなっていくのが分かる、やっぱり無理はいけねえな。しかし倒れるまで気付かないとか俺は結構なアホだな、やれやれ。


「これで少しは回復も早まんだろ、午後にはカケウサギを三匹始末しなきゃならねえからな」

「そういや最低でも三匹は討伐するんだったな、今からやって時間は足りるのか?」

「カケウサギはそんなに個体数が少ないわけじゃないからな、運が悪くなけりゃ三匹探し出すのは難しくないと思うがね」

「だったらいいけどな」


 日を跨ぐのは避けたいんだよな、急ぎの依頼じゃないからと言ってゆっくりしすぎるのもなあ。


「昼飯は…さっきの串焼きと握り飯でいいか、あとお茶があったはず」

「本当に充実してるな、お前のアイテムボックスは。特に食い物」

「食いしん坊なんでね。とりあえず自炊はさらに延期だ、お前がそれじゃやってもしょうがないし」

「だな、俺の冒険者としてのスキルアップに俺が関われねえんじゃ意味無いよな」


 手順だけ説明されても俺が実際にやれないと身につかないからな、日を跨ぐとうろ覚えになっちまうから二度手間だし。


「俺もお前も見せるよりはやらせるというやり方のほうが合ってるみたいだしな」

「こっちとしてはもう少し軽くしてほしいがな」

「お前が勝手にやりすぎてるんじゃないか」

「ぐっ」


 だよなー、俺が集中しすぎて勝手にやってんだもんなー、完璧に自爆だよなー。


「やれやれ、ほれ」

「おう、…美味い」

「ああ、飯が美味いと気分もいい」

「そりゃ同感だわ」


 そんなことを話しつつ昼飯を済ませる、その後ユウに頼んで休憩ついでに冒険者の一般常識を教えてもらった。色々とためにはなったんだがユウの言うことだからなー、何処まで事実、いや、正確なのかがよくわからないんだよな。こいつが教本どおりのことを言うとは思えないし、適当に言葉を省略してそうなんだよな。とはいえそれを俺が今判断できねえから素直に信じとくか。違ってたらこいつを締め上げ…れないか、やれやれだな。


うーん、きりのいいところだと短いな。かといっても少し先まで行くと長くなりすぎるんだよな。

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